やはり“守備免除”では評価されない? 米メディアが大谷翔平よりもメッツ遊撃手を推す理由「守備の価値は評価すべきだ」

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MVPへの期待も高まっている大谷(左)。一方でリンドーア(右)も好調を維持し、声価を高めている。(C)Getty Images

 大谷翔平(ドジャース)が“偉業”に向け、邁進し続けている。

 現地時間8月28日に本拠地で行われたオリオールズ戦で、大谷は「1番・指名打者」で先発出場。初回に42号ソロを放つなど1本塁打、2盗塁を決め、史上2人目の“快挙”をやってのけた。

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 初回に好投手コービン・バーンズから体勢を崩されながらも右翼席に一発を放った大谷は、右前打で出塁した3回に三盗を成功。さらに5回無死一塁の第3打席は一ゴロで一塁に残ると、直後に二盗を成功させ、相手投手の暴投の間に三塁にまで進んだ。

 この試合で今季42本塁打&42盗塁とした大谷は、1998年にアレックス・ロドリゲス(当時マリナーズ)が記録した「42本塁打&46盗塁」以来、2人目となる「42-42」を達成。またひとつ球史に名を刻む記録を達成した。

 史上初となる「50-50」の偉業も現実味を帯びてきている大谷。となると、必然的に可能性が膨らむのが、キャリア3度目となるMVP受賞だ。

 フルタイムでDHを務める選手がMVP受賞となれば、史上初の快挙となるが、ライバルがいないわけではない。目下、競争相手として目されているのは、メッツの遊撃手フランシスコ・リンドーアだ。

 シーズン序盤こそ不振に喘いでいた30歳だが、6月以降に復調。オールスター明けから打率.311、10本塁打、25打点、OPS.951と安定してハイアベレージを記録している。さらに近年のMVP投票において、重要視されている指標「bWAR」(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す数値)も「5.9」と高い数値を残している。

 もっとも、リンドーアのレギュラーシーズンの打撃成績は打率.270、27本塁打、OPS.825、出塁率.339と大谷よりも下。さらにbWARでも二刀流スターが「6.6」を上回っている。だが、守備での貢献度を高く評価する米メディアではカリスマ遊撃手のMVP受賞を推す意見は根強い。

 米スポーツ専門局『CBS Sports』のマット・スナイダー記者は「リンドーアは、おそらくキャリア最高で、MVP級のシーズンを送っている。そして彼はまだ過小評価されている」と指摘。「オオタニはMVPの座を固めつつあるが、間違いなくリンドーアも議論に名前を連ねる価値がある」と訴えている。

 また、「DH選手がマイナスとなるWARだけにMVPの行方を頼るべきではない」とも語るスナイダー記者だが、「守備の価値は十分に評価すべきだ。とくにリンドーアは、ショートというフィールドで最も重要で要求の厳しいポジションを担っている。そして彼の守備率は.981と堅実だ」と強調している。

「全体的に見ても、今のリンドーアは全てがうまくいっていて、ほとんどの局面でエリートレベルにある。自らをスーパースターであると示している彼がMVPを決める議論に加えない理由はない。彼は最終的に歴史的にも優れた打撃成績を残そうとしているオオタニの後塵を拝する可能性もあるが、野球界で最も優れたオールラウンドプレーヤーの一人なのだ」

 果たして、白熱するMVPレースの行方はどうなるか。日々激化するレギュラーシーズンでの優勝争いやポストシーズン進出争いとともに大いに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]