“奇跡”の50-50到達も現実味 一方で米識者は大谷翔平のMVP受賞には異論「今のオオタニは守備もしなければ、投球もしない」
日々ありとあらゆる話題を提供し続けている大谷。MVPの行方に対する注目度も増している。(C)Getty Images
大谷翔平(ドジャース)は当たり前のように“前人未到の偉業”をやってのけた。
現地時間8月30日に敵地で行われたダイヤモンドバックス戦で、「2番・指名打者(DH)」で先発出場した大谷は、8回二死で迎えた第5打席で左翼席へ43号ソロを記録。これでメジャーリーグ史上初の「シーズン43本塁打・43盗塁」を到達した。
【動画】ついに前人未到の領域に!大谷翔平が43号本塁打で「43‐43」達成のシーン
前日までに「42本塁打・42盗塁」を記録していた大谷は、2回の第2打席に右肘付近への死球で出塁すると二盗を成功。これで偉業まで「あと一本」と迫ると、終盤8回の第5打席に相手右腕ポール・シーウォルドの投じた93マイル(約150キロ)の4シームを左翼席に運んだ。
現代野球では“奇跡”とも言うべき史上初となる「50本塁打、50盗塁」の偉業すらも現実味を帯びてきている。そんな大谷が出色のパフォーマンスを見せ続ける中にあって、ナショナル・リーグMVPを巡る論争も白熱している。
フルタイムでDHを務める選手のMVP受賞は史上初となるが、今の大谷であれば、十分に可能性はある。近年のMVP投票において重要視されている指標「bWAR」(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す数値)もナショナル・リーグでトップの「6.9」を記録している。DH選手にマイナス補正がかかる同指標の性質を考えれば、異次元の値と言えよう。
一方で守備での貢献度がある選手を推す声が根強いのも事実だ。ニューヨークに拠点を置くスポーツ専門局『SNY』の編集マネージャーを務めているダニー・アブリアーノ氏は、自身のXで、メッツの遊撃手フランシスコ・リンドーアをMVPに推挙。大谷と比較した持論を展開している。
「今、リンドーアは34本塁打、42二塁打、110得点、96打点でシーズン終える勢いだ。 彼は現球界で最高の守備力を持つ遊撃手で、彼は文字通りすべての試合に出場している。そして彼はナショナル・リーグのfWAR(米野球専門データサイト『FanGraphs』のWAR)ではトップに立っている。彼こそショウヘイ・オオタニよりもMVPにふさわしい」
かねてから守備力にも定評があり、今シーズンは打撃面でも安定した活躍を続けているリンドーア。それだけにアブリアーノ氏の主張ももっともである。
しかし、打撃で図抜けた異次元さを見せつけている大谷よりも“MVPにふさわしい”とする意見には、「オオタニはあらゆる面でリンドーアを上回っている」「リンドーアの素晴らしさは認めるがMVPはない」「今のオオタニほどMVPにふさわしい選手ではない」と反論が寄せられた。しかし、アブリアーノ氏は一連の反発に対しても「今のオオタニは守備もしなければ、投球もしない。皆、かなり大きな部分を省略しているようだね」と自身の考えを崩さなかった。
シーズンは残り約1か月。果たして、大谷は史上初の「50本塁打・50盗塁」をやってのけるのか。そして白熱するMVPの行方はどうなるか。まだまだ二刀流スターへの関心は尽きそうにない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]