老々介護も限界なので、私が面倒を見ることになりそうです。義理父母はエンディングノートも書いてくれないのですが、どう向き合ったらいいですか?

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コロナ禍で家にこもることが増えた時、シニア世代でも衣料品などを整理してネットで出品してお小遣い稼ぎをするという、「終活」のブームのような時期がありました。 一方で、シニアが罹患すると重篤化する場合が多々あったので、もしもの時に備えてエンディングノートを書いた人も増えました。ですが「どちらも手付かず」の場合が多いというのが実情です。

老々介護は限界だけど、どう手助けしたら良いかわからない

先日60代のAさんから、SOSとも思える相談がきました。
「義母が入院したので、92歳の義父を独りで放っておけず週末は介護に行ってきました。この先を考えると施設の入居も検討しなくてはいけませんが、費用がかかるので簡単には切り出せません。資産状況もまったく分かりませんが、これまで車や衣服にお金を使い散財していたようなので、期待できません。面と向かって聞くわけにいかないので、エンディングノートを渡してみましたが、記入してもらうことは難しそうです」
Aさんの夫はひとりっ子です。親子の仲は悪くありませんが、日頃から口数の少ない夫よりも、ご両親は嫁のAさんを頼りにされているようです。自宅と実家の距離は車で1時間半ほどです。過去に緊急入院した場合などは、深夜でも駆けつけています。
老齢になって両親ともに弱ってきたので、Aさんの自宅近くに引っ越しを提案しましたが、長年暮らした環境は変えたくないようです。また荷物の多さもネックになっているようで、引っ越しのハードルは高そうです。
 

エンディングノートを埋める要領で聞き取り調査

これは一筋縄にはいかない難問ですが、少しずつひもとく方法として、実家のお片付けを提案しました。まずは荷物を減らすことではなく、あくまで整理です。シニアが骨折して寝たきりになるケースは多く、転倒は自宅で起きることもあります。慣れている場所でのつまずきを避けるためにも、生活動線はスッキリと片付けておきたいです。
Aさんの実家はモノが多いとのことなので、なおさらです。衣服の衣替えもそうですが、台所用品や日用品も普段よく使うものを分かりやすく整理してあげることを優先してください。整理する中で会話が弾み、Aさんにとって必要な話題もしやすくなると思います。
「必要な話題」とはなんでしょうか? この先、要介護度が進み認知症が発症することなども想定されます。「何を確認しておく必要があるのか」を整理するためには、エンディングノートを活用することがお勧めです。ご本人に書いてもらうことは難しいですが、日常会話の中で聞き取り調査をするイメージなら、空欄を埋めていく作業は進むのではないでしょうか。
(図表)


もちろん、言うは易く行うは難しい作業です。焦らずに時間をかけないと、両親がそっぽを向いてしまう危険もあります。特にお金に関することはデリケートな問題です。
もしもの時のことを考えると、金額はさておき、書類の保管場所だけでも情報を共有しておきたいところです。
病院への支払いは、どの資金を充てるのか? 医療保険などには加入しているのか? 退院後はどのように介護するのか? など、知りたいことがたくさんあります。このように考えると、義母の入院は、情報収集を始める糸口になるかもしれません。
義父と今後の生活について話し合うことで、エンディングノートが少しでも多く埋められれば、Aさんの不安も少し解消できるのではないでしょうか。
執筆者:宮粼真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士