――そうした一流選手の対応策は、日本代表にも還元できる部分ではありませんか?

長谷部:たしかに。ドイツでの経験はじっさいに生きてるとも思います。たとえば、アジアの中でもフィジカルが強いといわれている国と対戦したとき、以前よりも対応が楽になった面はありますね。フィジカルの強い選手ばかりのいる国でプレーしているので。1対1で身体を当てるような場面があると、大きな選手ばかりですから、へたをすると“遊ばれている”ような感覚を味わうことがあります。そういう感覚はアジアではあまりないので、そのぶん余裕を持ってプレーできるというか。

坂田:外から見てると、分からないなー、そういう感覚は。

長谷部:やっぱり慣れが大きいと思う。もちろん身体のぶつかり合いでは単純に勝てないことが多くなるけど、でも、スピードやポジショニングとか、他の部分で巻き返しは出来るし。

――海外での生活に、ストレスはありませんか? 言葉の問題以外とか、ライフスタイルで。

長谷部:慣れますね。コンビニとかもないですけど、ないならないで、周りの人も同じですから。

坂田:じゃあ、何してるの、家では?

長谷部:何もしてない(笑)。DVD見るとか、本や雑誌を読むとか。お笑い関連のDVDとか、最近見るようになって、かなり面白いなって。それくらい。あとは、寝てます。本当に何もないですから。

坂田:あー、そうなるよね、何もなければ。言葉は?ぺらぺらなの?

長谷部:いや、完璧じゃないっすよ。単語は分かるし、ヒアリングはだいたいできるし、伝えたいことは伝えられるくらい。

――ずっと合宿中のような感覚ですかね?

長谷部:あー、それ、それですね。

――マガト監督は、ドイツでは有名人だと思いますが、どんな監督ですか?

長谷部:プロとはこうあるべきってものが明確にある人ですね。生活のすべてをサッカーに捧げろと。そのためにキミたちは給料をもらっているんだってことは強く言われてます。ま、当たり前のことかもしれませんが、徹底してますね。

坂田:選手たちは窮屈さを感じないの?

長谷部:いや、もちろん感じてるんだけど、監督はGM(ゼネラルマネージャー)も兼ねてて人事権も持ってるから、へんな反発できないですよね。そういう意味でも、ハードかもしれない。

――そのハードなドイツでのチャレンジは、長谷部選手のこれらかも続く現役生活のなかで、いまだから頑張れるのか、それともずっと続いても問題ないのでしょうか?

長谷部:いや、いまだからですね。これが3年、4年と続くとしたら難しいなと思います。経験しておくことに意味がある位置づけで取り組んでます。それこそ、合宿みたいな感覚です。

――坂田選手は03年から05年にかけてマリノスで、長谷部選手は現在の日本代表で、おふたりとも岡田監督のもとでプレーした経験をお持ちですが、率直にどんな監督さんですか?

坂田:緻密なイメージですね。岡田監督以前は、けっこう精神的な面というか、ハートを重視する監督が多かったですけど、岡田監督はもっと細かく分析したデータを重視してました。監督に就任したばかりのとき、たとえば、勝ち点はいくつで、得点は何点で、失点は何点という形で、細かく目標設定してましたから。得点にしても、誰と誰で何点とか、その他のFWで何点とか言われて、あー、オレはその他だから、何点取ればいいわけか…とか、思ってましたね(笑)。たとえば失点の内訳もセットプレーで前年は30数パーセントだったから、これを20パーセント台まで下げれば、失点が何点減るという感じで。データにもとづいて、論理的に数字に落とし込んでました。そういう監督さんは初めてだったので、最初はビックリしましたね。

――責任も明確になりますよね? これだけの得点をするはずが、出来ていないとか。

坂田:そうですね。

――代表でも同じですか?

長谷部:そうですね。何度も自分たちの試合をみて、細かく分析しますよ。研究には労を惜しまない印象です。

坂田:話すときの表現も面白いですね。“それあとで使おう”とか思ったり(笑)。

長谷部:たしかに。

――では、最後に2009年の目標を教えてください。

坂田:リーグ戦、カップ戦、天皇杯と、チャレンジできるタイトルをひとつでも多く取りたいですね。少なくとも優勝争いにはつねに絡みたい。逆に、チームがそこまでいっていれば、自分自身もある一定の役割、パフォーマンスができているだろうと思ってます。

――長谷部選手は?

長谷部:ボクはワールドカップの出場権を得たいというのが一番ですね。そのためには、やっぱりドイツで良いパフォーマンスしていないと代表チームにも呼ばれないでしょうし。チームで攻撃面でももっと貢献度を高めたい。つねに課題はあるので、それをクリアできるようにしたい。

――オーストラリア戦(2月11日)も近いですしね。

長谷部:そうですね。とても大事なゲームになるので、まずコンディションをちゃんと整えることですね。

(取材・構成/livedoor スポーツ)


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