SSDの寿命を30倍にするマニュアルが公開される
SSDに使われるNAND型フラッシュメモリには、メモリのセルに1ビットのデータを保存する「SLC」、2ビットの「MLC」、3ビットの「TLC」、4ビットの「QLC」があり、多くの情報を書き込むほど安価に大容量化できますが、耐久力は低くなります。PCパーツのレビューやオーバークロック関連のニュースを扱うThe Overclock Pageが、QLC NANDのSSDをSLC NANDとして扱ってSSDの寿命を大幅に長くする方法を解説しました。
https://theoverclockingpage.com/2024/04/28/transformando-um-ssd-qlc-em-slc-tutorial-de-como-tunar-um-ssd-aumentando-muito-sua-vida-util/
今回使用するのはCrucial BX500で、容量240GBのQLC NAND採用SSDです。
また、Jmicron JMS578を搭載したSATAからUSB 3.0への変換アダプタと、SSDの基板にあるスイッチを切り替えるためのピンセットも必要です。
なお、これ以降の手順に従って変換を行うとSSDの保証が無効になるため、The Overclock Pageは「手順を間違ってしまっても責任は負いかねますので、本当に興味がある場合にのみ実行してください」としています。また、データがすべて消去されるので、SSDにデータが保存されている場合は作業を開始する前にバックアップする必要があります。
まず、「MPTools」という非公式ツールを入手してPCにインストールします。The Overclock Pageはこのツールの入手方法を明示していませんが、以下のロシアドメインのサイトで配布されている模様です。
SMI SM2259XT2 MPTool FHY3D-V7 W0320A FWW0222A0 - [USBDev.ru]
https://www.usbdev.ru/files/smi/sm2259xt2mptool/
The Overclock Pageは、「このソフトウェアはメーカーから提供されたものではなく、個人によってリークされ、ロシアや中国のフォーラムに投稿されたものなので注意が必要」としています。
The Overclock Pageが今回のプロジェクトで使用したMPToolsは、「SMI SM2259XT2 MPTool FIMN48 V0304A FWV0303B0」というバージョンです。
まず、MPToolsのメイン画面からスキャンを実行します。
すると、以下のように表示されるのでダブルクリックしてSSDの詳細情報を開きます。
さらに、「CardMode」と「CID Settings」をクリックします。
すると、以下のような設定情報が表示されます。
続いて、「Parameter」タブの「Edit Config」をクリックしてから「Model Name」にモデル名を入力し、赤枠に囲われた各入力欄に前述の設定情報を入力します。入力すると以下のようになります。
また、このバージョンのMPToolsではサポートされていない設定の変更を行うため、インストールフォルダの「UFD_MP」というフォルダを開きます。
「Setting.set」をメモ帳で開きます。
「FUNCTION」という項目の「ENFWTAG=1」を1から0に書き換えます。
次に、「OPTION」の項目に以下のように「EnSLCMode=1」を追加して保存します。
すると、MPToolsの「Prameter」タブにある「Select Procedure」に「Force SLC Mode」という項目が追加されるとのこと。
次に、再びMPToolsのインストールフォルダに戻り、「Firmware」、「2259」、「IMN48」、「00」の順に開くと以下のようなファイルとフォルダがあるので、それらをすべてコピーします。
そして、1つ上の階層に戻ってコピーしたファイルとフォルダをペーストします。
同様に、「XT2」に「BootISP2259.bin」というファイルがあるので、これを親フォルダにコピーします。
さらに、「IMN48」フォルダの中身をすべてコピーして、「2259」にペーストします。すると、以下のようになります。なお、これらのフォルダ名はSSDのメーカーや型番によって異なる場合があるとのこと。
ここまでの操作を終えたら、MPToolsに戻って「parameter」タブでこれまで変更した設定項目を確認します。問題がないことを確認し、「Test」をクリックしてからSSDをROMモードに切り替え、MPToolsを閉じます。
The Overclock Pageによると、SSDのデータ保存方式がQLCからSLCに変換されることで、SSDに書き込みできるデータ量、つまり寿命であるTBWが120TBから4000TBへと、約33倍になるとのこと。
寿命が延びるだけでなく、読み書きの速度が向上するという副次的な効果も見込めます。
The Overclock Pageは「この変換手順は正しく行わないと失敗する可能性があるので、細心の注意が必要です。また、SSDの速度は使い方次第では大きな違いが出ますが、場合によっては大差ないこともあります。しかし、耐久性という点では途方もない違いが出るでしょう」と述べました。