お絵描きアプリ「Procreate」が生成AI反対の立場を明確に表明
iPadのデザインアプリ「Procreate」が生成AIに反対の立場を表明し、自社製品に生成AI機能を導入しないことを宣言しました。
創造性を生み出すのは人々。- Procreate®
https://procreate.com/jp/ai
Procreateは「NO 生成AI」「あなたの作品は、あなたのもの」「個人情報を守ることに誇りを持っている」という3つのスタンスを示しました。
また、Procreateのジェームズ・クーダCEOは以下のムービーで、「個人的に生成AIは本当に不愉快です。今この業界で起こっていることも、アーティストに与えている様々な痛みも納得いかないです」と述べ、Procreateの製品に生成AIを取り入れないことを表明。「私たちの製品は常に人間が何かを生み出すという考えのもとに設計され、開発されています。この物語がどこへ向かうのか、どのように終わるのかは正確にはわかりませんが、人間の創造性をサポートする正しい道へと進んでいると信じています」とコメントしました。
生成AIは私たちの未来ではない。
詳細はここから: https://t.co/ae8YT4nLBU pic.twitter.com/YzT2SX0IyS— Procreateジャパン (@ProcreateJapan) August 18, 2024
公式サイトの声明文と上記ポストは英語版と日本語版が公開されています。Procreateの姿勢は多くのデジタルアーティストから幅広く称賛を集めており、X(旧Twitter)のポストには賛同のコメントが多く投稿されています。
We highly appreciate your support, Freya!— Procreate (@Procreate) August 19, 2024
以下のポストは、生成AIに対して意見を述べたProcreateを高く評価し、AdobeやDeviantArtなどの他企業は真摯(しんし)に対応してこなかったと批判しています。
LOOK how easy this is to say. Procreate rules.
Never forget how other business that depend WHOLLY on our good will as a community, couldn’t look us in the eye. @Photoshop , @ArtStationHQ , @DeviantArt - I hope this shames you. https://t.co/rlD2D1AsXp— Nicholas Kole (@FromHappyRock) August 19, 2024
デザインアプリやお絵描きアプリで画像生成AIに対して明確にNOの姿勢を示したケースは非常に珍しく、他の企業はこれまで画像生成AIをむしろ積極的に取り込もうとしてきました。
例えば、「CLIP STUDIO PAINT」をリリースするセルシスは、画像生成AIを応用した「画像生成AIパレット」を試験的に実装しようとしましたが、多くの反対の声を受けて搭載を取りやめています。
CLIP STUDIO PAINTへ画像生成AI機能を搭載しないことといたしました
https://www.clipstudio.net/ja/news/202212/02_01/
さらに、Adobeは独自の画像生成AI「Firefly」をPhotoshopに搭載し、画像を生成したり塗り潰し機能に応用したりしています。
Photoshopに画像生成AIが搭載されて「画像に好みの被写体を追加」「背景を別物に変更」といった操作を日本語で指示するだけでサクッと実行可能になったので使ってみた - GIGAZINE
一方で、「生成AIそのものはツールであり、創造性を生み出すためにも使うことができる」という意見もあり、生成AIを全否定するProcreateに異議を唱えるポストもありました。
Re: Procreate Stance
I use Procreate to draw some of my datasets. I really enjoy Procreate as a tool and won’t stop using it.
I find the negativity disappointing and a bit erasing - synthetic art is a part of a very involved creative process for me.
But, also, I do see… pic.twitter.com/sGTQPDQzQL— Mint (@araminta_k) August 19, 2024
なお、Procreateは「生成AIは人々の創作力を奪略しています。盗作を軸に学習する生成AIのテクノロジーは、私たちを不毛な未来へと導いています。機械学習にはたくさんのメリットがありますが、Procreateの未来には生成AIはないと判断しました」と述べており、学習用データセットが著作権を侵害している可能性を生成AI否定の理由の1つに挙げています。