ユーザー事業者数30万超。約90万種類もの商品を扱い間接資材のAmazonともいえる存在がMonotaRO、流通の仕組みが遅れた分野にネットで風穴を空けた革命児である。ただし革命には旧態勢力からの抵抗が付きもの。数々の試練に打ち勝ち、上場に到った同社の歩みを紹介する。



第2回
「産業用資材に勝機あり」


■鉄のビッグプロジェクト


「お前は鉄をやれ。帰国してネットビジネスをやりたいと訴えたのに、返ってきた答えはこれでした」

アメリカ留学中に生まれたてのネットビジネスと出会ったことは、確かに運命的な出会いではある。しかしサラリーマンとしては社命に逆らうことは許されない。会社としては2年もの間、しっかりとビジネスを学ばせた期待の人材だ。前途有望なビジネスを任せたいと考えるのは当然だろう。

「この先、鉄が脚光を浴びる。極めて価値の高い資源となる。そんな予測を出した人がいました。ちょうど95年ぐらいの話ですね。そこで特命プロジェクトが立ち上げられ、専従として担当せよと」

日本を代表する機械メーカーと組み、従来とはまったく違ったプロセスで鉄を作り出す。画期的なプロジェクトは瀬戸氏の指揮下、順調に進められアメリカ鉄鋼メーカーへの採用も決まりかけていた。

「さあこれから、というタイミングで襲ってきたのがアジアの通貨危機でした。そもそも鉄の需給が逼迫する理由は、中国、インドを中心とするアジア諸国での需要急増にあった。そのアジアの経済が軒並み音を立てて崩れていくような状況では鉄なんか誰もいらないでしょう」

幸か不幸かプロジェクトは途中でストップがかかり、最終的には他社に売却された。時間の空いた瀬戸氏はここで再度、ネットビジネスへの取り組みを直訴する。時あたかもアメリカ発のネットバブルが世界中を覆い始めていた頃で、これ以上ないグッドタイミングだ。


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