トランプ次期大統領、政権移行協議で4年ぶりホワイトハウス訪問…新政権の要職は「忠臣と信奉者」
【ワシントン=田島大志、田中宏幸】米国のトランプ次期大統領は12日、新政権の国防長官に、保守系テレビ局のFOXニュース司会者で元陸軍州兵のピート・ヘグセス氏(44)を指名すると発表した。
新設する「政府効率化省」のトップには、大統領選でトランプ氏を全面支援した実業家のイーロン・マスク氏(53)を起用する。トランプ氏は13日、大統領選後、初めて、ワシントンを訪れた。
ヘグセス氏やマスク氏の起用には自らを信奉する外部の人物を要職に充て機構改革などを強力に進める狙いがある。トランプ氏は、エリートらが結託した「ディープステート(闇の政府)」が操っているという陰謀論を唱えるなど行政機構や軍に対する不信感を募らせてきた。
ヘグセス氏は同局で8年間、司会を務め、番組出演を通じてトランプ氏との関係を深めたとされる。陸軍州兵としてアフガニスタンやイラクなどに駐留した経験があるが、国防長官候補には挙がっていなかった。
一方、トランプ氏は12日、政府の外部から行政改革を推進する「政府効率化省」を新設し、宇宙企業スペースXの最高経営責任者(CEO)などを務めるマスク氏と、同じく実業家のビベック・ラマスワミ氏(39)の2人が率いると表明した。
トランプ氏は声明で「官僚主義を解体し、過剰な規制と、無駄な支出を削減し、連邦政府機関を再編成する」とマスク氏らの役割に期待を寄せた。政府の歳出削減や規制緩和、技術革新の促進などを主導させ、より効率的な政府運営を目指すとみられている。ラマスワミ氏は連邦捜査局(FBI)の閉鎖などを提唱したことがある。
トランプ氏は12日、国境管理を担う国土安全保障長官にサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(52)、中央情報局(CIA)長官にジョン・ラトクリフ元国家情報長官(59)を充てる人事も発表した。
ワシントンに到着したトランプ氏は共和党のマイク・ジョンソン下院議長らと会談した。ホワイトハウスでバイデン大統領と会談し、円滑な政権移行に向けて協議する。2021年1月の退任後、約4年ぶりのホワイトハウス訪問となる。