いま、東京には“コース1万円前後”で楽しめる店が増えてきている!

そんな中でも、青山・渋谷・代々木・神泉・目黒・白金という人気エリアから、注目のレストラン6軒を厳選してご紹介!


1.ここぞの夜は、青山を風靡する人気店の“最高の魚”で迎え撃つ
『青山おとと』



コース全9品¥12,000



店内は贅沢なL字カウンターを中心に、テーブル席や半個室も完備している。青山の中心でこのゆとりある空間は希少な存在


「青山で新鮮な魚介尽くしが楽しめる」と話題の『青山おとと』

実はこちら、同じ青山にあるカウンターフレンチ『Hiroya』、ワインバー『Yoruya』といった人気店を手掛けるオーナーシェフ・福嶌博志さんによる3店舗目。

福嶌さんは店が終わったあと、マグロを釣りに行くこともあるほどの無類の釣り好き。

先の2軒といえば洋のイメージが強いが、三ツ星店『龍吟』で腕を磨いたこともあり、和の心得も確か。そのため、魚の旨さをシンプルに味わえる店を開きたいと、炭火焼きと南部鉄器の釜で炊き上げるご飯を軸に据えた。

店を任されたのは、『菊乃井』などで修業した古谷 望さんと、和食の経験豊富な塚原健太さん。


魚介の旨い店で相手を骨抜きにするのは、デキる大人の常套手段

炭火焼きは、魚にとって最高の手法。ガスと違って水分を出さず、表面をパリッと焼きつけながらふっくらと焼き上げることができる。炭の香りと本来の旨みが満喫できる


オススメは「炭火焼 旬のお魚と国産牛のプレミアムコース」。



この日の「炭火焼き」はますのすけ。レアめの火入れで、とろけるような味わいに驚く


メインはじっくりと火入れして香りと旨みを閉じ込めた鮭の王様「ますのすけ」などの炭火焼き。



「旬のお造り盛り合わせ」は、マグロ3種、うに、子持ちボタンエビなど5〜7種類の海の幸がたっぷり。この量で1人前というから驚く


そこに「お造り盛り合わせ」や手の込んだおつまみ、十勝ハーブ牛の炭火焼までそろう大満足の内容。




「冷菜3種盛り合わせ」「温菜3種盛り合わせ」では、アワビの柔らか煮などが少しずついただける。



ワインはグループのソムリエがセレクト。グラスも泡、赤白ロゼと豊富


そして、料理とともに楽しみたいのがワイン。特に魚介類に合うオセアニアワインを豊富にそろえている。

香ばしい炭火焼きには、樽の効いたオーストラリアのシャルドネがぴったりだ。極上の魚介をワインとともに味わい尽くそう。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥28,980


「プレミアムコース」2名分のほかは、白ワインと赤ワイン(¥900)をそれぞれ2杯ずつ。

コースにボリュームがあり、味噌汁もつくのでお酒控えめでも満腹!



2.匠の系譜の「ヌーベルシノワ」をあえてのデートで選ぶ大人感
『ON the TABLE CHINESE』



コース8品¥6,600



黒やグレーを基調としたイマドキ空間に、一直線に伸びた白い大理石風のカウンターがひときわ映える。後方には個室としても使えるテーブル席があり、接待や会食にも重宝

艶やかなムードも醸すモダンなカウンターから驚きは始まる


彩りも華やかに洋皿を飾るハーブやエディブルフラワーがのるのは、牛肉のステーキ?と思いきや「黒酢炒めです」と話すのは、平賀大輔さん。



横浜『游仙境(ゆうせんきょう)』を皮切りに、博多『蓮双庭(れんそうてい)』と渋谷『dots』で料理長を務めるなど、Wakiyaグループの要職を歴任してきた平賀さんは今年44歳に


西洋料理の要素を取り入れ、中華に革命を起こしたヌーべルシノワの第一人者・脇屋友詞シェフの下で20年以上研さんを積んだ生え抜きと聞けば、フレンチを思わせる美しい盛りつけにも合点がいく。

そんな平賀さんは今年の1月に晴れて独立。渋谷・金王八幡宮のすぐそばに、『ON the TABLE CHINESE』を開いた。


中華の巨匠も全幅の信頼を置いた、熟練のテクニックに脱帽

「前菜6種盛り合わせ」。手前左から大根餅、トルティージャ、海老芋と松の実のローストなど


大人の雰囲気漂う店内でいただくのは、五香粉風味にアレンジしたパテ・ド・カンパーニュ、カニ玉をイメージしたトルティージャなど洋のエッセンスをさりげなく加味した料理の数々。



¥13,750コースにはフカヒレ煮込みがプラス!


ヨシキリザメの尾ビレを白湯で煮込んだ「フカヒレの煮込み」。

残った白湯には土鍋ご飯を絡ませて。



手の込んだスープなど王道中華もお手のもの!


「鶏泥湯(チーロンタン)」は、鶏挽肉と干貝柱を混ぜて、じっくりと蒸したスープ。



「黒毛和牛の黒酢炒め」は、コースのメイン。牛肉とともに炒めた大分産の原木椎茸は、肉厚で存在感もたっぷり。まろやかな酸味の中、隠し味に加えたカレー粉がアクセントに


中でも、前述の「黒毛和牛の黒酢炒め」は、新たなスペシャリテとなる自信作。

酢豚風に仕上げた牛肉の下にはフレンチのドフィノワよろしく、ジャガイモのクリーム焼きが敷いてあり、牛肉の旨みを優しく受け止める。

素材へのアプローチ、提供スタイルなど随所にヌーベルシノワを感じさせる熟練のコースは、なんと¥6,600から。

特別な夜にも申し分なく、連れの笑顔もいつになく増えるはずだ。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥18,920


コースでは他に、翡翠がゆや焼きたてチャーシュー、点心、2種類から選べる〆などが登場。

世界中から厳選した自然派ワインも、グラス¥900〜とリーズナブル。



3.神秘的なシェフズカウンターは、洗練のタイ料理と美女が似合う
『タレーリン』



コース10品¥8,000



アジアの喧騒を表現したメインダイニングの向こうにキッチンがあり、その一端にシェフズカウンターが備わる。香りと音で食欲中枢を直撃する特等席だ

アーチの先に現れた、五感を刺激し続ける非日常に酔いしれる


これほどまでにキッチンと一体化したシェフズカウンターがあっただろうか。

着席すると、そこは作業スペースと地続き。すぐ隣でシェフが調理しており、彼の自宅に招かれたように錯覚する。

「本当に近いですよね」と笑う『タレーリン』のシェフ・渡部 雄さんは、オープンと同時に店を任された若き精鋭。

タイ料理の魅力を「ひと皿の中に多様な香りが混在していて甘、辛、酸と味わいがリズミカル」と語る。

それまでは7年ほどフレンチで腕を磨いており、その経験を活かした新しい美味しさを志向している。



「トムカータレー」。この日の魚介はコウイカ。生のままマリネして刻み、タイのハーブなどと合わせてフレンチ仕様のタルタルに


例えば、「トムカータレー」は現地でもおなじみの魚介入りココナッツスープだが、サワークリームを入れて西洋的な発酵の酸味を加え、重層的に。



「トートマンクン」。どんこ椎茸にすり身を詰めたフリットで、自家製レッドチリペーストが忍ぶ


エビのすり身揚げ「トートマンクン」なら、フレンチの定番スープであるビスクを濃厚に仕立ててソース代わりに。そうすることでワインと抜群に合う味になる。



「カノムマナオタルト」。カスタードクリームの上にレモンとふきのとうのジャムを重ねた、ココナッツミルクのアイス


ハーブも含め、食材の多くを国産でまかなう点も意欲的な試みで、コースの最後まで料理の独創性は途切れずに続く。


自然派との相性に唸る¥6,000のペアリング!

トムカーに合わせるイタリアの白など各国から自然派ワインのみを集め、ペアリングで提供


この美味しさと抜群の臨場感をふたりで分かち合えるとは贅沢の極みだ。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥30,800


各皿に合わせて、ソムリエ厳選の自然派がなんと8杯も楽しめるワインペアリングはオーダー必至。

料理は他にヤムウンセンやゲーンソムなどが登場した。



4.円山町の緊張感がほぐれた先で、艶やかなスペインナイトに没入する
『ミネバル』



コース6品¥12,100



神泉駅から徒歩1分。大衆店が連なる賑やかな通りで、ガラス張りの2フロアが目を引く。階段は吹き抜け天井で、棚に並ぶのはスペインワインの空ボトル

そこだけ違う世界が広がるとひと目で分かるから、入店前から高揚する


神泉町のモダンスパニッシュ『ミネバル』が、至近ながらもよりディープな雰囲気の円山町の一角に移転。1階は気軽に立ち寄れるバル、2階はコースを味わえるレストランとして生まれ変わった。

シェフはスペイン料理歴15年以上で現地での修業も経験した峯 義博さん。

「スペインの同世代が店を開くなら」というテーマで作った新店は、まさに現地でデートに使われているような洒脱さと木の温かみが融合する空間だ。


「東京でしか食べられないスペイン料理」が粋な誘い文句に


コースでは“高級よりも上質”を信条に、日本食材を駆使しつつ華麗にスペインらしさを効かせる。



「鴨アサード」。表面はパリッと香ばしく、中は一面ロゼ色の火入れも見事


メインの肉料理が分かりやすく、青森の鴨に添えるのは、ふきのとうや安納芋。

シェリービネガーソースで仕上げ、合わせるのは“スペインのブルゴーニュ”と呼ばれる北西部の土着品種の赤だ。ワインがソースのごとく鴨を艶やかにし、両国の山の味が出合う。



コク深くも軽やかな食べ心地の「フォアグラアイスクリームサンド」


シェリーも幅広くそろえ、カルダモン香る「フォアグラアイスクリームサンド」に、芳醇なシェリーを合わせるのも心憎い。

フォアグラのコクが一層リッチになり、口内で気品高く溶けていく。




シェフが15年作り続けている「サーモンのプディング」。

サーモンの身にホタテ、アワビ、いくらなどのマリネをたっぷり添えて。


¥6,600のペアリングはスペインワインで統一!

ペアリングは食中向けの銘柄を含め、半分をシェリーで構成


センスあふれるペアリングも¥6,600だからデートで気を張らず、ふたりで新たな味覚を開拓できる。

帰り際、「次はバルで」なんて約束を取りつけるのもお忘れなく。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥38,720


5種のタパスを含む6皿構成。ボリュームたっぷりのメインがありながら、パエリアもいただける。

各皿につくワインペアリングはぜひオーダーしたい。



5.手練れな相手にこそ違いが冴える「名店出身」の才気に驚く
『トキ』



コース9品¥11,000



店内は木目を基調としたカウンターがメイン。席の間隔も広めでゆったりと食事を楽しめる

カウンター越しで鍋を華麗に操る妙技に、今宵の期待が高まっていく


カウンター越しにすべてを見わたせるオープンキッチンで、寡黙に鍋を振る『トキ』のシェフ・常 勝広さんは恵比寿『マサズキッチン』出身。



町中華からキャリアをスタートさせた常さんは、この道ひと筋20年以上。銀座の上海料理専門店で腕を振るったこともあり、『マサズキッチン』では本店の他、名古屋店の立ち上げにも参画。昨年、満を持して独立を果たした


同店は2008年に創業したモダン中華のパイオニアで、和食の八寸を思わせる「前菜盛り合わせ」など、ジャンルを超えた斬新な料理で新時代を切り拓いてきた。


初めて出合う斬新なアレンジで、なれ親しんだ定番中華の常識が覆る

上品な辛さが特徴の「担々麺」。〆で選べる麺のひとつで、他にも6種の麺を用意


常さんはそこでスーシェフまで務めた実力者。

ごまが上品に香って優しい「担々麺」は出自を明確に示す〆だが、オリジナリティの追求にも余念がなく、コースで食せば、他でなかなか出合えない個性的な料理が連続する。



この日の海鮮料理は「黄色い麻婆豆腐」。素揚げしたエビやホタテがゴロッと入った逸品で辛さもしっかり


海鮮料理の代表作は「黄色い麻婆豆腐」。豆板醤や辣油は使わず、生の唐辛子と山椒油で麻辣味を表現。

「企業秘密(笑)」の手法を駆使してネーミングどおりの鮮やかな黄色に仕上げる。



「黒毛和牛の紹興酒漬け」は、特製ダレに1週間弱漬け込むアミューズ。噛み締めると口中に広がる旨みに驚く


アミューズなら、赤身の味が濃いカメノコを特製ダレに漬け込んだ「紹興酒漬け」、肉料理ならタンを塊で火を入れてからしっとり仕上げる「唐辛子炒め」など、中華では珍しい牛の部位を主役に据えることも。



肉料理から「牛タンの唐辛子炒め」。あらかじめ塊で優しく火入れして仕上げにスパイスと炒め合わせ、鮮烈な香りを纏わせている


どれも「想像してみたら美味しそうだった」という常さんの閃きが活かされている。その発想力と技術力は本物。

斬新だが、食べれば王道の味わいという手法も名店譲りで、手練れな彼女との食後の充足感も高い。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥26,000


生ビール(¥600)で乾杯したあと、コースを楽しみながら紹興酒をグラス(¥1,100〜)で1杯ずつ飲んでこの値段。

料理は他に冷製は珍しい「車海老のスープ」などが登場。



6.白金の抜け道に、ふたりで忍んでソースを味わうフレンチの本懐を知る
『atti』



コース8品¥13,200



『kabi』『songbook』などを手掛ける長田 篤さんによるセンス溢れる空間。お洒落な丸テーブルの半個室もあり

あらゆる出汁を自由闊達に操り、料理に合わせた味わいでゲストを驚かす


「フランス料理のソースは、メイン料理に匹敵するくらい、特別なものだと思っています」

そう話すのは、『atti』のシェフ・松野 敦さん。



シェフの松野さんは25歳で料理の道に入る前は、精神保健福祉士だったという、珍しい経歴の持ち主


これまで『Äta』でシェフを務めた他、『Restaurant Ode』などでも腕を磨き、昨年11月に独立を果たした。

料理はフレンチをベースに松野さんが旅先で得たインスピレーションを皿上で表現。この日は、タイや台湾の要素を随所に盛り込んでいる。



オール椎茸のひと皿「天恵蝱のローストと椎茸ソーセージ」。岐阜・橋場農園の肉厚なプレミアム椎茸と、菌床椎茸を粗く切ってペースト肉と合わせてソーセージに。ソースは焦がしバターに牛の出汁、ゆずの果汁を合わせたもの。椎茸を香ばしいソースが引き立てる


そんな、シェフこだわりのソースは、赤ワインソースやトリュフソースといったものではなく、料理に向き合い抽出したオリジナルだ。

「複数の出汁や発酵調味料、オイルなどを組み合わせ、ひと皿ずつに新たな命を吹き込むようにして完成させています」

冷凍庫には、牛肉、鶏肉、穴子、野菜などの出汁を真空にしてぎっしりとストック。それらをメインの食材と掛け合わせ、新たな味を作り出している。

また、食材にもこだわり、足で探す。休みになると、全国の道の駅に行き、例えば全生産者のにんじんを買って一番美味しい生産者の元を訪ねる、というから驚く。


盛り付けの美しさに目を見張り、口にすれば味の複雑さに笑みが溢れる

発酵させたキウイのフルーティさがキモ


「春ホッケと台湾セロリ」は、珍しい函館産の春ホッケを昆布締めに。

台湾セロリを巻いて発酵キウイと自家製リコッタチーズ、フヌイユのオイルをかけたもの。



ナンプラーの味わいでトロピカルに


「いんげん豆のくず餅タイ風」はホッキ貝とマンゴーといんげん豆をナンプラーのソースでタイ風にしたひと皿。



「えぞ豚と人参」。通常の2倍の大きさがあるえぞ豚は赤身が濃い品種。肩ロースを2ヶ月熟成し、旨みを凝縮してロースト。甘さが際立つにんじんのローストとピュレを添えて


スペシャリテは作らず、常に新しいひと皿が生み出されるため、コース8皿との出合いはすべて珠玉の価値あり。

その時しか味わえない、食材とソースの妙を堪能しよう。


【Tonight's Bill】
今宵のお会計!ふたりで計¥33,120


「おまかせコース」2名分にグラスワインそれぞれ2杯ずつを合わせて、この金額。

ペアリング(¥7,700)もあり。評判の自家製パンも抜群に美味しい。


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