「ぶつかりおじさん」罪に問えないの?(画像はイメージ)

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 人が行き交う街中や、混雑した駅の構内でわざと体をぶつけてくる、いわゆる「ぶつかりおじさん(ぶつかり男)」が多発しており、SNS上などで怒りの声が上がっています。2018年には、JR新宿駅の構内で、女性に向かって次々に体当たりをする男性の動画がSNSなどを中心に拡散されましたが、最近でもこうした「ぶつかりおじさん」の被害報告は後を絶たないようで、「ひどすぎる」「気持ち悪い」「本当にウザいです」「人混み歩くのが怖くなるよね…」「これ、女性ばかり狙ってるのが腹立つわ」といった怒りの声が多く上がっているほか、「通行人に体当たりって…普通に犯罪じゃない?」「逮捕してほしいです」「被害届出してもいいのでは」など、犯罪に該当するのかどうかに関する疑問の声も聞かれます。

 通行人に体当たりをする「ぶつかりおじさん」の行為は、犯罪に該当するのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

被害届は「出すべき」だが…

Q.通行人に対して“わざと”体当たりをする「ぶつかりおじさん(ぶつかり男)」の行為は、犯罪に該当するといえますか。

牧野さん「はい。“わざと”、すなわち故意に、通行人に対して体当たりする行為は、傷害罪や暴行罪に該当する可能性があります」

Q.「ぶつかりおじさん」の行為が該当する可能性のある犯罪について、さらに詳しく教えてください。

牧野さん「傷害罪と暴行罪について、次の2つのケース別に解説します」

【体当たりをされて、ケガをした場合】

傷害罪に該当する可能性があります。刑法204条では、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と定められています。

【体当たりをされたが、ケガをしなかった場合】

ケガをしなくても、暴行罪に該当する可能性があります。刑法208条では「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と定められています。

Q.「ぶつかりおじさん」の被害に遭った場合、被害届を出してもよいのでしょうか。

牧野さん「被害届を出すべきだと思います。ただしその際は、駅員などに助けを求めて『ぶつかりおじさん』を静止させ、どこの誰なのかを身分証明書で確認すべきです。容疑者不詳でも被害届を出すことはできますが、解決にはつながらない可能性が高いからです。

なお、仮に『ぶつかりおじさん』を静止させた後に警察を呼んだり、警察官が静止させたりした場合、その場で現行犯逮捕される可能性もあります」