中小企業にとって社長交代は、事業が継続できるか、廃業を余儀なくされるかの分岐点。5年で9割が潰れる「創業という嵐」を乗り切った創業社長…。そんなカリスマから舵取りを任される二代目には困難がつきまといます。二代目社長がつくるべき会社とは?

「クビにするしか無いと思ってます」

社長は深刻な表情で切り出しました。

父親から会社を引き継いで三年。社長自ら先陣を切って改革を進めた結果、
若手が輝き組織が活性化してきたといいます。

その一方で、古き時代を支えてきた古参社員が抵抗勢力と化し、若手を抑え
つける弊害が起きているというのです。

「古参社員があって今がある。感謝の気持ちは表してきた。でも、もう限界だ。
 泣いて馬謖を切るしか無いのです」

噛みしめるように語る社長。その気持ちは同じ経営者として痛い程わかる。
でも、本当にそれでいいのか…。

「他に方法は無いのでしょうか?」

私の問いに、社長はこう答えました。

「無いでしょう…。リスクは承知の上。組織は動揺し恐怖を感じるはずです。
 しかし、他の方法が思いつかないのです」

私は視点を変えてもらうためにメタファーを用いて話してみることにしました。

「社長は、ケガをした時にカサブタができたことはありますか?」

キョトンとした顔で社長は答えます。

「カサブタ?もちろん何度もあります」

「社長はそれを自分で剥がしますか?それとも自然に剥がれるのを待ちますか?」

私の言葉にピンと来たのでしょう。社長は、ゆっくりと考えた後に答えました。

「カサブタは剥がしちゃ駄目なんですね」

組織変革に抵抗勢力はつきもの。

彼らはカサブタのように新しい皮膚=若き次世代リーダーたちに覆いかぶさります。
そんな時、多くの経営者は新しい皮膚の発露を急いでカサブタを剥がそうとします。

しかし、その先にあるのは手痛い出血。
新しい皮膚=若手もカサブタと共に失ってしまいます。
 

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