猛暑と備蓄需要で大型2Lペットボトルの販売好調 国内牽引して東洋製罐GHDの包装容器事業が増収増益
東洋製罐グループホールディングス(GHD)の主力事業である包装容器事業は上期(3月期)、国内での夏場の飲料容器の販売好調や原材料とエネルギーの価格上昇分の価格転嫁を実施したことで増収増益となった。
包装容器事業の上期業績は、売上高が前年同期比2.6%増の3074億円、営業利益が110.8%増の145億円。
これについて、11月11日、決算説明会に臨んだ副島正和取締役専務執行役員は「飲料缶(チューハイ・ビール向けの空缶)と今年はペットボトル(PET)が良かった。夏場の猛暑に加えて豪雨などによる備蓄需要で大型2LPETの水製品がかなり伸長した。PET販売はプリフォームという半製品の販売に切り替わっており、この販売がかなり業績を下支えしてくれた」との見方を示す。
アルミ缶の価格転嫁は、原材料の価格が決定した後にその価格に合わせて価格を決定するフォーミュラ方式により堅調に進捗している。
「大手ビールメーカーさま、大手清涼飲料メーカーさまと個別にフォーミュラ契約を結んでいる。それぞれ異なる内容だが、基本的に後追いになっており、まあ取り切れていなかった部分が今期出てくるという効果がある」と説明する。
今後は、人件費や物流費などの高騰分の価格転嫁を追加で行い、不採算事業領域・拠点の再構築を早急で行う。
環境配慮型製品の開発・販売も推進していく。
「『EcoEnd』(リサイクルアルミ材の使用量を高めた飲料缶蓋)と国内最軽量アルミ缶を利益のほうに押し上げるものとしてやっていく。そのほか非常に競争力のある(コンビニ向けをはじめとする)紙製品で収益力を支えていく」と語る。
全事業の上期業績は、売上高が1.6%減の4643億円、営業利益が22.8%増の183億円となった。
大塚一男社長は「海外向けの製缶・製蓋機械の販売が減少したことで減収となったが、営業利益は、包装容器事業を中心に原材料・エネルギー価格上昇分の転嫁などを実施したことや、鋼板関連事業が引き続き好調に推移し、さらに機能材料関連事業の市況が回復したことで拡大した」と振り返る。
海外向けの製缶・製蓋機械の販売のエンジニアリング事業は調整局面にあるとみている。
世界的なアルミ缶の需要増加で21年から23年にかけて売上が拡大し、これに伴い急拡大した製造設備に対して需要が追いつかない状況という。
これについて大塚社長は「向こう5年間は、4〜5%は市場が伸びていくとみている。世界の3割以上を占める北米で機械の需要が先行してしまい非常に調整の局面にある。北米以外を考えるなど(米子会社の)ストーレマシナリーとしては計画を練っていく」と述べる。