親が育てられない乳幼児を匿名でも預かる『こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)』2023年度は9人預け入れ 理由は「生活困窮」が最多 熊本【相談窓口一覧掲載】
熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」について、運用を検証する熊本市の専門部会が、昨年度(2023年度)後半の運用体制について報告しました。また、昨年度1年間に「ゆりかご」に預けられた子どもの数も公表しました。
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慈恵病院では、親が育てられない乳幼児を匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる「赤ちゃんポスト」を運営しています。
一方、熊本市では外部有識者による専門部会を設置して、半年ごとに「ゆりかご」の運用状況を検証しています。
5月29日は、この専門部会が2023年10月から2024年3月末の運用状況について検証した結果が「熊本市要保護児童対策地域協議会代表者会議」で報告されました。
報告では、この期間の「ゆりかご」の運用体制について、「刑法上の明らかな違法性は認められない」と判断しました。
預けられた子どもの数
2023年度の1年間に預けられた子どもは9人だったと報告されました。
9人は、生後1か月未満の「新生児」が7人と最も多く、このうち4人が生後7日未満の「早期新生児」でした。残る2人は、生後1か月以上1年未満の「乳児」と、生後1年から就学前の「幼児」がそれぞれ1人でした。
なお9人のうち8人には、親からの手紙などが添えられていました。
父母などの居住地
後から親が病院側に接触するなどして、居住地がわかった5人のうち、関東と中部がそれぞれ2人、熊本県内が1人でした。
出産の場所、ゆりかごに預けた理由(複数回答)
出産した場所がわかった7人のうち、4人が自宅で出産していていて、ゆりかごに預けた理由としては「生活困窮」が6人と最も多く、母親などの厳しい状況が垣間見えます。
妊娠の不安や悩みに関する相談件数
熊本県と熊本市、さらに慈恵病院が設置する窓口には、2023年度の1年間で合わせて4273件の相談が寄せられ、前年度(3866件)と比べて407件増えています。
相談内容では、「思いがけない妊娠」が1162件と最も多く、「妊娠や避妊に関する相談」が1037件、「出産や養育についての相談」が928件と続きました。
報告を受けて熊本市の大西一史市長は、「孤立出産や出産直後の長距離移動に伴う母子の生命の危険などの課題は、依然として残されている」と指摘したうえで、「子どもたちの大切な命と権利を社会全体で守り、課題を抱える方々を孤立させることがないよう、国に要望するとともに、全国の自治体とも連携して取り組んでいく」とコメントしました。
【相談窓口一覧】
妊娠や出産、産後の養育について悩んでいる人は、以下の窓口で相談を受け付けています。
いずれも、熊本市民でなくても相談できます。
<相談窓口>
■「にんしんSOS熊本(エスオーエス くまもと)」
080-9068-7528 24時間いつでも対応
■熊本市の「妊娠内密相談(にんしん ないみつ そうだん)センター」
096-366-3060 午前8時半~午後5時15分
メール(naimitsusoudan@city.kumamoto.lg.jp)
※夜間や休日、祝日の電話は「にんしんSOS熊本」と連携、メールは次の営業日に対応
■福田病院(ふくだびょういん)母子サポートセンター=熊本市中央区
096-322-2995 日曜と祝日除く午前9時~午後5時半
「母子(ぼし)サポートセンターに相談(そうだん)です」と伝えてください
メール(info@fukuda-hp.or.jp)
■中高生妊娠相談(ちゅうこうせい にんしん そうだん)※18歳以下なら誰でも相談可能
・福田病院(ふくだびょういん)=熊本市中央区
096-322-2995 日曜と祝日除く午前9時~午後5時
メール(info@fukuda-hp.or.jp)
・まつばせレディースクリニック=熊本県宇城市
0964-34-0303 日曜と祝日除く午前9時~午後5時
・菊陽(きくよう)レディースクリニック=熊本県菊陽町
096-213-5656 日曜と祝日除く午前9時~午後5時
・ソフィアレディースクリニック水道町=熊本市中央区
096-322-2996 日曜と祝日除く午前10時~午後5時
■慈恵病院(じけいびょういん)「赤ちゃんとお母さんの相談係」=熊本市中央区島崎6丁目1の27
0120-783-449 24時間いつでも対応
※慈恵病院は「こうのとりのゆりかご」と「内密出産(ないみつしゅっさん)」に対応しています