大統領時代のドナルド・トランプ氏が中央情報局(CIA)に対し、中国の世論をあおり政府に敵対させるように仕向ける極秘キャンペーンの立ち上げ権限を与えていたと報じられました。この取り組みは中国以外にも展開され、中国が一帯一路構想を広げた東南アジアなどに影響を与えたといいます。

Exclusive: Trump launched CIA covert influence operation against China | Reuters

https://www.reuters.com/world/us/trump-launched-cia-covert-influence-operation-against-china-2024-03-14/



CIA allegedly made fake social media accounts to troll the Chinese government - The Verge

https://www.theverge.com/2024/3/14/24100984/cia-china-fake-social-media-spying

アメリカ政府の元関係者がロイターに語ったところによると、CIAは少人数の工作チームを立ち上げ、偽のソーシャルアカウントを使って習近平政権に対する否定的なシナリオを広める一方で、海外の報道機関に政権を中傷するような情報を伝えていたとのこと。

具体的には、中国共産党のメンバーが不正に得た金を海外に隠しているという疑惑があるといった情報を流し、発展途上国のインフラに資金を提供する一帯一路構想を「腐敗と浪費にまみれている」と非難するなどのプロパガンダが実施されていたそうです。関係者によると、この作戦は東南アジア、アフリカ、南太平洋の世論をターゲットにしていたといいます。



この取り組みはトランプ政権下の2019年に始まり、習近平政権内に被害妄想を引き起こすことが目的だったと伝えられています。ロイターに詳細を問われたCIAの広報担当官、チェルシー・ロビンソン氏は、そのようなプログラムの存在事実、目標、影響についてのコメントを避けました。

中国外務省の広報担当官は、このニュースに対し「アメリカ政府が世論とメディア・プラットフォームを武器として、偽情報を広め、国際世論を操作していることを示している」と述べました。

情報筋によると、CIAの作戦は中国が実施した影響力増大のための秘密工作に対抗するために行われた模様。トランプ氏は大統領在任中に前任者たちよりも中国に厳しい対応を実施しており、2024年の選挙で再選された場合は中国に対してさらに厳しいアプローチを取ることを示唆しています。



この件に関し、CIAの元東アジア担当アナリストは「中国の経済力と、貿易を通じて報復する能力を考えると、アメリカとの緊張をエスカレートさせる重大なリスクを伴うものです」と指摘しました。