もっと流行っても良いのではないかと考えている「BCP(事業継続計画)」ですが、日本ではなかなか普及しません。その理由は、BCPの専門家と実務の専門家の認識のズレにあるのではないかと思うのです。

リスクマネジメントを専門とするコンサルタントの方々がいます。私自身は、その方々の働く会社で人事をやっていましたので、彼らの発想やコンサルティングがどれだけ役立つのかはよく分かっています。

しかし、今は実務者を支援する人事・労務のリスクコントロールのサポート業務をしていますので、コンサルタントの指導を受ける側に立つことが多いように思います。

その時によく感じる「違和感」。この違和感が、そのままBCPの普及の足かせになっているのではないかと思うわけです。

例えば、地震。地震によって拠点が壊滅した場合、他の拠点を活用して復旧を始めましょう。と。

これは中堅以上の企業でなければ、理解できない発想です。本社が工場とセットになって1拠点で操業していれば、全てが止まります。しかし、ここからコンサルタントと実務者の向かう方向が変わってきます。

コンサルタントは、では事業が継続できませんから、委託できる企業を選定して、事業を移転して、取引先との関係を維持しながら復旧を急ぐ必要がありますし、その準備が必要でしょう。と言います。

しかし実務者は、そんな災害があったら、操業どころではない。社員と社員の家族の生命は?救護体制は?本社周辺の住民に対する救援は?など、実際にその場に生活する立場からいろいろな疑問がでてきます。

ここには、事業を経済の一部としての企業活動として捉えるか、事業が社員の不断の努力で成り立つと捉えるのかという、どう頑張っても相容れない溝があるのかもしれません。


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