30〜60代女性の約8割が「メンタル不調を実感」 ※画像はイメージです(ponta1414/stock.adobe.com)

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クラシエ薬品株式会社(東京都港区)は、このほど「更年期のメンタル不調」に関する実態調査の結果を発表しました。同調査によると、30代〜60代女性の約8割が「メンタル不調を実感」していることがわかりました。また、具体的な症状は「ストレス・気疲れ」が最多となったそうです。

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調査は、全国の30〜69歳の女性1238人を対象として、2024年7月にインターネットで実施されました。

はじめに、直近1年以内感じた「心の不調・お悩み(※)」について尋ねたところ、全体の81.8%が何らかのメンタルの不調を「感じたことがある」と回答しました。

(※)心・メンタル不調の症状:ストレス・気疲れ、イライラ、意欲・やる気の低下、夜中に目が覚める、不眠・眠れない、怒りっぽい・不機嫌になる、自分に自信がない、不安感・恐怖感がある、記憶力の低下・物忘れ、他人に会いたくない、集中力の低下・ボーっとする、家事や仕事がはかどらない、涙もろい・すぐに泣いてしまう

続いて、「更年期にあたる世代(45〜54歳)」「更年期前の世代(30〜44歳)」「更年期後の世代(55〜69歳)」の3世代でメンタル不調を感じたことがある人の割合を比較したところ、「更年期にあたる世代」(85.0%)が最も高いスコアになりました。

さらに、「更年期前の世代」(84.1%)でも同等のスコアがみられたことから、メンタル不調は比較的早くから現れる傾向がうかがええます。

一方、「更年期後の世代」(74.9%)では他の世代よりも10ポイント程度下がり、メンタル不調が落ち着く傾向がみられ、比較的女性ホルモンの増減が少なく、自律神経のバランスも安定する更年期後は、メンタル不調が軽減する可能性が考えられるといいます。

また、「具体的な症状」としては、全体では「ストレス・気疲れ」(49.8%)、「イライラ」(38.0%)、「意欲・やる気の低下」(34.4%)が上位に挙がりました。

世代別に比較すると、更年期前の世代と更年期にあたる世代では、全体と同様の傾向が見られた一方で、更年期後の世代は他の世代に比べて「夜中に目が覚める」(32.7%)や「不眠・眠れない」(28.2%)など睡眠に関する悩みが多いことから、更年期が終わると徐々にメンタルの悩みが軽減し、内容にも変化が表れる傾向がうかがえました。

さらに、「日常生活でストレスに感じていること」については、全体では「将来の不安」(48.6%)、「収入・家計・金銭面」(41.6%)、「自身の健康・体調・体質」(41.3%)などが上位に挙がりました。

世代別でストレス要因を比較してみると、更年期前の世代では「収入・家計・金銭面について」(50.8%)が1位となり、他の世代ではみられなかった「育児」(25.4%)が4位に入っており、更年期前の世代はまだ幼い子をもつ親も多いことから、家計の不安に加えて子育てにおけるストレスも感じていることが見て取れました。

一方、更年期にあたる世代と更年期後の世代になると、「自分の健康・体調・体質について」(更年期45.2%、更年期後43.4%)が高くなる結果となりました。

なお、更年期について藤沢女性のクリニックもんまの門間医師は、以下のように解説しています。

【なぜ更年期になると心の不調が現れるのでしょうか?】
年齢を重ね更年期に近づくと、卵巣の機能が低下しエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が急激に減少します。エストロゲンの急激な減少によりホルモンバランスが崩れ、自律神経に影響を及ぼすため、心身の不調が現れることがあります。さらに、更年期の症状はホルモンバランスの影響だけでなく、仕事や家庭環境などの心理的要因も関わっていると言われています。

【更年期症状のお悩みを訴えて来院される患者さんはどれくらいいらっしゃいますか?】
更年期症状で婦人科を受診される方は全体の4割程度です。受診される人の多くが日常生活に支障が出始めてから来院されることが多いです。

ここ数年、メンタル面の不調に悩まれている人も増えてきていると実感しています。メンタル面の不調は悪化するとうつ病になる可能性もあるため、何もする気が起きない、眠れないなどの少しでも気になる症状があれば、気軽に医師に相談してみてください。

【更年期症状を訴える患者さんへの病院での治療方法について】
まずは、カウンセリングをし、お悩みの症状や生活習慣についてもお伺いします。食事や睡眠など、生活習慣の中で改善できることがあれば、生活改善の指導を行います。

また、必要に応じて薬物療法や漢方療法、ホルモン補充療法、プラセンタ注射を用いることもあります。基本的には、患者さんのライフスタイルと症状にあった治療方法を提案しています。

【更年期と上手く付き合っていくためのアドバイス】
まずは、更年期について知ることが大切です。どういった症状があるのか知っておくだけで、症状が出た時に「更年期かも」と受け止めることができるようになります。自分が更年期かもと感じたら、自分の症状を理解して、自分の症状に合った対策を見つけてみましょう。更年期症状にお悩みの方は、我慢せずに一度医師へ相談することをおすすめします。

【体質別:食事でメンタル面の更年期症状を改善する方法】
▽イライラするタイプの人
怒りっぽい、頭痛、めまい、イライラするといった症状がある方は肝の気が滞っている傾向があります。肝は自律神経や情緒などをコントロールする臓腑のため、肝が不調になると、イライラしたり怒りっぽくなったりします。このタイプの人は気を巡らせる効果が期待されるみかん、レモンなどの酸っぱい食材、またはゴーヤなどの苦い食材を摂ることをおすすめします。

▽ストレス・気疲れを感じるタイプの人
ストレスによる気疲れやだるさを感じる方は「血」が不足または滞っている傾向があります。このタイプの人は「血」の巡りをサポートするたまねぎや青魚を摂ることをおすすめします。また、胃腸の状態が悪いと「血」が不足するため、筋肉の緊張をゆるめ、胃腸の働きを助けるキャベツやゆり根、やまいもなどの自然の甘味がある野菜を摂っていきましょう。