アメリカ商務省が、中国やロシアで作られたソフトウェアやハードウェアを搭載したコネクテッドカーの輸入および販売を禁止する方針を明かしました。近代的な車種のほとんどが、何らかの形で通信する機能を搭載しているため、中国やロシアなどアメリカと対立する国で作られた技術を搭載した車両の大半が禁止の対象になると指摘されています。

Exclusive: US to propose ban on Chinese software, hardware in connected vehicles | Reuters

https://www.reuters.com/business/autos-transportation/us-propose-barring-chinese-software-hardware-connected-vehicles-sources-say-2024-09-21/

US proposes ban on smart cars with Chinese and Russian tech | CNN Business

https://edition.cnn.com/2024/09/23/tech/us-car-software-ban-china-russia/index.html

US to ban Chinese connected car software and hardware, citing security risks | Ars Technica

https://arstechnica.com/cars/2024/09/us-to-ban-chinese-connected-car-software-and-hardware-citing-security-risks/

アメリカのジーナ・レモンド商務長官は2024年9月22日の電話会見で、2月に始めた政府調査により、アメリカの自動車に組み込まれた中国およびロシア製のソフトウェアとハードウェアに、ハッキングによる遠隔操作やドライバーの個人情報収集の危険性など、さまざまな国家安全保障上のリスクが存在することが判明したと発表しました。

「敵対的な外国が車両の通信ソフトウェアを開発した場合、それは監視や遠隔操作に使われる可能性があり、アメリカ人の路上におけるプライバシーと安全性が脅かされることになります。極端な状況では、海外の敵対勢力がアメリカで走行している車両を一斉に停止させたり、操作して衝突事故や道路封鎖を発生させたりする可能性もあります」とレモンド氏は話しました。

伝えられるところによると、ソフトウェアの禁止は2027年モデルから、ハードウェアの禁止は2030年モデルから適用されるとのこと。なお、既に国内を走っている中国製ソフトウェア搭載車両については適用外となっています。



この新規制の対象となる「コネクテッド車両」は、路上への故障に対する支援サービスであるロードサイドアシスタンスや衛星通信など、さまざまな機能のためにネットワークに接続するほぼすべての乗用車、バス、トラックを指す言葉で、Bluetooth、WiFi、モバイル回線など、車両が外部と通信する主要な技術に関するハードウェアとソフトウェアの両方を対象としています。

新しい規制案の必要性が叫ばれる背景には、半導体からAIに至るまでさまざまな分野で激化している経済大国間の摩擦があります。中国はコネクテッドカー市場に多額の投資を行っており、特に中国メーカーのヨーロッパ進出はEUの同盟国であるアメリカ当局の悩みの種となっています。

一方の中国もアメリカの自動車が国内を走ることに危機感を抱いており、中国当局はテスラ車が敷地内に進入するのを禁止していることが、メディアによって報じられていました。



IT系ニュースサイトのArs Technicaは「商務省は今回の件で、国家安全保障上の懸念を理由に挙げていますが、この動きは多額の補助金によって作られた中国車がアメリカに入ってくるのを遅らせたり阻止したりする、より広範な取り組みの一環と捉えるべきでしょう。中国政府は、自国の自動車メーカーが車を海外に超低価格で販売できるよう、年間数十億ドル(数千億円)を直接的に補助しています」と指摘しました。

ロイター通信の取材に応じた情報筋によると、この禁止措置は中国だけでなくロシアなど他のアメリカの敵対国にも適用されるとのことです。