BORG E2

タクトシュトックは、独FINK teamのフラッグシップスピーカー「BORG」の進化モデル「BORG E2」を7月1日に発売する。価格はペアで標準色が660万円。BORGからのアップデートもペア165万円で可能。

フロア型の2ウェイバスレフ。高域用にエアーモーション・トランスフォーマー(AMT)ユニット、低域用に260mm径のパルプコーンユニットを採用している。外観的に大きな違いはないが、アンプに負荷をかけない鳴らしやすさはそのままに、今まで以上の抜けの良さを加え、楽しいサウンドがさらに進化しているという。進化点はベース部とネットワーク回路、ターミナル部の3箇所。

エアーモーション・トランスフォーマー(AMT)ユニット

BORGのエンクロージャーは、パネル・ダンピングによって、自然素材を使用しつつ共振を抑制。パネルの共振を全て通過帯域外に押しだす事は不可能だが、代わりにダンピングすることでその振幅を可聴帯域以下に低減している。

それを実現するのが、FINK teamが開発し特許も取得している厚みのあるMDFパネルと、内部摩擦によって振動を熱に変換するダンピング層を組み合わせた多層構造キャビネット。パネルの構成を変えながら、マスダンパーを最適な面に設置し、特殊なブレース構造を形成。世界最高レベルのCOMSOLモデリング及びレーザースキャニングも活用し、共振の問題を特定・解決している。

従来のBORGは直立していたが、新モデルはわずかに後ろ側に傾けており、「イメージングとサウンドステージを大きく向上させる事に繋がった」という。

新モデルではわずかに後ろ側に傾けている

最大の変更点はクロスオーバー。基本的には4th order acoustic Linkwitz-Riley(LR4)で、LFとHFの間にタイムディレイが加えられている。ウーファー部には変わらず空芯タイプ(インピーダンス補償のためラミネート鋼芯)を採用。

膨大な数のコンポーネントを試聴する事で、以前使用していたムンドルフ製のポリプロピレン・フィルムコンデンサ(150μF)から、12個の並列シングルMKTコンデンサに変更。PPベースの一体型コンデンサーより低損失化を果たしている。

ツイーター部は新たにトランスを使用して、HFユニットの感度をウーハーレベルに調整。ツイーターレベルは6dB下げる必要があるが、以前はこれを最高品質の抵抗で行なっていた。しかし、抵抗は音を若干変えてしまうため、トランス採用による音の改善は本大きなものになったという。トランスはドイツ製のHQフェライトコアで、最高の機械的ダンピングを得るためにワックス・ポッティングタイプとなっている。

トランスはレベルだけでなくインピーダンスも変化させるので、ツイーター用のメインコンデンサの値も低くできなかったとのこと。このコンデンサもあらゆる製品を試聴した結果、デンマークの専門メーカーであるDUELUNDの新タイプ(PPとシルバーのハイブリッド)を採用している。

AMTのフィルターはオリジナルBORGの設計に比べてさらにシンプルになっている。

スピーカーターミナル

スピーカーターミナルは、一般的な真鍮製ではなく、低抵抗で接続性の高い無垢の銅をニッケルメッキしたもの。また、オリジナルBORGでは4つの調整機能を搭載していたが、新モデルでは2つのコントロールのみとした。

メカニカルスイッチはよりシンプルなブリッジタイプに変更。最も使用される頻度の高かったダンピングコントロールは踏襲。ツイーターとプレゼンスコントロールはコンシューマー用途では使いにくいと判断し、両者を組み合わせた新しいHFコントロールに変更している。

周波数特性は32Hz~35kHz(-10dB)/41Hz~30kHz(-6dB)。能率は87dB@2.83V/1m。クロスオーバーは1,600Hz。平均インピーダンス10Ω以下で、最低インピーダンスは6.5Ω@20kHz。外形寸法は300×400×1,050mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は52kg。