新潟戦で後半スタートから出場した植中。攻撃の軸となり、何度も好機を演出した。写真:鈴木颯太朗

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[J1第34節]横浜 0−0 新潟/10月18日/日産スタジアム

「目に見える結果を出さないといけない立場なので、悔しいです」

 アルビレックス新潟とスコアレスドローに終わった試合後、悔しさを滲ませたのは横浜F・マリノスの植中朝日である。

 22歳のストライカーがそう語った理由はいくつかあるはずだが、そのひとつとして挙げられるのが、トップ下の先発に名を連ねたのが植中ではなく、左ウイングが主戦場のエウベルだった点だろう。

 4−2−1−3を基本システムとする横浜において、トップ下は西村拓真、天野純、植中の3人でローテーションすることが多い。エウベルも試合中に流動的に立ち位置を変えたり、選手交代の関係でトップ下に入ることはあるが、「昔にやっていたが、最近はそこでプレーしていない」(エウベル)不慣れなポジションである。

 また、横浜が名古屋グランパスに勝利(2−1)したルヴァンカップ準決勝第2戦で、1−1で迎えた82分に勝ち越し弾を奪ったのも、トップ下で途中出場した植中だった。その名古屋戦で西村が負傷したうえに、欠場が続く喜田拓也の代わりに天野がボランチで起用されたのであれば、通常なら植中がトップ下に入ることが想定されるだろうが、今回の新潟戦ではエウベルが先発したのだった。
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 植中も「正直、拓真くんが怪我をしてしまって、ゴールも自分が取ったので、自分が入るかもって少し思いましたけど、メンバーが決まって悔しかった」と明かす。そして、「結果を残して、監督のなかでの自分の立ち位置を上げる」と意気込んでいたからこそ、ゴールという“結果”を残せなかったことを悔やむ。

 ただ、エウベルがトップ下で持ち味を発揮できなかった一方で、植中は空いているスペースを見つけて最終ラインやボランチからボールを引き出し、アンデルソン・ロペスとのワンツーで何度も抜け出して好機を演出するなど、存在感を放った。

 本人も「前半はビルドアップの部分で苦戦をしていたので、ベンチメンバーとどうやったらスムーズになるかって話をしていた。自分が入ったらこうしようっていうプレーをイメージできていたので、ビルドアップの部分ではスムーズに前に行くようになったと思う」と手応えを口にする。

 リーグ戦と並行してACLEと天皇杯を戦っている横浜は、今後もタイトなスケジュールで連戦をこなしていかなければならず、ターンオーバーも十分に考えられるだろう。「チャンスを与えられた時にしっかり点を取らないと生き残っていけない。結果にフォーカスして、もっとがむしゃらにやりたい」と貪欲な姿勢を見せる背番号14は、レギュラー陣を脅かす存在になれるか。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)