グーグル(Google)のAIモデル「Gemini」の名前は、どのようにして決まったのか?

 アリ・マリーニ(Ari Marini)氏によると、初期の段階では土星最大の衛星「Titan」(タイタン)がプロジェクトのタイトルとして据えられていたという。この頃から、名前のアイデアに「宇宙に根ざした要素」が含まれていたと振り返る。

双子座の性格

 「Gemini」はラテン語で双子(Twins)を意味する。天文学では、ギリシャ神話の双子であるカストルとポルックスが関連する星座で、双子座の最も明るい2つの星の名前の由来になっている。

 この双子は、すぐに適応し幅広い人々と繋がり、物事を複数の視点から見ることができる性格で、同社の開発当時のテーマに親和性があるものだったという。

 同社内には、深層学習とリサーチチームがそれぞれ大規模な深層学習など現在の大規模言語モデル(LLM)の基礎になる研究をしており、2023年4月に両チームであらためて「Google DeepMind」を設立し、AI関連の研究をワンチームで取り組むことになった。

 Gemini共同技術責任者のジェフ・ディーン(Jeff Dean)氏は「チームをより密接に連携させたかったためにGeminiの取り組みが生まれた。双子の性格がプロジェクトを動かすのにぴったりだと感じた」とし、これが「Gemini」の由来の一つだという。

Gemini計画

 もう一つの理由にアリ氏は「ジェミニ計画」を上げる。

 この計画は、NASAが1965年~68年にかけて実施した有人宇宙飛行計画で、月面着陸に成功するアポロ計画に先駆けて、宇宙飛行士を長時間宇宙に滞在できる機器や技術のテストを行っていた。

 グーグルの研究チームは、このアポロ計画成功の礎となったジェミニ計画の重要性を感じ、あるときジェフ氏が「Gemini」の名前を提案し、それが定着したという。

 共同技術責任者のオリオール・ヴィニャルズ(Oriol Vinyals)氏は、「AIは、人類にとって月面着陸と同じくらい重要なブレークスルーを実現し、世界で最も大きな課題のいくつかを解決する可能性を秘めている」とし、「Geminiの後継AIモデルがApollo(アポロ)になるのかどうか問題だ」とコメントするなど、Geminiは通過点の一つであると示唆。AIがもたらす可能性は明るいと結んでいる。