ソーラーパネルで発電しながら飛行する重さわずか4.21gの超軽量ドローン「CoulombFly」を、北京航空航天大学の研究チームが開発しました。CoulombFlyは紙よりも軽い回転翼で空を飛ぶことが可能だそうで、どのようなドローンになっているのかを解説する動画が公開されています。

Sunlight-powered sustained flight of an ultralight micro aerial vehicle | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-024-07609-4

This tiny solar-powered flyer weighs less than a paper plane

https://www.nature.com/articles/d41586-024-02316-6

This tiny solar-powered flyer weighs less than a paper plane - YouTube

この奇妙な形をした物体が、研究チームが開発した軽量ドローン「CoulombFly」です。



下部のソーラーパネルを覆っていた紙を外すとプロペラが回転し始めて、本体が浮き上がりました。



超小型ドローンは環境のモニタリングから災害現場の救助活動まで、さまざまな用途に使用できる可能性を秘めています。しかし、ほとんどの超小型ドローンは10分程度しか飛行できないという問題を抱えています。



その理由は、摩擦などの要因によって従来の電磁モーターの効率が下がるためだとのこと。



異なるタイプの推進システムもテストされていますが、これらの新しいモーターは離陸するために地上の電源システムが必要であり、ドローン本体に給電ケーブルを接続しなくてはならないそうです。



ソーラーパネルによる太陽光発電は電源の問題を解決するかもしれませんが、これまで自然光だけを使用して給電ケーブルなしで飛行可能な超小型ドローンはありませんでした。そこで研究チームが開発したのがCoulombFlyです。



CoulombFlyには、超軽量・高密度のソーラーパネルで駆動する新しい推進システムが搭載されています。



CoulombFlyの回転機構はこんな感じ。



新しい推進システムは「Rotor(ローター)」と「Stator(ステーター)」という2つの主要コンポーネントで構成されています。



ステーターはリング上に配置された8対の正極と負極からなる構造です。各電極にはブラシが取り付けられており、これがローターのブレードに電荷を転送します。



電極に電圧がかかると、ローターを駆動する静電場が形成されます。



これによってローターが回転すると、ブレードがプラスとマイナスの各電極を交互に通過し、電荷が転送されることによって回転が維持されるとのこと。



ローターの回転によってプロペラが駆動され、紙よりも軽い翼が回転してCoulombFly本体が宙に浮き上がるという仕組みです。



この設計により、同サイズの超小型ドローンよりも電力効率が向上します。



さらに、ほとんどの電磁モーターとは異なり本体が熱くならないため、コンポーネントの寿命が延びる可能性があるとのこと。



研究チームは、この設計が小型の宇宙船にも応用できる可能性があると考えています。



CoulombFlyには飛行方向を制御する機構がないため、今のところ本体をレールで囲むことで飛行方向を垂直に誘導する必要があります。また、紙などの遮へい物でソーラーパネルが覆われると出力が落ちてしまうなどの問題も残っています。



しかし、研究チームは将来的にこれらの問題がすべて解決され、同様の設計で自由に飛行できる超小型ドローンが開発される可能性があると主張しました。