石破新総裁、財務相に加藤元官房長官を起用 アベノミクス推進=関係者

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Yoshifumi Takemoto

[東京 29日 ロイター] - 自民党の石破茂新総裁は、1日に発足する新内閣で財務相に加藤勝信元官房長官を起用する意向を固めた。党総裁選で石破氏と戦った加藤氏は、選挙期間中に「アベノミクス」の推進を訴えてきた。

主要閣僚ではこのほか林芳正氏を官房長官に留任、中谷元氏を防衛相に再任する。外相に岩屋毅元防衛相を、経済再生相に赤沢亮正財務副大臣を充てる。事情を知る2関係者2人が29日、明らかにした。

加藤氏は安倍晋三、岸田文雄両内閣で厚労相、菅義偉内閣で官房長官を務めた。義父で党の重鎮だった故・加藤六月氏を通して安倍家と関係が深く、今回の総裁選でも「アベノミクスを推進した精神が私に染みついている」とアピールしてきた。

選挙期間中に経済・金融政策への姿勢を明確にしてこなかった石破氏は新総裁に選出されて以降、「必要であれば財政出動はする。金融緩和基調というのは基本的に変えることはしない」などと述べている。

赤沢氏は石破氏の最側近の1人。総裁選では石破陣営の政策責任者として広報業務も担った。岩屋氏は安倍内閣で防衛相を務め、岸田首相や石破氏と近く、今回の総裁選では石破氏の選対本部長だった。陸上自衛官出身の中谷氏は小泉純一郎内閣で防衛庁長官を務めた。安倍内閣では防衛相として安保法制を成立させた。

石破氏は新政権発足後、国民に信を問うためなるべく早く衆議院の解散に踏み切る考え。この日出演したNHKの討論番組で、10月の解散・総選挙・投開票の可能性を問われ、「いろいろな可能性は否定しない」と語った。

岸田政権で昨年12月から官房長官を務めた林氏を再任する狙いについて石破氏は、NHKの番組で「岸田政権を基本的に引き継ぐので、外交・安全保障も経済政策も連続性がなければならない。そういう方に官房長官に座っていただくのは当然だ」と話した。

党総裁選に出馬した林氏は1回目の投票で65票を獲得し4位となった。旧岸田派のナンバー2として外務相などを歴任した。

与党関係者2人によると、内閣を支える党の要職には幹事長に森山裕総務会長、政調会長に小野寺五典元防衛相、選挙対策委員長に小泉進次郎元環境相を起用する。

また、党の副総裁には菅前首相を充てる意向を固めた。菅氏は総裁選で小泉氏を支援した。

(竹本能文 編集:久保信博)

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