なぜ沖縄に「ラリー」初上陸? 「クルマを鍛える」&「地域活性化」のラリチャレ! 3年越し開催の経緯とは

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ラリチャレ沖縄初開催! その経緯は?

 沖縄県で初開催となる「Toyota Gazoo Racing Rally Challenge 2024 in 沖縄」が2024年3月16日-17日に同県の沖縄市・うるま市で開催されました。
 
 全国各地で行われている通称「ラリチャレ」ですが、どのような経緯で開催されることになったのでしょうか。

沖縄で初開催のラリーとなった「ラリーチャレンジ沖縄」

 ラリチャレは、TOYOTA GAZOO Racingが2001年にスタートし、20年以上の歴史を持つラリー競技です。

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 ラリーには様々なカテゴリがあるなかで、このラリチャレは初心者にも優しいコース設定で、安全かつ手軽にエントリーできる入門者向けラリー に位置付けられています。

 そもそもラリーとは、サーキットで行われるレースと異なり、舗装路のみならず、砂利道や地道などの公道をコースとして使用される競技です 。

 その路面の違いを的確に判断して、クルマを操るドライバーと、それをナビゲートするコ・ドライバーがタッグを組みます。

 またレースと異なるのは1度に複数台のクルマがタイムや順位を競い合うのではなく、「スペシャルステージ(SS)」と呼ばれる競技区間を1台ずつで走行し、そのタイム順で競い合うものです。

 またSSとSSの間は「リエゾン」と呼ばれ、開催される国や地域に合わせた道路交通法に則って移動するため、リエゾンでは間近にラリーマシンを見ながら、沿道で応援することができるなど、地域と一体となれるのも特徴と言えます。

 このような特徴があるラリーに対してTOYOTA GAZOO Racingは、様々な条件下でクルマを極限の状態で酷使し、クルマを壊しては直しを繰り返し「クルマを鍛える」ことで「もっといいクルマづくり」を行っています。

 今回の沖縄では、「104号車 モリゾウ選手(GRヤリス)」、「106号車 早川選手(GRヤリス・DAT開発)」、「107号車 大森選手(GRヤリス・CN燃料)」、「137号車 鞍成選手(UX300e)」などが参戦することでクルマを鍛えています。

 もう一つの目的としては、モータースポーツの裾野拡大と地域活性化に取り組んでいます。

 実際にラリチャレは日本全国で開催されており、2023年シーズン全体では過去最高の約10万人の来場者を記録。

 これにより経済効果は年間で35-40億円の消費活性効果の可能性がある他、勝山(福井県)や利府(宮城県)、蘭越(北海道)、茅野(長野県)では、来場者による消費活性効果が自治体の年間税収の約1割に相当したと言います。

ラリチャレ沖縄には地元「沖縄ナンバー」のチームも参戦

 そんなラリチャレですが、2024年シリーズは全13戦(特別戦含む)が開催され、沖縄は開幕戦となりますが、なぜ沖縄で初開催されることになったのでしょうか。

 今回の開催地となった沖縄市とうるま市では、「モータースポーツを起点とした地域活性化」に取り組んでいます。

 沖縄市は、モータースポーツ振興による滞在型観光の推進と雇用創出を目的に本格サーキットとなる「(仮称)沖縄サーキット」の実現を目指していると言います。

 その一環としてモータースポーツ振興イベントとして平成27年度から「コザモータースポーツフェスティバル」を毎年開催。

 うるま市も「モータースポーツによる地域活性化及び滞在型観光の推進を図ること」を目的に、モータースポーツ振興推進事業を取り組んでおり、令和6年1月に市主催の「うるま市長杯2&4レースin伊計島」を初開催しました。

モリゾウや沖縄市&うるま市の市長が語る想いとは

 今回、ラリチャレが沖縄で開催された背景には、TOYOTA GAZOO Racingと沖縄市やうるま市の想いが一致したということから実現に至ったようです。

 今回の開催にあたりエントランス代表挨拶として、モリゾウ選手は次のように語りました。

「沖縄で初めてのラリー、今年のラリチャレ初戦が沖縄で行われます。多くの皆さんにご参加頂きありがとうございました

 今日を迎えるために福岡モータースポーツクラブが主催、沖縄モータースポーツクラブMABUIが共催。

 FMSC(福岡モータースポーツクラブ)の星野代表には沖縄で初めてのJAF公認ラリー競技会開催の実現に向けて、地元自治体、警察、SSとなる自動車学校など、各所と調整で多大なご協力頂きました。

 そのおかげで我々は走れます、ありがとうございます!

 ラリーをやったことがない地元のモータースポーツクラブに声をかけて、オフィシャルを集めたり、参加の声がけやラリー車両の製作、クルマファンイベントでラリチャレ沖縄の告知活動するなど、多大なご協力を頂きました。改めてありがとうございます。

 今回、39台が出走。沖縄ナンバーが8台です。借りている車両を入れたら9台です。是非とも沖縄の公共の道を安全に楽しくやりましょう。

 そして、3年かけて今日にたどり着きました。

 ただ、我々はこれをゴールと思っていません。今日からスタートですので、沖縄におられるモータースポーツファン、クルマファンが、ラリチャレがあることが年初の楽しみになるようなスタートにできる1年目を皆さんと作っていきたいです。

 是非とも最後まで安全で、笑顔で終われるようなラリチャレ2024年を始めたいと思います。

 最後になりますが私自身、ラリチャレは今回で10年目、40回目の出場になります。

 自分自身、40回目の記念になるよう、笑顔で終われるようにしたいと思います。ありがとうございました」

エントランス代表として挨拶をしたモリゾウ選手

 沖縄市の桑江朝千夫市長は、大会挨拶で次のように語っています。

「ラリーチャレンジ沖縄がこの沖縄県内で初めて開催されますことを大変嬉しく思っております。

 本市では、滞在型観光の推進と持続者等の関連産業による地域活性化などを目的に本格サーキットとなる沖縄サーキットの実現を目指し、モータースポーツ振興に取り組んでおります。

 トヨタから本大会開催のお話をいただいてから、この今日の開催の実現に向けて連携して準備を進めてまいりました。

 この度、県内外から出場選手や関係者をお迎えできますこと、とりわけモリゾウ選手が来られ、参加するということを開催地としてとてもうれしく思っております。

 出場選手やチーム関係者の皆様、ご来場の皆様には大会を楽しんでいただくとともに、本市が取り組むモータースポーツ振興による地域活性化の意義にご賛同いただければ幸いであります」

沖縄ナンバーの参戦車には来場者から大きな拍手が送られていた

 またうるま市の中村正人市長は、次のように話しています。

「このたびラリーチャレンジ沖縄が沖縄市とうるま市を舞台に沖縄初開催されますことは大変喜ばしい限りでございます。

 トヨタ様や沖縄市様をはじめ、大会関係者の皆様には深く感謝と御礼を申し上げます。

 さて、うるま市ではモータースポーツによる地域活性化を図ることを目的に、モータースポーツ振興推進事業に取り組んでおります。

 地域資源を活用したモータースポーツツーリズムの展開を図ることを基本理念として掲げ、本市の新たな観光コンテンツとして定着し、滞在型観光の推進につながることを期待をしております。

 本大会ではうるま市のスペシャルステージとして、ビオスの丘並びに安慶名自動車学校での 2 つのコースが設定をされており、エキサイティングなレースが楽しめるかと思います」

※ ※ ※

 このようにトヨタや沖縄市とうるま市の想いが一致して、企画立ち上げから3年越しに開催されたラリチャレ沖縄。

 今後の発展に大きな期待が寄せられます。