2012年にニュースサイト「ラップラー」を創設し、ロドリゴ・ドゥテルテ元フィリピン大統領の強権的な政治に対する批判を展開したことで2021年にノーベル平和賞を受賞したジャーナリストのマリア・レッサ氏が、「ソーシャルメディアを運営する企業のボスは最大の独裁者」と主張しています。

Social media bosses are ‘the largest dictators’, says Nobel peace prize winner | Social media | The Guardian

https://www.theguardian.com/media/article/2024/may/27/social-media-bosses-are-the-largest-dictators-says-nobel-peace-prize-winner-maria-ressa



イギリスのヘイ・オン・ワイで開かれた文学祭のヘイ・フェスティバルで講演したレッサ氏は「SNSプラットフォームには私たちの感じ方を変える能力があり、これが世界の見方を変え、行動の仕方を変えます」と主張。また、「オンラインでのアイデンティティに関する主義主張に関する議論は、世界中で二極化が進んでいます」と述べています。この「二極化」についてレッサ氏は「フィリピンでは富裕層か貧困層、アメリカでは白人かそれ以外の人種のようなものです」と例示しました。

さらに、「SNSプラットフォームは異なる立場の人々をさらに対立させて混乱を引き起こすことを目標としており、テクノロジー企業が二極化を先導し、恐怖や怒り、憎しみをあおっています」「このようなやり方は私たちを個人レベル、社会レベルで変えてしまいます」と主張しました。



レッサ氏はかつて、当時のドゥテルテ大統領に関する批判を展開してきました。しかしレッサ氏は「ドゥテルテ元大統領はマーク・ザッカーバーグ氏やイーロン・マスク氏に比べてはるかに小さな独裁者です」と述べています。

テクノロジー企業がユーザーを支配する力を軽減するために、レッサ氏は「アメリカ政府は『プロバイダは第三者が発信する情報について原則として責任を負わない』という通信品位法第230条を廃止すべきです」「子どもがいる場合、子どもが十分に成長するまでSNSに触れさせるべきではありません」と主張しています。



実際にアメリカやイタリアでは、TikTok禁止法の策定が進められていますが、レッサ氏は「この試みは素晴らしい」と述べた上で「私たちが心配すべきなのはTikTokだけでなく、全てのソーシャルメディアです」と述べました。

加えてレッサ氏は「生成AIによって、得られる情報の質が低下しつつあります」と述べ、数多くのウェブサイトが質の悪いAIで生成されている事例を(PDFファイル)提示。そして「この研究は生成AIが本格的に動き出す前に行われた研究です。いつの日か生成AIは私たちの知能を追い越すでしょう」と提言しました。