掲載:THE FIRST TIMES

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SUPER BEAVERのニュー・アルバム『音楽』は全12曲中6曲がタイアップ・ソングとなり、名実共にトップ・バンドの仲間入りを果たした彼ら。その中で発表される今作は、前作『東京』とはまた雰囲気の違うアルバムが出来上がった。メンバー4人の感情や存在がより浮かび、聴き手に鮮明な情景を提供する、かつてないほど繊細な曲調も用意されている。常に1対1の関係性を求め、“対・人”をテーマに掲げてきたバンドが、音楽を鳴らす根源にある感情へとまっすぐ向き合った楽曲が並んでいる。構えず、飾らず、1曲1曲にピュアな気持ちを封じ込めた今作は、さらに多くのリスナーに刺さることだろう。アルバム名に“音楽”と付けた理由を含めて、メンバー4人にたくさん話を聞くことができた。このテキストを読めば、今作の聴き方、感じ方はまた変わると思う。

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──今作も素晴らしい出来栄えですね。内容は前作とはまた異なる作品に仕上がってます。SUPER BEAVERらしい疾走曲がありつつ、ミドル・テンポでじっくり聴かせる楽曲も増えてます。その中でも熱い曲、平熱の曲、さらに低い温度の曲調もあったりと、楽曲の“温度感”という意味で、また違うバリエーションを感じさせる仕上がりだなと。

柳沢亮太(以下、柳沢):うれしいですね。そういう温度感の幅は、そうかもねと思いました。これまでも作品としての面白さを追求して、曲の振れ幅はあったと思うんですよ。でも今回はナチュラルに…結果的にこういうバラエティになったから。ヘンにひねり出したというより、ちゃんと内から自然と出てきたものを形にできましたからね。いままでは楽曲の幅を横に広げても、曲自体のテンションは同じものが多かった気がするんですよ。今回は奥行き感みたいなところでバリエーションを出せたと思います。

■より人の顔が浮かぶ作品になった気がして

──渋谷さんはどんな作品に仕上がったと思いますか?

渋谷龍太(以下、渋谷):シングルカットしている曲もたくさん入っていて、ある程度ピースは揃っているので、全貌が明らかになるまではなんとなくこういう感じだろうというのは見えていたんですよ。だけど、アルバムが出来てみて、ガラッと印象は変わりました。メジャー再契約の3枚はそうだけど、より人の顔が浮かぶ作品になった気がして。自分たちの中でも情景が浮かびやすいし、おそらく聴いてくださる方も、その人だけの情景がパッと浮かぶんじゃないかと。

──今作の制作過程も針の穴に糸を通すような繊細な作業でした?

柳沢:そうですね。「切望」もそうだけど、もうすぐ20周年を迎えるバンドが、こんなテンションでまだ曲をつくれるんだなと(笑)。ただ、その熱量はとにかく火をくべるやり方ではなく、制作作業の中でいろいろと考えながらやったんですよ。熱量はあるけど、勢いまかせではなく、繊細な作業がいっぱいあったから。それが伝わっているのはうれしいですね。楽曲の純度を高めるために繊細さを求める作業は、作品の裏にはありました。

──上杉さんはいかがですか?

上杉研太(以下、上杉):そうですねぇ…衝動的でもあるけど、深みのある作品ができたなと。2023年に7タイトルくらいツアーをやったり、各地に足を運んだり、テレビ出演を含めてメディアにも出させてもらい、考えうること全部やったんじゃないかと思うほど駆け抜けたから。その中でタイアップの曲がアルバムに入っていて、それに付随して、河野(圭)さんという音楽プロデューサーの方と楽曲に着手したんですよ。

■深みのあるエッセンスに関しては、理論的な部分で一緒に考えてくれる人ができたから。それは心強かった

──今作は全12曲中7曲のアレンジに河野さんが関わってますよね。

上杉:それも「儚くない」を一緒にやって、いいグルーヴが生まれて、この曲もあの曲もという流れになったんです。深みのあるエッセンスに関しては、理論的な部分で一緒に考えてくれる人ができたから。それは心強かったですね。

──勉強になった点というと?

柳沢:個人的にベースのアプローチも迷いなく、ここはこういうコード進行だから、こうしましょうと。今までは感覚的にドーン!とやって、音が当たってなかったらいいじゃん、というノリだったんですよ。それから一歩引いた視点で、もしかしたらこっちの方が気持ちいいかもねって。ある種、感覚的に気持ちいいと思えるものを戦略的に考えられたから。それが要所要所に散りばめられたアルバムになったなと。ただ剛速球で投げるだけじゃない手法をチームで考えることができたから。攻めるフレーズも、どっしりしたフレーズも、なぜそれが必要なのか。そこまで会話できるようになりましたからね。全楽器のハーモニーがより適材適所になりました。

──藤原さんはいかがですか?

藤原”35才”広明(以下、藤原):めちゃ良くできたなと。作り始めてから完成するまで、ライヴもすごく入っていたし、スタジオとライヴの往復で結構飛び飛びで時間もタイトだったけど、レコーディングの内容は事細かに覚えているし、会話のラリーも多かったですからね。やっていることはシンプルだけど、一つひとつの音の意味をみんなで理解したから、全曲丁寧に作れたと思います。

──渋谷さんがさきほど「より人の顔が浮かぶ作品」と言っていましたが、曲を伝える上でもより人の顔や存在を意識したんですか?

渋谷:それは自然と出てきた感じですね。2023年がそういう活動でしたから。アコースティックツアーをやったり、対バンツアーをやったり、新宿でこけら落としのライヴをやったり、いつもなかなか行けない県にもツアーで出向き…今までの活動の中でも新鮮なことが多かったんですよ。そうしたいろいろな経験を通して、より人だなと思えたから。自分たちを構成している要因はメンバー4人だけではないし、たくさんの人のおかげで音楽ができているから。具体的に人の顔を見たり、街並みを見たりする経験が多かったので、大事なものの大事さにより深く気づけた感覚に近いですね。

──それで1曲目「切望」はSUPER BEAVERらしい疾走ナンバーです。“僕は笑顔の 渦を作りたい/巻き込んで笑いたい 巻き込まれて笑いたい”の歌詞がとても好きで。

柳沢:ありがとうございます(笑)。

■しっかり現実と目を合わせ続けているバンドになっているなと

──あと、“無性の愛じゃない そこに気持ちの往来”、“初めから 僕で あなたで 人だって”の歌詞は、渋谷さんがよくライヴで言っているMCを楽曲に落とし込んでますよね?

柳沢:まさにそうですね。いい意味で現実的になっているバンドだと思っていて。現実的というのは夢を見ないという意味ではなく、しっかり現実と目を合わせ続けているバンドになっているなと。願いや願望を抱えているからこそ、目を逸らすのではなく、現実を受け止め続けるというか。それに対して何を考えるのか、何をするのか、それを実直にやり続けているバンドだと思っていて。だから、無性の愛はないと思っているというか(苦笑)。

──というのは?

柳沢:見返りを求めてやってるわけじゃなくとも、その人が喜んでくれている時点で、良かったと思う自分もいるし。いつだって自分たちが巻き起こすだけじゃなく、そこに一緒にいる人たちがアイデアをくれたり、うれしそうな報告をしてくれたり、それを俺たちも味わいたくて。それもライヴを重ねるからこそ思うことで、実際に対面したから思えることですからね。巻き込ませるだけじゃなく、俺たちもどんどん楽しいことに巻き込まれたいなと。

──素直な気持ちとして。それはわかります。

柳沢:「初めから 僕で あなたで 人だって らしさってなんだっけ」の歌詞にある通り、「らしさ」という曲を出して、ちょうど10年になるんですよ。それと紐付けようと思ったわけではないけど、この10年でつまんない言い方をすると、いろんなものの見方をしましょうという風潮があり、それを指し示す言葉ばかりが増えている気がして。考えるべきことは言葉が示すそれではなく、誰なのか、誰が何を言っているのか、そこが大事だと思うから。さっきのぶーやん(渋谷)の話じゃないけど、今の時代になって気づいたことではなく、ずっと思っていたことって、やっぱりそうだよなって。それを再確認できたタイミングなんですよ。それをSUPER BEAVERらしく形にできたのが「切望」ですね。リーダー(上杉)も言っていたけど、テレビに出ることもそれ自体が嬉しいわけじゃなく、出ることによって喜んでくれる人がいることが嬉しいから。それをこのタイミングで注入できたのは良かったですね。

──渋谷さんはこの歌詞を読んだときに、自分のMCを歌詞に落とし込んでくれたんだなと思いました?

渋谷:そうですね、ヤナギ(柳沢)はよくやってくれますからね。俺が言ったというよりは、SUPER BEAVERが言ったという感覚に近くて。俺が何も考えずにポンと言ったMCも、バンドで見つけたピュアな気持ちだし、それが作品に落とし込まれるのは健全だと思うから。

──この曲に限らず、「決心」に“青春”という歌詞もあったり、濁りのない感情にフォーカスした楽曲も多いですよね。

柳沢:濁りのない、というのはわかります。何か思いを抱いた瞬間に経験則が勝手にブレーキをかけることもあり、それは生きていくうえで大事な知識だと思うけど、それが枷になることもあるから。ただ、SUPER BEAVERというバンドは悩んだときや迷ったときに…例えば嫌なことがあったときに、なぜそう思ったんだろうという糸をしっかり辿って、いくつかジャマしているものを紐解いていくと…人に対して気を使った言葉があったり、あの人に喜んでほしかったとか、俺が気持ち良くなりたかったとか、そういう原始的な気持ちに辿りついて…結局そういうことじゃない?って(笑)。今作にはそういう気持ちがすごく入ってますね。「楽しいと、つまんない、どっちがいい?」と聞かれたら、みんな楽しい方がいいと思うんですよ。

──ええ。

柳沢:「グラデーション」でも言っているけど、いつも言葉は二極化していて、どちらかを選べるわけではないのも人だから。その気持ちの狭間で、わかっているけど歩み出せない、わかっているけどできないとか、そういう気持ちを抱くのも人だから。それが悪いわけじゃないけど、そこから抜け出したい、だとしたら、どうすればいいのか。それに対する自分なりの思いはどんどんシンプルになってますね。そんなに簡単じゃないとわかっているからこそ、あるべき姿を掲げないと、どこにも行けなくなるから。

■全部違うフレーズを叩いているんですよ。それがあまりわからないように、少しずつ変化していくという

──そして「リビング」は今作の中でも異色の歌詞であり、演奏は一音一音しっかり届けるようなシンプルな曲調です。ベースはメロディアスなアプローチですね。

上杉:それもさきほど話したようなアプローチが活きていて、最初のなんとも言えない感情を、はっきりしない音色で弾いてみたりして(笑)。この曲はより音楽的なアプローチをしました。自分が大枠の設計図を考えて、それをプロデューサーの河野さんを含めて、メンバーみんなと擦り合わせた感じですね。

藤原:「リビング」は面白かったですね。全部違うフレーズを叩いているんですよ。それがあまりわからないように、少しずつ変化していくという。出来上がったら、うわっ、めちゃくちゃ覚えるのが大変だなと。

全員:ははははは。

藤原:曲を聴いた耳障りとは違い、すごく細かいアレンジをしているんですよ。だから、アレンジとしてうまくいったパターンだと思います。あと、曲が出来たあとにぶーちゃん(渋谷)によく最後に聴いてもらうんですけど、反応がすごく良かったから、うれしかったです。

柳沢:ははははは。

■最初に聴いたときにどう思うかを大事にしているから

──渋谷さんが気に入ったポイントは?

渋谷:僕はピン・ヴォーカルなので、楽器に携わっていないので、制作の渦中になるべくいないようにしているんです。最初に聴いたときにどう思うかを大事にしているから。制作の過程を知ってしまうと、ヘンに思い入れが入っちゃうので。「リビング」は自分の中で鳴っているものと乖離することなく、自分が思った以上のアプローチでしたからね。「リビング」は特にそうですね。まあ、マスク美人と一緒ですよ。

──何ですか、いきなり(笑)。

渋谷:こういう顔だろうなと思っていたら、マスクをパッと取ったら、オッ!て。期待値を超えてくると、テンションはめっちゃアガるから。それをメンバー3人がたくさんやってくれましたからね。ほかにもそういう曲ばかりだったので、聴く側としても楽しかったです。

──歌詞は少しダークというか、切ない恋心を描いた内容です。

柳沢:「決心」に“青春”という歌詞があったり、「値千金」は高校ラグビーのテーマソングだったり、どこか青い部分にフィーチャーした楽曲がある中で、エンジニアの人に言われてハッとしたんですけど、リビングにふたりいる時点で、そんなに若くないよねって。

上杉:はははは。

柳沢:そういう意味で、青さとはまた少し違う部分を描けたらという気持ちが無意識にあったんでしょうね。少しずつ年を重ねて、気づかないうちにゆっくり変化して、何が悪いわけじゃないけど、何も起きないことが悪いみたいな。そういう微妙な心もようやく描けるようになったのかなと。藤原も言っていたけど、この曲はポリリズムしていくんですよ。いつの間にか微妙にズレてしまう何かを表現できたらいいなと。それは何が不満というわけじゃないけど、いつから未来について話さなくなったっけ?みたいな(笑)。今回は生活や暮らしにフィーチャーしているからこそ、「決心」のような心を決める瞬間も描くけど、心を決めきれなくて、そのまま過ぎていく時間もまた生活であり、生きることですからね。

■それぞれにとって、かけがえのない時間を思い出して、自分にとって何が大切なのか、その思いが未来にも繋がると思う

──それもリアルな現実ですよね。続いて「値千金」は『第103回全国ラグビー大会』テーマソングですけど、これはお題をもらって書き始めたんですか?

柳沢:いや、必ずこういうワードを入れて欲しいとかはなくて。ただ、みんなで話しているときに、学生の大会って、優勝校以外は敗者であるという。一校だけが負けることなく終わるわけで、当たり前のことなんだけど、そこでハッとしたんですよ。それはラグビーに限らず、あらゆるスポーツにも言えることで、勝ちだけを知って終わるチームはほとんどいない。それはスポーツに限らず、日々生活する中での挫折感を含めて、誰しもが経験することだと思うから。未来があるよ、という言葉はいくらでも言えるけど、裏を返せば、学生生活の3年間は絶対に戻れない時間じゃないですか。そう考えると、今日現在もそういうことじゃないかなと。それぞれにとって、かけがえのない時間を思い出して、自分にとって何が大切なのか、その思いが未来にも繋がると思うので。それを「値千金」という言葉とかけたんですよ。必ずしも、後悔だけが残るわけではないから。

──ラグビーに限らず、大きな意味での応援歌になってますよね。曲調のアレンジも凝ってますが、これはメンバーと話し合って?

柳沢:河野さんと初めてやった「儚くない」があり、この曲もまさに河野さんの助けがほしくなり、そのままアルバムの流れにずるずると入ったんですよ。音の緻密な部分を助けてもらいつつ、河野さんにオルガンを弾いてもらってますからね。

■SUPER BEAVERであまりやらないアプローチ

──バラード的な聴き心地がある一方、クラップを導入して祝福感もあるし、オルガンの音色がまた郷愁を誘います。

柳沢:オルガンって、そうなんですよね。日が落ちるような雰囲気が出ていて。

上杉:常に土台を弾いているベースですけど、途中で祝福感というか、賛美歌感があるようにしました。実はライヴで既にやっているんですけど、オルガンが鳴っていなくても、バンドアンサンブルだけでも楽曲を表現できるようなアプローチを取っているんです。この曲も河野さんとやって、いろいろ勉強させてもらったアプローチが存分に発揮された曲ですね。

藤原:この曲もすごくいいですよね。レコーディングのときにハネない曲にしようとなったけど、現場でハネた曲にしようと。でも当日にハネない曲になって(笑)。アレンジは行ったり来たりしたけど、最終的に曲の中で細かく変えることがその場で決まったんです。普段ならできねえよ!となっていたけど、それも自然と受け入れられたので、そこで自分の成長も感じました。SUPER BEAVERであまりやらないアプローチになったし、結果いい曲になったと思います。

──「奪還」は今作の中でもヘヴィな楽曲ですね。SUPER BEAVER流RAGE AGAINST THE MACHINEと勝手に命名しているんですが。

全員:ははははは。

柳沢:最後は指で弦をこすってますからね。

──トム・モレロ(G)と同じやり方ですね。

柳沢:まあ、トム・モレロの「ト」ぐらいの感じですけどね(笑)。楽しく作れました。キワキワの笑っちゃうアレンジは僕ら的にはありだから。このビートはSUPER BEAVERの中でもこの曲しかないし、普通にかっこいい曲ができたなと。

■地獄を表現してみました(笑)

──アルバムの中でもいいフックになってます。

柳沢:うん、完全に異端ですよね。“地獄”という歌詞もありますけど、リーダーのベースも地獄みたいな音ですからね。

上杉:はい、地獄を表現してみました(笑)。これはやって楽しかったですね。

──「裸」もこれまでのSUPER BEAVERにはなかったタイプの曲調です。ありのままというか、装飾を極限まで排除したシンプルさで。

柳沢:このアルバムにこういう弾き語り感のある曲があればいいなと思って。先行配信されたシングル曲があり、既に一つひとつ顔の強い曲が最多であったから。こう思いたい、だから頑張りたい、その気持ちの発生源になっている曲もほしくて。こういうところもあえて歌にして届けることによって、なぜほかの曲でああいうことを歌っているのか、その理由が聴いている人にもよりいっそう伝わるんじゃないかと。

──「裸」がこの作品に入っている、入っていないではアルバムに対する印象がガラリと変わるほどの重要曲だと思います。他人には見せたくない感情まで曝け出した歌詞ですよね?

柳沢:そうですね。これも一側面だと思うけど…こういう感情に蓋をすると、伝えたいものも伝わらないんじゃないかと。個人的にこういう気持ちと向き合うことは、他者と向き合うことにも繋がると思うから。表裏一体で、人を思うことは、自分の心の奥底と向き合うことと同じだから。届けたいことの、本意がより伝わるんじゃないかと。

■人間として、また違う側面を見せられたんじゃないかと

──「裸」における渋谷さんの歌声もほかの曲とは違いますよね。

渋谷:自分でもこの歌い方が正解がどうかはわからなくて。うまく歌おう、こうしたらより届くかもしれないとか、そういう気持ちをなくすためにほぼ着手してなかったんですよ。だけど、いちばん歌った曲ですね。正解がわからなかったから。

──そうなんですね。アコースティック・ライヴでは余計なことを考えずに歌っていると以前に言ってましたが、それとはまた違う感覚ですか?

渋谷:また違いますね。矢印が向いている方向を限りなく内側にしたから。アコースティックのときは外に向いているんですよ。基本姿勢としての脱力感みたいなものは近いかもしれないけど、この曲はあまり強く伝えようという感じではないから。人間として、また違う側面を見せられたんじゃないかと。

■人と関わったり、何かを巻き起こしたり、共に何かをすることが我々にとっての音楽

──そして、最後の「小さな革命」はアルバム名ともリンクした歌詞があり、今作の柱と言える曲ですよね。ドラム始まりも印象的でした。

柳沢:気持ちが沸き立つ感じが出てますよね。「小さな革命」が出来たから、アルバム名も『音楽』になったんですよ。音楽にまつわる曲を作ろうと思って、「小さな革命」を書いたわけじゃないんです。これはまさに常々ステージ上でも言っているSUPER BEAVERにとっての音楽じゃんって。それは音楽的に探求したとかではなく、人と関わったり、何かを巻き起こしたり、共に何かをすることが我々にとっての音楽だなと。僕らの音楽はそのためにあるんじゃないかと。

──“君の夜明けのきっかけになれたら”という歌詞がありますが、ここは伝えたい部分の一つですか?

柳沢:そうですね。僕らは音楽を使って、その人の気持ちを受け止めたり、それを我々はもう一度放ったりとか、気持ちの往来があるわけですけど、何があろうとなかろうと、決めるのは自分だから。ならば、せめてその一歩手前のきっかけになれたら、僕らにとってこれほどうれしいことはないから。それを改めて思えたので、それを素直に曲にしたんですよ。『音楽』とアルバム名を付けたら、次はどうするんですか?と思う人もいるかもしれないけど、僕らにとっては今までの作品もこれから出す作品も、音楽というワードに紐づくだけなんですよ。どんどんピュアになっていける気がしますね。

INTERVIEW & TEXT BY 荒金良介

リリース情報
2024.2.21 ON SALE
ALBUM『音楽』

ライブ情報
「SUPER BEAVER「都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~」
【2024年】
1月27日(土) 【愛知県】 日本ガイシホール
1月28日(日) 【愛知県】 日本ガイシホール
2月10日(土) 【大阪府】 大阪城ホール
2月11日(日) 【大阪府】 大阪城ホール
2月20日(火) 【東京都】 日本武道館
2月22日(木) 【東京都】 日本武道館
2月23日(金・祝) 【東京都】 日本武道館
3月23日(土) 【埼玉県】 さいたまスーパーアリーナ
3月24日(日) 【埼玉県】 さいたまスーパーアリーナ

Zepp Shinjuku (TOKYO) 1st Anniversary 「SUPER BEAVER 都会のラクダ 柿落としSP ~ 新宿生まれの、ラクダ ~」を、放送する
2024年4月17日(水) 【東京】Zepp Shinjuku (TOKYO)
※本公演は、2023年4月17日に開催されたSUPER BEAVER「都会のラクダ 柿落としSP ~ 新宿生まれの、ラクダ ~」のライブ映像を放映するイベントとなります。
※メンバーの出演はございません。予めご理解のほどよろしくお願いします。

SUPER BEAVER 都会のラクダSP 行脚 ~EXTRA~
2024年6月24日(月) 【石川】金沢歌劇座

SUPER BEAVER「都会のラクダ 野外TOUR 2024 ~ビルシロコ・モリヤマ~」
【2024年】
6月2日(日) 【東京】日比谷野外音楽堂
6月16日(日) 【大阪】大阪城音楽堂
6月22日(土) 【山梨】河口湖ステラシアター
9月1日(日) 【香川】さぬき市野外音楽広場テアトロン ※追加公演
9月7日(土) 【北海道】札幌芸術の森 野外ステージ
9月8日(日) 【北海道】札幌芸術の森 野外ステージ ※追加公演
9月21日(土) 【長崎】稲佐山公園 野外ステージ

プロフィール
SUPER BEAVER
スーパービーバー/渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。2009年にメジャーデビューするものの、2011年には活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P×RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタートさせた。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりのメジャー再契約を結んだことを発表。2021年、楽曲「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の話題の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌を務める。2022年2月23日(水)にはフルアルバム『東京』をリリース。楽曲「ひたむき」が、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期のオープニングテーマに。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、同年実施したアリーナツアーも全公演ソールドアウトにて約75,000人を動員した。前作に続き、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』には「グラデーション」が、続く『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌には「儚くない」が決定。4月19日にニューシングル『グラデーション』がリリース。7月には自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催。2024年2月21日にフルアルバム『音楽』をリリース。今最も注目を集めるロックバンド。