インタビュー:辻詩音「“ほしいもの”をもらっても、気持ちが無いと満足できない」
――3曲目には前作「M/elody」のアコースティックバージョンが入ってますが、セカンドシングルの「Sky chord〜大人になる君へ〜」の時もデビューシングル「Candy kicks」のアコースティックバージョンを収録されてましたよね。アコースティックバージョンを再収録した理由は?
辻:ちょうどこの「M/elody (Acoustic ver.)」を、「夏休みの君へツアー」で一旦東京に帰って来た時に録ったんですよ。ツアーでずっとこの「M/elody」を歌っていたので、最初に出した時と違う感じで歌えると思ったし。アコギで回ってたので、ツアーの感じを出したいというのもあったんですけど。いざアコギで録ったのを聴いてみると、ラブソングにも聴こえるというか、また違う聴こえ方がするのでビックリしましたね。――前作のアコースティックバージョンを再収録する試みは、今後も続けていきたいと考えていますか?
辻:私を応援してくれる子は、「詩音ちゃんを見てギター始めました!」みたいな子が結構多くて。私の曲って結構コードが簡単なのが多いので、それを聴いて「弾き語りやってみようかな?」って思う子も出来ればいいなと思し。一番最初のスタートが弾き語りなので、こうやって出来たというのをまた聴いてもらうのもいいかなって思います。――逆に、「コインロッカーボーイ」のようにエレキギターにアレンジした曲を、再びアコースティックギターの構成で披露したりは?
辻:やろうとしてます!結構、苦労するというか、練習が必要なので(笑)。――今回のジャケットは光が淡い雰囲気で、また少しイメージが変わった印象を受けましたが、どういう風に決まったんですか?
辻:「ほしいもの」の曲調からくるビジュアルというか、一番近いものを作りたくて。今までのシングルの中で初めて正面から写真を撮ってもらって、今までよりも一番さらけ出した感じがするので。曲もそうなんですけど、全部見られる感じもあるし、怖さもあるんですけど、すごく気に入ってますね。――後ろにぼんやりとギターが写っていたり、向かって右の丸いのは?
辻:これは黄色いボールなんですけど。撮影中“詩音ポップ”と呼ばれたボールですね。ポップな要素が(笑)。――ファッションの好みはあまり変わってないですか?
辻:いや、変わってます。結構日ごとに「今日は…」とか、あるんですけど。このワンピースは真っ青なワンピースで、日に当たるとすごく綺麗な色の青に写ったので、そこは発見というか、こういうのもアリなんだなと気付きましたね。――今までだったら着なかった色や形などを選んでみたり。
辻:今着たいと思う服を正直に着ようって思いました。17、18の時とかって、わざと黒とか、ちょっと背伸びしたりするじゃないですか。でも最近は、明るい色を着ようって思います。気持ちが明るくなるみたいな感じで。――こうしてお会いする度にすごく不思議に感じるのは、1番最初に曲を聴かせて頂いた時に抱いたイメージと、話している声の雰囲気とがまた違う印象を持っているんですけど、自分の声についてどう思います?
辻:私は自分の話してる声が嫌いで、聴くのが苦手なんですね。でも歌声ならまだマシだ、聴けるって思うので、歌声の方が好きなんですよね(笑)。――いや、すごくいい歌声だと思いますけど(笑)。歌のイメージとのギャップがあると言われたりしません?実際にお会いすると、ポワーンとしてるんだなって。
辻:あぁー!よく言われますね(笑)。――どちらも意識的に変えている訳ではなく、自然体なんですね。
辻:どうなんでしょうかねぇー?自分の中ではそんなにギャップが無いと思ってやっているんですけど、言われることが多いですね。――歌詞の世界の研ぎ澄まされてる繊細さが、端から見ていると内向的になりがちな危機感を勝手に感じたりするんですけど、実際にお会いすると余計な心配だったかなと思ったりもするので。
辻:歌詞を書き始めたのも、学校とか人前で言えなかったようなこととか、伝えられなかったことを書いているので。だからやっぱり、こうやってしゃべっている時とかでは言えないことを書いてるので、そういう印象があるのかもしれませんね。――デビュー以前に書いていた歌詞と今とで、歌詞の雰囲気が微妙に変わってきたなと感じるようなこととかってあります?
辻:基本的には人に見られたくないことを、そこは意識せずにちゃんと書くということは変わらないんですけど。でも「こういうことで悩んでる」というのをラジオとかで聞いたりすると、片隅にその子の顔とかが浮かぶことはあって。じゃあ書こうとかではなくて、意識しなくても自然にそういう言葉が入ってくる時はありますね。