10万円以下の世界初固体電池ポータブルバッテリー「YOSHINO B600 SST」レビュー、約7.8kgの軽さやアプリで給電状態をチェック可能な点など各種性能を確かめてみた
ヨシノパワージャパンが2023年11月に発売したポータブル電源「B600 SST」は、世界で初めて固体電池を採用していることで、有害物質が出にくいなど安全性が高まっているほか、最大1200Wの出力でありながら約7.8kgと片手でも持ち運ぶことが可能で使いやすさに優れています。そんなB600 SSTの外観や使い心地をチェックし、ひとつ上のモデル「B2000 SST」との大きさ比較や動作音の差異など気になる点をいろいろ確かめてみました。
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・目次
◆1:B600 SSTフォトレビュー 重量や耐久性は?
◆2:B600 SSTを起動&専用アプリで接続
◆3:B600 SSTをアプリで動かす&スマートフォン・PCを充電してみた
◆4:B600 SSTを車から充電してみた
◆5:B600 SSTとB2000 SSTのファン音比較
◆1:B600 SSTフォトレビュー 重量や耐久性は?
ヨシノパワージャパンの固体電池ポータブル電源は以下の4モデルが展開されています。
・定格出力300W/最大出力600W/容量241Wh:B300 SST
・定格出力600W/最大出力1200W/容量602Wh:B600 SST
・定格出力2000W/最大出力4000W/容量1326Wh:B2000 SST
・定格出力3300W/最大出力6600W/容量2611Wh:B3300 SST
今回は「定格出力600W/最大出力1200W/容量602Wh」の「B600 SST」を使っていきます。B600 SSTのパッケージはこんな感じ。
反対側の面にはB600 SSTの特徴や操作パネルの外観が記載されています。
側面には充電方式と使用例が書かれていました。
もう一方の側面には、「固体電池のメリット」として「(従来の液体電解質のリチウムイオン電池と比べて)小型化・軽量化を実現」「安定性が向上し、標準的なリチウムイオン電池の最大2.5倍のエネルギー密度」「リチウムイオン電池より安全性が向上」といった特徴が記されています。
箱を開くと書類のセットと白い小箱2つが現れました。
書類はサンクスカード、クイックスタートガイド、取扱説明書、保証書登録カードの4点。B600 SSTは5年間の保証が付きます。
小箱にはケーブル類が収納されています。以下はB600 SSTを充電するための「AC/DC充電アダプター」で、バッテリー側とプラグ側の2品構成になっています。
2つ目の小箱には、シガーソケットケーブル、別売りのソーラーパネルを用いて充電できるソーラー充電ケーブル、シガーソケット用出力ケーブルが入っていました。
B600 SSTの本体を箱から出すと以下のような感じ。梱包(こんぽう)材でしっかりと保護されています。
袋から取りだしました。
B600 SSTの正面には電源やWi-Fi接続、ライトのボタンがあるほか、USBやDC、AC電源のポートが並んでいます。中央にある黒い部分はモニターです。
USBポートは全部で4個。5V/2.4Aで20WのUSB-Aポートが2個と、100WのUSB-C PDポート、20WのUSB-Cポート。また左側にあるUSB-C PDポートには「左側タイプCポートは、モバイルバッテリーなど充放電可能な機器を接続した場合、充放電を繰り返し、双方ともに電力がなくなる可能性がございます。充放電可能な機器を接続する場合は右側のタイプCポートを使用してください」という注意書きがあります。
AC電源ポートは100VAC(交流電圧)、60Hzのコンセントが3個あり、合計600Wに対応しています。
DCは12.6VDC(直流電圧)/10Aで、2ポート合わせて合計126W。
B600 SSTの背面は以下のような感じ。
背面の上部にはカチッと開く部分があります。
フタを開くと、車からの充電やソーラー充電などで用いるXT60の入力ポートと、AC/DC充電アダプターの入力ポートが登場。
側面は通気孔があるほか、肩掛けで持ち運ぶためにヒモなどを通すことができるストラップフックが付いています。側面は左右で全く同じ。
天面に見える金属製ハンドルはしっかり固定されていて安定感が高く、握りやすいグリップもついています。
底面の四隅には滑り止めが付いており、上下に各種仕様が明記されています。
底面上部には警告や注意事項。
底面下部にはB600 SSTのスペックが記載されています。B600 SSTはバッテリー容量602Wh、18.6V、32.4Ah。入力はDCおよびXT60の場合は最大120W、USB入力の場合は最大100Wです。また、放電温度はセ氏-10度から40度、充電温度はセ氏0度から40度で、動作温度は温度範囲内の最大90%となっています。
B600 SSTは正面から見ると台形に近い形状をしています。最も長い部分が実測で約29cm、高さと奥行きが約20cmです。
取っ手を握って持ち歩いてみました。B600 SSTの正味重量は7.8kgで、取っ手が握りやすいこともあり、持ち運びはかなりカンタン。
また、金属製ハンドルはかなり丈夫に作られており、「成人男性が乗ってもビクともしない」とのこと。そこで、体重約65kgの編集部員が上に立ってみたところ、完全に安定しておりどっしりとした丈夫さが感じられました。
ヨシノパワージャパンの固体電池ポータブル電源は4モデルが展開されており、それぞれ出力やサイズ、見た目が異なっています。以下の画像は、左が今回使用しているB600 SST、右がB2000 SSTです。B600 SSTは長辺にボタンやポート、モニターがありますが、B2000 SSTは短辺にボタンやポートがあります。
背面を見比べると、画像左のB600 SSTは背面に充電用の入力ポートのみがありますが、B2000 SSTは入力ポートの他にACコンセントも付いています。
真上から撮影してサイズを見比べてみました。上がB600 SST、下がB2000 SSTで、B2000 SSTは長辺が約37cmとB600 SSTより少し大きく、正味重量は14.2kgと倍近い重さがあります。画像下のB2000 SSTの天面にのみ電気のマークが描かれていますが、これはワイヤレス充電が行えるパッドで、B2000 SSTとB3300 SSTに搭載されています。
B600 SSTは世界初の固体電池を使用したポータブル電源とのことで、バッテリーの循環寿命が優れているほか、外気温にも強く-10℃から60℃の広い温度範囲で使用可能。また、標準的なリチウム電池と比べて、過負荷がかかったときの発火や爆発が起こりにくかったり、損傷した際に有毒な煙が発生しなかったりと、安全性にも優れています。安全性に関して、過酷な安全テストをさまざまに実施している様子が、YouTubeで公開されています。
【初公開】YOSHINO固体電池の様々な安全性テストを紹介! - YouTube
◆2:B600 SSTを起動&専用アプリで接続
まずはB600 SSTを電源に接続します。充電用のAC/DC充電アダプターは2品構成のため、バッテリーをケーブルとつなげます。
そして、B600 SSTの背面にあるDC入力ポートに挿入。
プラグをコンセントに差し込んで給電を開始すると、「ピ」と音が鳴ってB600 SSTの電源がつきました。
電源が入るとB600 SSTのモニターが点灯します。モニターには、「INPUT」として現在の入力ワット数、充電中の場合は充電が完了するまでの残り時間、現在の充電残量が表示されています。
B600 SSTはそのまま使うこともできますが、専用アプリと接続することで、より便利に活用することができます。アプリはGoogle PlayもしくはApp Storeからインストール可能。
Yoshino - Google Play のアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.yoshinopower.app
「Yoshino」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/yoshino/id1631074294
今回はAndroid版を使用します。Google Playでアプリの配布ページを開き、「インストール」をタップ。
インストールが終わったら「開く」をタップ。
アプリを開いたらログイン画面が表示されるので、まずはYoshinoのアカウントを作成するために「REGISTER」をタップします。
メールアドレスを入力して「NEXT」をタップ。
入力したアドレスに、認証用コードが記載されたメールが届きます。
コードを入力して「NEXT」をタップします。
次にパスワードを設定します。任意のパスワードを確認も合わせて2回入力したら、「NEXT」をタップ。
これで登録が完了したので、登録したメールアドレスとパスワードを入力して「LOG IN」をタップします。
アプリのホーム画面は以下のような感じ。アプリにデバイスを追加するため「+」アイコンをタップ。
B600 SSTの正面左上にあるWi-Fiボタンを押してWi-Fi接続モードをオンにします。
Wi-Fi接続モードがオンになったB600 SSTの名前がアプリに表示されるので、デバイス名をタップして「接続」をタップ。
接続したいネットワーク名を選択してパスワードを入力したら「接続」をタップ。
以下のような画面になったらしばらく待ちます。
「接続しました」と表示されたら完了。「戻る」をタップしてホーム画面に戻ります。
ホーム画面にB600 SSTが追加されているのでタップ。
デバイスの管理画面が表示されました。温度や充電残量といったデバイスの状態のほか、B2000 SSTの消費電力、充電完了までの時間などをアプリからもチェックできます。引き続きアプリやデバイスの設定を行うため、右上の歯車アイコンをタップ。
設定項目は以下の通り。「通知音」をタップすると、B600 SSTの電源を入れたり出力をオンにしたりといった際に鳴る「ピ」という音のオンオフを切り替えることができます。
また、「自動電源オフ」をタップすると、B600 SSTの電源が自動で切れるまでの時間を設定できます。
自動電源オフは30分、60分、120分、240分もしくは「常にオン」から選ぶことができます。
また、「自動スクリーンオフ」からはB600 SSTのモニターが消えるまでの時間を調整可能。
スクリーンオフは30秒、1分、10分、「常にオン」から選ぶことができます。
「常にオン」に設定した場合、「常開では、電池の電力を消費します」と表示されます。バッテリーを節約したい場合は自動スクリーンオフを短い時間に設定した方がよさそう。
◆3:B600 SSTをアプリで動かす&スマートフォン・PCを充電してみた
それでは実際にB600 SSTを使用してみます。スマートフォンとB600 SSTをUSBケーブルで接続したら、B600 SSTの「USB」ボタンを押します。
すると、「USB」のボタンが白く点灯し、充電が開始されました。
B600 SSTにはUSB-Cポートもあるため、USB-C to USB-Cケーブルも使用可能です。
B600 SSTが電力を送っている状態では、アプリの「出力」タブから現在の出力ワット数のほか、現在の出力を続けた場合にどれくらいB600 SSTの充電がもつかといった情報を確認できます。
また、アプリの「USB」スイッチをタップすることで、B600 SST本体の「USB」ボタンを押すのと同様に、USB出力のオンオフを切替えることができます。
ふたつ並んでいるUSB-Cポートの左側は入出力どちらにも対応しており、USB-Cケーブルを用いてB600 SSTを充電することもできます。ただし、注意書きにある通り、モバイルバッテリーのような充電と給電が可能なデバイスを左側のUSB-Cポートに接続すると、双方に充電と給電を繰り返してどちらもバッテリーが切れてしまう可能性があるため注意が必要。
コンセントから給電を行う際も、USBの場合と同様に「AC」のボタンを押し込む必要があります。
正面の右上にある太陽マークのボタンを押すとライトを付けることが可能。
暗い場所に置いていても、ボタンを操作したりモニターを確認したりできます。
LEDライトの点灯、USBやAC出力のオンオフなどは、すべてアプリから操作することもできます。以下のムービーでは、B600 SSTのUSBポートに白いケーブルでスマートフォンを接続し、ACコンセントから黒いケーブルでノートパソコンに給電しています。アプリからACやUSBのスイッチを切替えると、本体から「ピ」と音がしてノートパソコンやスマートフォンの充電のオンオフが切り替わっていることがわかります。また、アプリの最下部にある「Light」から、B600 SSTのLEDライトを遠隔でオンオフすることもできます。
世界初の固体電池ポータブルバッテリー「YOSHINO B600 SST」をアプリから操作してみた - YouTube
さらに、以下のムービーではモニターと小型PCをB600 SSTに接続していますが、問題なく起動できたほか、YouTubeのライブ配信も視聴できました。ある程度作業負荷が高まっても継続して使用できましたが、ACコンセントは3つで合計600Wのため、負荷が高すぎる場合は給電が切れてしまう可能性があるため注意が必要です。
世界初の固体電池ポータブルバッテリー「YOSHINO B600 SST」をモニター&PCと接続 - YouTube
B600 SSTの出力はPCの作業内容によって約80W〜95Wくらいで変動しました。また、以下の画面では現在の出力が94W、B600 SSTのバッテリー残量が87%と表示されていますが、この場合の残り使用時間は5時間11分となっています。
◆4:B600 SSTを車から充電してみた
B600 SSTは軽量で持ち運びしやすいため野外での利用にも適しているほか、付属のシガーソケットケーブルを使うことで車から充電することも可能です。以下がシガーソケットケーブルで、伸ばすと全長が約3mあるため、余裕を持ってつなげることができます。
まずはシガーソケットケーブルの黄色い方をB600 SSTの背面にあるXT60入力ポートに差し込みます。
次に、車のシガーソケットを探します。今回使用した車にはハンドルの左あたりに「POWER OUTLET 12V 180W MAX」というフタを発見。
フタを開くとシガーソケットが露出しました。
車のシガーソケットにシガーソケットケーブルを挿入したら準備完了。
B600 SSTのモニターを確認したところ、充電状態であることを表示する「INPUT」が「66W」となっており、B2000 SSTが充電されていることがわかります。
アプリの画面はこんな感じ。「Solar/DC」の入力が点灯しており、B600 SSTのモニターに表示されていたのと同様に「66W」と表示されています。説明書によると、B600 SSTは車両から最大120Wの充電が可能でバッテリーが空の状態から約4時間で80%まで充電可能とのこと。
◆5:B600 SSTとB2000 SSTのファン音比較
B600 SSTはひとつ上のモデルであるB2000 SSTより大幅に小型化されていますが、稼働時の冷却ファン音はどれくらい違うのかが気になります。というわけで今回は2モデルのファン音を比較し、さらに「ソフトウェアアップデートで騒音が大幅に改善された」というのはどれぐらいのものなのかを確かめてみました。なお、今回使用したB600 SSTはソフトウェアのアップデートが適用済みの製品だったため、アップデートによるファン音の比較はB2000 SSTで実施しています。
まずは未アップデートのB2000 SSTのファン音がアップデートによりどんな感じに変わるのかを確かめてみます。本体ソフトウェアのアップデートを行うため、アプリのデバイス設定メニューから「アプリのバージョン」を選択。
ファームウェアの一覧から「EMS」をタップ。
アップデート内容がある場合、以下の画像のようにアップデート内容が記載されています。今回は新機能として「電池の残量をより精密に計算されます。」「ファンの騒音を改善します。」の2点が示されていました。確認したら「アップデート」をタップします。
アップデートが始まると、B2000 SSTのモニターに「UP」と表示されました。UPの右側に緑色で「09%」と表示されているのがアップデートの進行状況で、100%まで完了すると自動的に電源がオフになります。その後再起動したらアップデート終了。
アップデートでファン音がどのように変わったのか、以下のムービーを見るとよくわかります。
YOSHINO B2000 SSTはアップデートして騒音がどう変わった? - YouTube
B2000 SSTは給電時よりも充電時の方がファンの音を大きく感じるため、ムービーでは、アップデート前のB2000 SSTを充電したときの音を計測しています。
充電を開始して約15秒でファン音が鳴り始めました。騒音計で計測してみたところ大きい時で59dB程度。なお、騒音値の基準と目安は50dBで「大きく音が聞こえるが、会話の邪魔はしない程度」、60dBが「大きく聞こえ、うるさい。声を大きくすれば会話ができる」とされています。
次に、アップデート後のB2000 SSTでファン音を計測。
アップデート前はファン音が鳴り始めたらすぐに音が大きくなりましたが、アップデート後はまず静かに鳴り始め、少ししてから段階的に大きくなりました。鳴り始めの時は騒音計による実測で54dB程度。
音が大きくなった時は騒音計による実測で59.3dB程度ありました。騒音計ではアップデート前後で音の最大値はほぼ変わりませんでしたが、実際に聞いてみると高周波音が明らかに減って耳障りな感じが低減されたことがわかります。ムービーの末尾ではアップデート前とアップデート後のファン音を交互に流しているので、ぜひその差を確認してみてください。
また、B600 SSTとB2000 SSTのファン音も比較してみました。以下のムービーでは、B600 SSTを充電している時、B600 SSTをモニターとPCにつなげた時、B2000 SSTを充電している時、B2000 SSTをモニターとPCにつなげた時のファン音をそれぞれ聞くことができます。
世界初の固体電池ポータブルバッテリー「B600 SST」と「B2000 SST」のファン音を比較してみた - YouTube
実際にB600 SSTを使ってみた感想は、とにかく「持ち運びや取り扱いがしやすい」というのが何よりの評価ポイント。以前にレビューしたB2000 SSTもパワーの高いポータブルバッテリーとしてはかなり軽く感じましたが、それでも正味重量が14.2kgとずっしり重めでした。またB2000 SSTは「前面にUSBポート&DCポート」「背面にコンセント」という感じでポートが二面にばらけていましたが、B600 SSTは一面にすべてのポートが集まっているので扱いやすくなっています。結果としてB2000 SSTは「どっしり設置して使うにはハイパワーかつ無停電電源装置(UPS)機能もあって使いやすいが、さまざまに使い分けたり頻繁に移動させたりするには重量の点から難しい」という感じ。一方で今回のB600 SSTは、モニターや出力用のポートが前面にまとまっているほか、片手で持ちやすい重さ&しっかりしたグリップ付きの金属ハンドルにより、頻繁に移動させて使ったりアウトドア用として使ったりする場合にはとにかく便利です。
ただし、パワーの面ではB600 SSTに比べてB2000 SSTが圧倒的に上。B2000 SSTを試していた際には、あらゆる家電を使ってみても問題なく機能しましたが、B600 SSTは「定格出力600W/最大出力1200W」で、AC電源のコンセントは3個で合計600Wのため、電気ケトル、ドライヤー、冷蔵庫など高い電力を要する家電は出力がオーバーフローしてうまく使うことができませんでした。それでもスマートフォンやPC、携帯ゲームなどを充電する分には問題なく機能するため、ある程度限定されたパワーでも持ち運びを重視したいならB600 SST、あらゆる家電を野外で動かしたりUPSとして停電に備えたりしたい場合はB2000 SSTを選ぶのが良さそうです。
B600 SSTの価格は税込9万9900円。Amazonと楽天市場で購入可能です。
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