中国が国内の半導体産業振興のため7兆円以上を出資
中国が半導体産業の自給自足体制強化を目指して、半導体産業投資ファンドに財政部や国有銀行などから3400億元(約7兆3600億円)を集めたことがわかりました。
China sets up third fund with $47.5 bln to boost semiconductor sector | Reuters
https://www.reuters.com/technology/china-sets-up-475-bln-state-fund-boost-semiconductor-industry-2024-05-27/
Report: China sets up $47.5B fund to boost its semiconductor sector - SiliconANGLE
https://siliconangle.com/2024/05/27/report-china-sets-47-5b-fund-boost-semiconductor-sector/
Tech war: China doubles down on semiconductor self-sufficiency drive with US$47.5 billion Big Fund III | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-war/article/3264296/tech-war-china-doubles-down-semiconductor-self-sufficiency-drive-us475-billion-big-fund-iii
中国の「集積回路産業投資ファンド」は2014年に資本金1387億元(約3兆円)で設立され、2019年に第2期として2400億元(約5兆2000億円)を集めました。今回は第3期にあたります。
出資者の内訳は中華人民共和国財政部(17%)、国家開発銀行持株会社(10%)、国有資産を運用する上海国盛集団(7%)、中国建設銀行(6.25%)、中国銀行(6.25%)、中国農業銀行(6.25%)、中国交通銀行(5.81%)、中国郵政儲蓄銀行(2.33%)、中国工商銀行、中国煙草総公司など19社。
ファンドが注力する分野の1つは半導体製造に必要な機器です。特に、半導体製造に必須のEUV装置はオランダのASMLがほぼ独占していて、中国もASMLから装置を購入していましたが、アメリカからの要請で中国への販売は中止されています。
半導体露光装置メーカー・ASMLにアメリカが中国への販売中止を要請 - GIGAZINE
今回のファンドの規模は、2022年にバイデン政権が制定したCHIPS and Science Act(CHIPS法)による半導体製造工場の建設補助に用意された資金530億ドル(約8兆3100億円)に匹敵するもの。South China Morning Postは、中国政府が国家として半導体産業の自給自足体制を構築し、アメリカによる輸出規制を克服しようとするアプローチを示すものだと指摘しています。
なお、中国の半導体産業は、最新のEUV装置が手に入らないことから最先端技術という点では遅れを取っていますが、旧世代のチップで事足りる自動車や家電製品などの分野では幅広く利用されていて、28nmスケール以上の半導体産業においてのシェアは2023年が31%、2027年には39%に達すると予想されているとのことです。