天を仰ぎ、顔を覆う。頭が真っ白になった... 神村学園の主将・名和田我空の高校サッカーは終わったが、この悔しさを明日への糧にする【選手権予選】
届きそうで届かなかった。本当にあと一歩だった。
11月17日に行なわれた高校サッカー選手権の鹿児島県予選決勝。U-18高円宮杯プレミアリーグ勢同士の対戦となった神村学園と鹿児島城西の大一番は、試合終了直前にドラマが待ち受けていた。
0−0で迎えた後半37分。劣勢だった鹿児島城西は右サイドを打開。右SB福留大和(3年)が強引に前へ運び、深い位置を抉った。右足で折り返したボールはゴール前へ。最後は相手DFとの競り合いを制したFW大石脩斗(2年)が右足のアウトサイドで押し込み、均衡を破った。
アディショナルタイムの3分を含め、残り時間は6分強。懸命に反撃した神村学園だったが、決定打を繰り出せない。無情にも試合終了のホイッスルが響き渡り、夏にインターハイで準優勝を果たした男たちはピッチに崩れ落ちた。
涙を流す者もいれば、その場から動けない選手もいる。神村学園のエースで1年次からJクラブや海外クラブから注目を集めてきたFW名和田我空(3年)も例に漏れず、ピッチに倒れ込んだ。
天を仰ぎ、顔を覆う。その瞬間、様々な感情が込み上げてきた。「どういう感情だったのか...覚えていない」。頭が真っ白になり、何を考えていたかを詳しく思い出せない。それほどまでに悔しさが残る敗戦だった。
振り返れば、入学前から技巧派FWとして名を馳せ、1年次はFW福田師王(ボルシアMG)、MF大迫塁(いわき)らと選手権4強を経験。迎えた昨季は2年生ながらチームのエースナンバーである背番号14を大迫から受け継ぎ、同年秋には日の丸を背負ってU-17ワールドカップにも出場した。
迎えた最終学年はゴールを奪う役割に加え、キャプテンとして仲間を統率。夏のインターハイでは9ゴールを挙げ、神村学園を初の全国準優勝に導き、誰もが認めるエースに成長した。
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だが、最後の冬は惜しくも大舞台に届かなかった。相手の倍となる14本のシュートを放ったチームにおいて、名和田が打ったのは前半の1本のみ。マンマーク気味にケアをしてきた相手DFに手を焼き、1人外しても周りの2人、3人に捕まる。自分のアイデアや圧倒的なキック精度を活かす場面がほとんど訪れず、危険なエリアで違いを生み出せなかった。
「ディフェンダーが常についてきて、相手も粘り強いチームだった。でも、そのなかで自分がこじ開けないといけなかった。力が足りなかったと思う。ここからどうやってトレーニングをしていくのか。ここからまだまだ上の目標があるので、そこに向けて本気で目ざすのであれば、それなりの行動を自分がしていかないといけない。本当にその目標に向かって頑張っていきたい」
高校サッカーは終わったが、サッカー人生が終わったわけではない。ここからまたスタートを切ればいい。高卒でプロ入りを目ざす男は次の目標を見据え、やるべきことがたくさんあると理解している。
「大きくはない身長で自分が持っているクオリティを出しつつ、ストロングポイントを伸ばさないといけない。守備の課題もあるので、そこにも向き合っていかないといけない。次のステージに行ってからの時間はあっという間のはず。それはこの3年間でも感じた。一日も無駄にしないように自分と向き合っていきたい」
海外クラブかJクラブか。注目の進路については熟考中だが、どんな道を選んでも想いはブレない。最後の冬に味わった屈辱を明日への糧にする。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
11月17日に行なわれた高校サッカー選手権の鹿児島県予選決勝。U-18高円宮杯プレミアリーグ勢同士の対戦となった神村学園と鹿児島城西の大一番は、試合終了直前にドラマが待ち受けていた。
0−0で迎えた後半37分。劣勢だった鹿児島城西は右サイドを打開。右SB福留大和(3年)が強引に前へ運び、深い位置を抉った。右足で折り返したボールはゴール前へ。最後は相手DFとの競り合いを制したFW大石脩斗(2年)が右足のアウトサイドで押し込み、均衡を破った。
涙を流す者もいれば、その場から動けない選手もいる。神村学園のエースで1年次からJクラブや海外クラブから注目を集めてきたFW名和田我空(3年)も例に漏れず、ピッチに倒れ込んだ。
天を仰ぎ、顔を覆う。その瞬間、様々な感情が込み上げてきた。「どういう感情だったのか...覚えていない」。頭が真っ白になり、何を考えていたかを詳しく思い出せない。それほどまでに悔しさが残る敗戦だった。
振り返れば、入学前から技巧派FWとして名を馳せ、1年次はFW福田師王(ボルシアMG)、MF大迫塁(いわき)らと選手権4強を経験。迎えた昨季は2年生ながらチームのエースナンバーである背番号14を大迫から受け継ぎ、同年秋には日の丸を背負ってU-17ワールドカップにも出場した。
迎えた最終学年はゴールを奪う役割に加え、キャプテンとして仲間を統率。夏のインターハイでは9ゴールを挙げ、神村学園を初の全国準優勝に導き、誰もが認めるエースに成長した。
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だが、最後の冬は惜しくも大舞台に届かなかった。相手の倍となる14本のシュートを放ったチームにおいて、名和田が打ったのは前半の1本のみ。マンマーク気味にケアをしてきた相手DFに手を焼き、1人外しても周りの2人、3人に捕まる。自分のアイデアや圧倒的なキック精度を活かす場面がほとんど訪れず、危険なエリアで違いを生み出せなかった。
「ディフェンダーが常についてきて、相手も粘り強いチームだった。でも、そのなかで自分がこじ開けないといけなかった。力が足りなかったと思う。ここからどうやってトレーニングをしていくのか。ここからまだまだ上の目標があるので、そこに向けて本気で目ざすのであれば、それなりの行動を自分がしていかないといけない。本当にその目標に向かって頑張っていきたい」
高校サッカーは終わったが、サッカー人生が終わったわけではない。ここからまたスタートを切ればいい。高卒でプロ入りを目ざす男は次の目標を見据え、やるべきことがたくさんあると理解している。
「大きくはない身長で自分が持っているクオリティを出しつつ、ストロングポイントを伸ばさないといけない。守備の課題もあるので、そこにも向き合っていかないといけない。次のステージに行ってからの時間はあっという間のはず。それはこの3年間でも感じた。一日も無駄にしないように自分と向き合っていきたい」
海外クラブかJクラブか。注目の進路については熟考中だが、どんな道を選んでも想いはブレない。最後の冬に味わった屈辱を明日への糧にする。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)