多くの日本人がオーストラリアで仕事を失っている(写真・時事通信)

 働きながら、外国語の習得や生活体験ができる「ワーホリ」こと、ワーキング・ホリデー制度。1980年12月に豪州との2国間協定で開始されてから、44年が経つが、最近はその在り方が大きくさま変わりしたようでーー。

「日本は現在、オーストラリアやカナダ、韓国など30カ国と協定があり、いちばんの渡航先はオーストラリアです。2023年6月までの1年間に発給されたビザは1万4000件近くあり、2024年は3月までの9カ月間で、すでに1万2000件あまりが発注されています。その半分はオーストラリアですね」(現地コーディネーター)

 円安が進んだ結果、現在のワーホリは、ほとんど“出稼ぎ”状態になっているという。現地コーディネーターが続ける。

「かつては、語学や異文化交流がワーホリのおもな目的でした。しかしいま、オーストラリアの農場でピッキング(収穫作業)をすると、週に1000豪ドルから、ピークになると2500豪ドルも稼げます。日本円に換算する、最大で週給約27万円も稼げることになります。月給で100万円超。ワーホリに殺到するのもうなずけます」

 だが7月4日、「朝日新聞デジタル」はその豪州での、日本人の困窮ぶりを報じた。現地で仕事を失った日本人が、地元ボランティア団体による無料の食料配布に殺到しているというのだ。

 ワーホリのキラキラしたイメージは真逆の惨状ーー。いったい何がおきているのか。

「まず、円安の影響で日本人観光客が大幅に減ったのが大きいですね。以前は、ホテルやお土産店、レストランにとって、日本語を話せる従業員は大切な存在でした。しかし、いまはそもそも日本人の観光客が来ないので、必要ないんです。農場は求人が多いですが、フィリピン人や韓国人、中国人との競争になる。となると、英語の読み書きが堪能なフィリピン人や韓国人に“雇い負け”してしまうんですよ。つまり、日本人はいらないということです」(前出・現地コーディネーター)

 その結果、“夜の世界”に踏み込む日本人もいるという。

「基本的に女性ですが、生活苦のあまり、“エスコートガール”になったり“マッサージパーラー”に出入りする日本人女性は多いですね。どちらも、現地の風俗です」(同前)

 シドニーで20年間、カフェ経営をしている日本人経営者があきれ顔でこう話した。

「以前なら従業員を募集すると、バリスタを目指して渡豪してきた日本人が数名、応募してくる程度でした。しかし先日、欠員補充のためにひとりだけ募集広告を地元紙に出したところ、日本人が約50人も応募してきました。とにかく仕事になればいいという感じで、家賃滞納でアパートを追い出されたので、住み込みにしてほしいという応募者も複数、いました。つまり、現状はホームレスということですよね。すでに日本は先進国ではないのでしょうね」

 一方の日本では、働き手不足が叫ばれて久しい。なんとかならぬか、岸田首相……。