中国社会の急速な高齢化は、若者が都市に流出した農村部で特に顕著だ(撮影:財新記者 丁剛)

中国社会の高齢化が一段と進んでいることが、最新の統計から裏付けられた。中国民政省が8月30日に発表した2023年版の統計公報によれば、中国の総人口に占める60歳以上の高齢者の比率が初めて20%を突破した。

具体的には、2023年末時点の60歳以上の人口は2億9697万人に達し、総人口に占める比率は21.1%と1年前より1.3ポイント上昇した。

65歳以上の人口は15.4%

また、同じ時点の65歳以上の人口は2億1676万人、総人口に占める比率は1年前より0.5ポイント高い15.4%を記録した。

財新記者の取材に応じた複数の専門家によれば、ある国の総人口に占める60歳以上の比率が10%を超えるか、または65歳以上の比率が7%を超えた場合、(その国は)高齢化社会の段階に入ったと定義するのが一般的だ。

さらに、60歳以上の人口が20%を超えると「中度」、30%を超えると「高度」の高齢化社会と見なされる。この区分に従えば、中国の高齢化はすでに(軽度の段階を過ぎて)中度の水準に至ったことになる。

もっとも、中国が中度の高齢化社会に突入するのは(これまでの人口動態から)予想されていたことだ。そして10年後には、高度の高齢化社会の段階に進むことが確実視されている。

中国国務院が2022年に発表した高齢化対策に関する報告書によれば、中国の60歳以上の人口は2035年までに約4億2000万人に増加し、総人口に占める比率が30%を超える。60歳以上の高齢者の比率はその後も上昇し続け、2050年前後にピークに達すると報告書は予想している。


中国では介護需要の増加にもかかわらず、高齢者施設の多くが経営難に直面している。写真は河南省鄭州市の老人ホーム(撮影:財新記者 陳亮)

社会の急速な高齢化は、介護需要の大幅な増加をもたらす。それに対応するため、中国政府は第14次5カ年計画(2021〜2025年)の一環として、中国全土の高齢者施設のベッド数を2025年までに900万床以上に増やす目標を打ち出した。

高齢者施設が経営難の矛盾

ところが、実態はむしろ逆の動きを示している。前出の民政省の統計公報によれば、2023年末時点の中国全土の高齢者施設数は40万4000カ所と、1年前の38万7000カ所から4.4%増加した。しかし(各施設が備える)ベッド数に目を移すと、2023年末時点で823万床と1年前の829万4000床より0.8%減少してしまった。


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財新記者の取材によれば、ベッド数が減少した背景には高齢者施設の経営難がある。介護サービスの料金設定が地域住民の(平均的な)支払い能力を上回っているため、多くの施設が空きベッドを埋めるのに苦労しているのが実態だ。

中国社会のさらなる高齢化を支えるために、(政府の支援などにより)高齢者施設の持続可能な収益モデルを作ることが急務と言える。

(財新記者:許雯)
※原文の配信は9月4日

(財新 Biz&Tech)