京都旅行で外せない、昔ながらの和菓子。『粟餅所 澤屋』はお店も粟餅も
食楽web
●京都旅行で欠かせない甘味のおすすめ処『粟餅所 澤屋』でいただきたい素朴で美しい「粟餅」をご紹介。
京都旅行に行って欠かせない要素といえば美味しい食べ物。おばんざいやオシャレなカフェのスイーツもいいですが、しっとり落ち着いた雰囲気での素朴な和菓子を楽しみたいものです。
しかもそれが神社仏閣など名所の近くであれば、さらに言うことなし。そんなお店が今回紹介する『粟餅所 澤屋(あわもちどころ さわや)』です。
お店は北野天満宮の鳥居すぐの場所
北野天満宮の門前店の並びにある『粟餅所 澤屋』
『粟餅所 澤屋』は、京都を代表する神社の一つであり、学問の神様である菅原道真公を祀った北野天満宮の目の前にあります。
お店の名前にもありますが、看板商品は1682(天和2)年の創業からずっと続いている「粟餅」。というか夏場のかき氷を除けば商品は基本的に粟餅しかありません。
そもそも粟(あわ)というのはイネ科の多年草で、現在では雑穀米などの中で見かけるという認識ですが、稗(ひえ)などと並んで五穀に数えられ昔は貴重な穀物でした。
お店の入り口には粟の穂が置いてあります。初めて見ましたが稲に比べると実が小さくて、一つの穂にびっしりと実が付いているのが分かります。
落ち着きと活気の同居する懐かしいお茶屋の風情がいい
手慣れた手つきでテキパキとしつつも笑顔の絶えない職人さんたち
お店に入ると店内は昔ながらの小さなお茶屋という雰囲気なのですが、少し様子が違うのがカウンター周辺。カウンターの中では、職人さんがイキイキと働いていて、注文がある度に粟の餅を丸め、あんをつけて商品を作っています。
ちなみに夏場ではないお店内で飲食できる商品は、こしあん3つときなこ2つで計5個の「白梅」、こしあん2つときなこ1つがついた「紅梅」という、北野天満宮にちなんだ梅の名前がついた2種類のセット販売のみ。
お店に入った瞬間に「おこしやす」の声と共に注文を聞かれたので、少しビックリしましたが、せっかくなので量の多い白梅の方を注文しました。
メニューは粟餅だけ。『粟餅所 澤屋』の店内でいただく魅力
白梅(5個)750円
注文後、あっという間に餅を丸めてあんこときな粉をまぶして提供してくれました。商品を実際に目の前にして思ったのが、「美味しそう」と同時に「美しい!」
まるで大きな丸薬のように丸められたあん餅と細長く伸ばされたきな粉餅は、日本伝統の家紋のようにシンプルで美しい盛り付けとなっています。
素朴でシンプルながら美しい盛り付け
見た目の美しさに感動しつつも、いただきます。まずは丸いあん餅の方から。キメの細かいこしあんに包まれた丸い餅を半分にカットしてみると、ほぼ抵抗もなくスッと真っ二つに切れます。
黒いあんに包まれた中身は自然の黄色が美味しそうな粟餅
粟の持つ自然な黄色が現れるかわいいお餅は、想像以上の柔らか食感。もち米で作ったお餅のムチッとした伸びる食感はなく、スッとほどける口どけのよさと粟の持つ素朴な味わい、そこに上品なこしあんの仄かな甘さでとにかく優しい味わい。
香ばしいきな粉粟餅も絶品 [食楽web]
きな粉餅はたっぷりかかったきな粉の香ばしさが満点。素朴な粟餅だけに外側の装飾で印象が見事にガラッと変化しています。
それぞれの粟餅を別々に堪能したので次にやっぱり試してみたくなるのは、あん餅にきな粉をまぶした、いわゆる合い掛け状態。こちらはあんの上品さにきな粉の香ばしさがプラスされ、どちらとも違う美味しさが楽しめました。
びっしりと実って縁起の良さそうな粟の穂
長い歴史を誇るこちらのお店では、現在のスイーツにはないシンプルでありながら奥の深い和菓子の魅力にふれられました。
落ち着いた雰囲気も京都旅行のお立ち寄りスポットとして抜群の環境なので、ぜひ北野天満宮を訪れる際にはお立ち寄りください。
今回は店内で食べましたが、もちろんテイクアウトも可能。箱詰めされた粟餅も独特の様式美のような美しさがあり、手土産などにもぴったりの逸品となっています。
(撮影・文◎けいたろう)
●SHOP INFO
粟餅所・澤屋(あわもちどころ・さわや)
住:京都府京都市上京区北野天満宮前西入紙屋川町838-7
TEL:075-461-4517
営:09:00~17:00
休:水・木曜、毎月26日
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。