首都高PAの「辰巳ジャンプ台」今どうなってる? 設置から1年“速度抑制ハンプ”の効果&反響は? 首都高に聞いてみた

写真拡大

「速度抑制ハンプ」が設置された背景とは?

 首都高の辰巳第一PA内には、「速度抑制ハンプ」と呼ばれる道路設備があり、SNS上ではこのハンプを猛スピードでジャンプ台のように通過する行為がたびたび投稿されていました。
 
 このハンプが設置されてから1年以上が経過しますが、どのような効果・反響があったのでしょうか。

辰巳PAに設置された危険行為を防止するための段差、通称「辰巳ジャンプ台」

 東京都江東区にある首都高深川線「辰巳第一PA(上り)」は、ビル群の夜景が美しく見えるスポットとして評判のPAであり、多くのドライバーから人気を集めています。

【画像】「えっ…!」ここが「辰巳ジャンプ台」です。画像を見る!(22枚)

 その一方で、首都高を走る「ルーレット族」の休憩場所として使われることが問題視されてきました。

 ルーレット族とは首都高を猛スピードで周回してタイムを競う、いわゆる走り屋と呼ばれるドライバーであり、都心環状線を中心に悪質な暴走行為や騒音をともなう迷惑行為を繰り返しています。

 この問題に関しては首都高速道路株式会社が警視庁高速道路交通警察隊と協力の上、2021年1月から週末の夜間(金曜日および土曜日の21時〜翌4時)に辰巳第一PAの閉鎖や箱崎PAの一部閉鎖をするなど対策を講じてきました。

 そのような背景がある中、2023年1月19日の夜間には辰巳第一PAの出口付近に「速度抑制ハンプ」と呼ばれる道路設備が設置されます。

 これはルーレット族をはじめ、一部のドライバーがPAの出口から急加速で走行する危険な運転を物理的に抑制するための仕組みです。

 ハンプ(Hump)は「丘や小山など盛り上がっている地形」を意味する英語です。

 道路上においては「通過する車両を一時的に押し上げ、事前にこれを見たドライバーが速度を落とすことをねらう」設備を指します。

 首都高速道路株式会社 経営企画部 広報課の担当者は、この速度抑制ハンプについて次のように説明しています。

「ハンプを横から見ると台形になっており、平坦部の高さは路面から約10cmです。また、速度抑制ハンプの素材にはゴム製の製品を採用しています」

 つまり、クルマが通過する際に衝撃を吸収しやすい素材が使われています。

 しかし速度抑制ハンプの設置直後には、ハンプ上をあえて猛スピードで通過し、ジャンプ台のように走行するクルマの映像がSNSに相次いで投稿されます。

 一時はGoogleマップ上に「辰巳ジャンプ台」との通称が表示されるほどでした。(現在は削除)

 現在は速度抑制ハンプの設置から1年以上が経過しましたが、その後どのような影響があったのでしょうか。

 前出の担当者は、速度抑制ハンプの設置効果や反響に関して次のように話しています。

「速度抑制に対する一定の効果はあったものと考えています。

 引き続き状況を注視し、安全にご利用いただけるよう警察とも連携していきたいと考えています。

 またハンプ設置に対する反響として、ハンプが設置されていることの注意喚起表示の不足等のご意見をいただきました。

 その後、PA入口およびPA内部での注意喚起表示板、横断幕、路面標示等による改善をおこなっており、現時点ではお客さまから特段の意見はいただいておりません」

 実際に辰巳第一PAのハンプ手前には大きく「段差あり」と路面標示があるほか、入口付近にも「PA内段差あり 走行注意」などと書かれた看板が設置されています。

ハンプを通過する際の注意点は? 今後の対策はどうなる?

 さらに、ドライバーがどの程度の速度でハンプを通過すべきかについて担当者に伺ったところ、次のような回答がありました。

「パーキングエリア内は一般のお客様が歩行する箇所であり、運転者には道路交通法に基づく安全運転義務の観点から、徐行で走行いただくのが適切と考えています」

 スピードを落とさずに勢いよくハンプを通過すると車内に大きな衝撃があるほか、車体下部を破損するおそれもあります。

周りの車両や歩行者との事故を防ぐためにも、ゆっくり安全な運転で通過することが大切といえるでしょう。

 また、ルーレット族への今後の対策について担当者は次のように話しています。

「警察とも連携してPA閉鎖、速度抑制策、広報・啓発等の対策を引き続き実施してまいります」

※ ※ ※

 この速度抑制ハンプに対しては「スピードが出せないと本線に上手く合流できないのでは?」と懸念の声も寄せられていますが、ハンプ通過後200m程度は車線変更を禁止する黄色線が続いており、この間に加速すれば問題なく本線に合流できます。

 運転の際は周囲に迷惑をかけない心がけが重要といえるでしょう。