10日に開かれた医師の集団行動に関する中央災難(災害)安全対策本部の会議=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国で医学部の定員増を柱とする医療改革を巡り、政府と医師の対立が深まっている。

 ソウル大医学部・ソウル大病院の教授に続き開業医を中心とする大韓医師協会(医協)も政府の方針に反発し、全面的に休診する方針を示した。医協は韓国の医療を救うための休診だと強調しているが、開業医の休診の動きもみられ、市民団体や患者団体は一斉に医師に対する批判の声を上げている。

 医協は9日、「韓国の医療を救うため立ち上がる」とし、18日に休診し、所属医師や医大生らが参加する決起大会を開催する計画を明らかにした。

 これを受け、政府は10日に医師の集団行動に関する中央災難(災害)安全対策本部の会議を開き、開業医に対し診療命令と休診届け出の命令を出す方針を決めた。

 者圭鴻(チョ・ギュホン)保健福祉部長官は開業医に対する命令について「国民の生命と健康を守るために必要な最低限の措置」と強調した。

 政府の決定に基づき、各市・道は医療機関に対し18日に診療命令を出す。休診する医療機関は13日までに届け出をしなければならない。

 政府は18日、診療命令の対象となる医療機関が休診かどうかを電話で確認し、市・郡単位で休診率が30%を超えた場合は業務開始命令も出す。命令に従わない医療機関は行政処分や処罰を受ける。

 政府は、医協の集団行動誘導が公正取引法違反に当たるかどうかに関する法的検討に取り掛かった。公正取引委員会の関係者は、医協が休診を強要する場合は公正取引法違反に該当するため法律違反かどうかを積極的に検討していると述べた。

 市民団体や患者団体はソウル大医学部・ソウル大病院の教授や医協の休診の決定を強く非難した。

 韓国患者団体連合会は10日に声明を出し、「患者に不安と被害を与えながら政府を圧迫する行動をやめるべきだ」と医療界を批判した。

 公正取引委への告発を検討している市民団体の経済正義実践市民連合も同日、「医療界が患者の命を人質に取った違法行為を交渉カードにした」とし、「患者の安全を脅かす医師の違法な診療拒否は正当化されない。即刻撤回すべきだ」と声を上げた。

 政府は開業医の休診による患者の被害の最小化に向け、非対面診療を積極的に案内する方針だ。糖尿病や高血圧など慢性疾患の患者に対しては休診に備えあらかじめ処方箋を発行してもらうよう呼び掛けている。