Image: Getty Images

家とか、職場とか、いろんなとこで使いたい。

コールセンターの窓口というのはストレスが溜まる仕事みたいですね。1日中クレーム対応に追われ、かといって自分勝手に答えるわけにはいかず、企業が定めた問答集に沿った返答を繰り返すわけですから。

こうした仕事こそ、AIに任せるべきだという期待の声が挙がるなか、実は複数の企業がすでにスタッフのストレス軽減のためにAIを活用しています。その精神的苦痛はすさまじいと言いますからね。まあ、少なくとも、改善のための努力をしているといったところでしょうか。

「心の盾」にAIを導入

朝日新聞によると、日本の大手通信会社ソフトバンクは、先日コールセンターのスタッフをいわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)から守るため、「感情キャンセル」技術を開発したと発表しました。ソフトボイスと名づけられたこの音声加工技術は、怒っている顧客の声を穏やかな声に変えることで、矢面に立ちがちなコールセンターのオペレーターを精神面でサポートし、その「心の盾」となることを目的としています。

ソフトボイスの開発者は朝日新聞に対し、「AIが敵意のある口調を検知し、使用される言葉を変えることなく、穏やかな会話のトーンに変換します」と語っています。ソフトバンクでは、2025年までにこの技術を広く展開していきたいと考えているとのこと。

正直、企業が人同士のやりとりを円滑にするために人間の感情を薄めようとするなんて、SFのディストピア的な実験のようで不穏な印象も拭えません。しかし、悩める従業員をAIによって支援しようという取り組みを進めているのは、なにもソフトバンクだけではありません。

米企業もAIでストレス検知を目論む

金融情報紙 American Bankerは今年3月、メンフィスに拠点を置く地方銀行ファースト・ホライズンについて興味深い記事を掲載していました。同社では、コールセンターのスタッフの心が折れそうになるのをAIによって検知するという計画が進んでいたんだとか。そのプランは、従業員がストレスを感じると、家族の写真とリラックス音楽を組み合わせた動画が送られるというものでした。ただ、同社はこのシステムの導入を見送ったとのこと。

「リセット」と名付けられたこの動画は、HuffPostの創設者であるアリアナ・ハフィントン氏が立ち上げたスタートアップ、スライブ・グローバルが手がける予定だったそうで、リラックスできる呼吸法を教えてくれたり、心に刺さる名言を盛り込んだりすることになっていました。今週になって、この内容が改めてSNSで話題になっています。

ファースト・ホライズンの従業員は、1分間のリセット動画に使われる画像や曲を自分で選ぶことになっていました。同社によると、最初のテストで燃え尽き症候群のレベルが13%低下し、さらに大規模なテストでは20%低下したとのこと。同社は当時、コールセンターのオペレーター3,000名全員にこの技術を展開すると言っていましたが、どうやらこれは実現しなかったようです。

米Gizmodoはファースト・ホライズンにコメントを求めており、回答があり次第お伝えしたいと思います。

AIがコールセンター窓口に?

AIがスタッフの感情面をサポートするというのは、ちょっと奇異に思えるかもしれませんが、これはコールセンターで働くオペレーターの仕事を置き換えるための重要な一歩になります。AIにこの仕事を任せるためには、顧客の感情の乱れを認識し、会社を代表して謝罪を提供させることが必要です。

ソフトバンクとファースト・ホライズンのAIシステムはどちらも感情認識を扱っていますが、これは偶然ではありません。今のところ、これらのAIはコールセンターの従業員を練習台にしているわけですが、いつの日か、AIが単独でクレーム対応できるようになることを望んでいます。それまでは、AIがコールセンターの仕事の大変さを解消するために活用されるという、なんとも宙ぶらりんの状態が続きそうです。

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