いい加減ではいけないが、適切な加減は必要である。

「当社とコンサルティング契約頂く場合、1人1時間当たり25,000円頂きます。3人で200時間のプロジェクトの場合、料金は1500万円になります」

こんなことを初対面の打ち合わせの、しかも、出会い頭に言われたらどうだろうか?

仕事の依頼を断りたい場合、あるいは、非常に著名なコンサルティング会社で、相手にコンサルティング業界の価格体系が十分に理解されていて、しかも提示した価格が「割安」だと思われる場合などは良いかも知れないが、そんな場合はまれであろう。

「1週間以上プロジェクトが遅延する確率が10%あります」

「顧客情報が漏洩する危険性が0.2%あります」

など、正確な情報かも知れないが、初対面の商談でそんなことを言われたら、言われた相手は「宇宙人」と話をしているような錯覚を覚えるかもしれない。

ビジネスには「柔らかさ」が必要である。

契約書の代筆業者や弁護士の派遣会社などなら良いのかも知れないが、ベンチャー企業や中小企業で、サービスの内容に比べて、契約体系や管理体制が不相応に充実している企業は、むしろ敬遠されるようである。

ベンチャー的経営(ベンチャーマネジメント)の観点で言えば、経営者同士の商談において契約書はいらないであろう。

逆に言えば、経営には、そのくらい相手を信頼する力や判断力、あるいは、リスク管理力などが求められるということである。

契約期間中に経営者が交代したり、比較的大規模な組織において契約内容を周知徹底させる必要がある場合などに、正式な契約書が必要になる。

経営における柔らかさを実現するためには、「知識」や「経験」が必要である。


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