この記事をまとめると

■サンルーフは一時期人気のオプション装備だった

■ミニバンの場合はオプションでもサンルーフを設定しないことが多くなった

■開放感を得るために最近ではガラスルーフが流行っている

ミニバンのサンルーフが激減!

 今も昔もファミリーカーの定番といえばミニバンだ。しかし、ミニバンそのものの商品トレンドが移り変わっているのは事実だ。そのなかのひとつとしてサンルーフがある。ひと昔前ならば人気装備であったが、最近はミニバンでは珍しい装備となりつつあるのだ。そこにはどんな理由があるのだろうか?

・現在はLサイズミニバンのみに設定

 2024年5月現在、3列シートを有するスライドドア車でサンルーフ(ムーンルーフ)を有しているのは、トヨタ・アルファード&ヴェルファイア、日産エルグランドの3車種のみだ(筆者調べ)。

 ただし、開閉機構を持たないモデルもある。いまのところ、上級のLサイズミニバンにしか設定がなく、ミドルサイズやコンパクトミニバンにはサンルーフの設定がないのだ。

 なぜこのようなことが起こっているのか? その理由を単純にいえばサンルーフへの需要が少なくなってきているのが背景にあるからだ。ただ、2列目や3列目に子どもが乗ることを考えたら、屋根の開閉ができるサンルーフは子どもからもウケがよさそうだし、そう考えるとファミリーカーでのサンルーフ需要は高そうにも思える。

 サンルーフの需要が少なくなるような変化が起きたのだろうか? それともサンルーフの代わりとなるものが生まれたのだろうか?

いまはガラスルーフの採用がトレンドになっている

・サンルーフの需要が少なくなった背景

 まず、サンルーフの需要が少なくなる変化についてだ。メーカーに聞くと、これは喫煙者が減っていることが大きく関係していると思われるとのこと。いまではそういった光景も減ったが、昔は「お父さんとタバコ」はセットのようなものであった。受動喫煙が騒がれる前は、子どもの前でもタバコを愛煙するのが一般的な光景だったのだ。

 つまり、ファミリーカーの車内でタバコを吸うときに、サンルーフは換気アイテムとして有効な機能を有していたのだ。窓を開けると直接顔に風が当たるし、不便なことも多い。サンルーフならば直接顔に風が当たらず、換気をしながら日差しを感じて開放感を得ることができる。

 ただ、喫煙者が少なくなった現代では、ファミリーカーの屋根が開く必要度が小さくなったというのが背景にあるといえる。

・最近はガラスルーフがトレンド

 しかし、サンルーフのような開放感を味わいたいという需要はファミリーカーにまだまだあるようだ。そのような需要を満たすために最近増えているのが、ガラスルーフだ。サンルーフよりも大きな面積をガラスで覆われたガラスルーフは、とても開放感のある景色で車内を演出してくれる。

 ルーフ面積が大きいということもあり、まだミニバンでは見かけることが少ない装備だが、SUVを中心にその数を増やしている。サンルーフより広々とした空を見ることができるガラスルーフは、今後ミニバンでも増えてくるかもしれない。

 クルマのジャンルそのものに流行り廃りがあるように、装備にも流行り廃りがある。今後ファミリーカーにはどんな装備がトレンドとなっていくのだろうか? そのような部分も注目していきたいところだ。