2024年、 インフルエンサーマーケティング はどのように進化するか? エグゼクティブ、クリエイター5人による予測
Glossyの「未来を考える」シリーズでは、2024年のファッションと美容業界の展望をブランドや小売業者のエグゼクティブが解説する。
「オーセンティシティ(真正性)」というコンセプトは目新しいものではないが、2024年にはインフルエンサーマーケティングの原動力となるだろう。
専門家によると、フォロワーに対してオーセンティック(真正)であると読み取れるインフルエンサーは、新年も引き続きもっとも成功を収めるという。そのため、クリエイターもブランドも確実に共感を呼ぶべく、長期的な関係を求めている。これは、ヌードスティックス(Nudestix)がセレブリティのストックオプションプランモデルを通じて育んできたような、単発のパートナーシップとは対照的だ。以下は、来年のインフルエンサーマーケティングのさまざまな動向について、業界で活躍している人々による予測である。
「ブランドが長期的なパートナーシップに頼るようになり、インフルエンサーが自分のコンテンツでどの製品をどのようにフィーチャーして語るのかを選択するうえで大きな役割を果たす、という変化が起きている。また、ブランドがお気に入りのインフルエンサーと大規模に提携するようになり、スポンサードコンテンツや専門知識と引き換えに、株式や『クリエイティブディレクター』といった給与ベースの役割をインフルエンサーに提供するケースもみられる。これが意味しているのは、年間のパートナーシップの数は減るかもしれないが、ブランドとインフルエンサーの双方が等しく利益を得る有意義なコラボレーションに注力するようになるということかもしれない。ブランドがパートナーシップへのアプローチ方法を変えているだけでなく、コンテンツも急速に変化している。インフルエンサーは、もはや商品レビューに重点を置いておらず、VlogにせよGRWM(私と一緒に準備しよう)のルーティンにせよ、自分が話すコンテンツに自然に商品を組み込むようになっている。最近では、TikTokショップが爆発的に人気となっているが、これもまたオンラインで商品を話題にする方法に変化をもたらすだろう。TikTokでは、ライブストリームを通じてストアフロントの商品について話すことだけに集中した専用アカウントを多く見かけるようになった。オーディエンスはインフルエンサーとのつながりや親近感を求めているので、コンテンツもさらにライブストリームへとシフトしていく予感がする」。
ーーコンテンツクリエイター、サラ・パルミラ氏
「FaceTime的な親しみやすいコンテンツというコンセプトが大好きだ。そのようなオーセンティックで親近感のあるコンテンツに傾倒するインフルエンサーは、より緊密なコミュニティを形成し、オーディエンスとの強固な関係性を生み出している。またブランドロイヤリティを高め、コラボレーションをさらに本物らしくするために、ブランドは単発のキャンペーンではなく、重要なアンバサダーとの長期的なパートナーシップに移行している。現代のマーケティングの一部は、インフルエンサーが行っていることやそのコンテンツのスタイルにブランド側が合わせることであり、インフルエンサー側にブランドがやることに合わせてもらうのではない。これはブランドとクリエイターの双方にとって意味のあるインフルエンサーキャンペーンを成功に導くカギとなるだろう」。
ーーK18ヘア(K18 Hair)グローバルマーケティング・シニアバイスプレジデント、ミシェル・ミラー氏
「2022年から2023年は、多くのブランドが自社製品について語ってくれる新進気鋭のインフルエンサーを雇い、オーディエンスにリーチしたいと考えていた。だが、2024年にはそれは変化して、ブランドが誰をパートナーにするかを選り好みするようになると思う。美的なGRWM動画を作ったり、ビュー数を多く獲得できるインフルエンサーを雇うのではなく、ブランドはその分野の権威や専門家を起用した、より生々しく親近感のあるコンテンツに目を向けるようになるだろう。ビュー数だけに利用される初見のユーザーではなく、自社製品について本当に語ることができる知的な個人をブランドは求めるようになる。オーディエンスの観点からすれば、人々は賢く、インフルエンサーを見抜くことができる。オーディエンスは何度もその製品について語ってきた人を信頼するので、それがパートナーシップであれば意味があるし、より信頼されるようになる。単発的なパートナーシップではなく、長期的なパートナーシップがさらに増えていくと思う」。
ーーコンテンツクリエイター、バイアヴァ(ByAva)創業者、アヴァ・リー氏
「TikTokやYouTubeのようなプラットフォームでは、コンテンツがより長いVlogスタイルのフォーマットにシフトしているようだ。オーディエンスはクリエイターの日々の冒険を追うことに熱心で、興味を持っているように思える。短いGRWM動画やCovidの頃を彷彿とさせるコンテンツは、もはやそれほど魅力的ではない。また、YouTubeでのコラボレーションや統合も増えている。そうした傾向にもかかわらず、60秒未満の超短いコンテンツに対する需要もいまだに健在だ。インフルエンサーは今、これまで以上にニッチを取り入れ、独特の個性をアピールしながらも「親近感」を感じさせる必要がある。それぞれのブランドにはそれぞれの目的があるため、一般論を述べるのは難しい。大きな予算のある大手ブランドは、信頼性を高めて認知度を上げるために人気の波に乗ってインフルエンサーの起用に固執するだろう。だが大半のブランドはマーケティング予算が厳しくなり、エンゲージメントや広告費回収率などのデータにますます依存するようになると思う。ブランドはインフルエンサーが実際の売上に貢献しない限り、クリエイターとさらに低い料金を交渉する可能性が高い。また、ブランドがこれまで以上にクリエイティブな方法でインフルエンサーと提携し、より多くの利益を得るとともに、提携するクリエイターとの関係を強化していることにも気づいた。ブランドがどのようなものを考え出すのか興味深いが、キュレーションされたブランドディナー、懇親会、旅行、イベント、インフルエンサーとの共催イベントなどにも期待すべきだろう」。
ーーネクスト・コレクティブ・エージェンシー(Next Collective Agency)共同創業者、リーガン・ロウ氏
「2024年には、美容の分野でスポンサードコンテンツに重層的なアプローチを用いるブランドが増加し、既存のオーガニックな会話のなかでのエンゲージメントにインフルエンサーを活用するようになると思う。たとえば、物語に新たな要素を追加するために、トレンドになっているGRWMコンテンツにコメントしたり、スティッチしたりするクリエイターに対して報酬を支払うようになるだろう」。
ーーデジタルブランドアーキテクツ(Digital Brand Architects)CEO、レイナ・ペンチャンスキー氏
[原文:How influencer marketing will evolve in 2024, according to executives and creators]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)
「オーセンティシティ(真正性)」というコンセプトは目新しいものではないが、2024年にはインフルエンサーマーケティングの原動力となるだろう。
専門家によると、フォロワーに対してオーセンティック(真正)であると読み取れるインフルエンサーは、新年も引き続きもっとも成功を収めるという。そのため、クリエイターもブランドも確実に共感を呼ぶべく、長期的な関係を求めている。これは、ヌードスティックス(Nudestix)がセレブリティのストックオプションプランモデルを通じて育んできたような、単発のパートナーシップとは対照的だ。以下は、来年のインフルエンサーマーケティングのさまざまな動向について、業界で活躍している人々による予測である。
ーーコンテンツクリエイター、サラ・パルミラ氏
「FaceTime的な親しみやすいコンテンツというコンセプトが大好きだ。そのようなオーセンティックで親近感のあるコンテンツに傾倒するインフルエンサーは、より緊密なコミュニティを形成し、オーディエンスとの強固な関係性を生み出している。またブランドロイヤリティを高め、コラボレーションをさらに本物らしくするために、ブランドは単発のキャンペーンではなく、重要なアンバサダーとの長期的なパートナーシップに移行している。現代のマーケティングの一部は、インフルエンサーが行っていることやそのコンテンツのスタイルにブランド側が合わせることであり、インフルエンサー側にブランドがやることに合わせてもらうのではない。これはブランドとクリエイターの双方にとって意味のあるインフルエンサーキャンペーンを成功に導くカギとなるだろう」。
ーーK18ヘア(K18 Hair)グローバルマーケティング・シニアバイスプレジデント、ミシェル・ミラー氏
「2022年から2023年は、多くのブランドが自社製品について語ってくれる新進気鋭のインフルエンサーを雇い、オーディエンスにリーチしたいと考えていた。だが、2024年にはそれは変化して、ブランドが誰をパートナーにするかを選り好みするようになると思う。美的なGRWM動画を作ったり、ビュー数を多く獲得できるインフルエンサーを雇うのではなく、ブランドはその分野の権威や専門家を起用した、より生々しく親近感のあるコンテンツに目を向けるようになるだろう。ビュー数だけに利用される初見のユーザーではなく、自社製品について本当に語ることができる知的な個人をブランドは求めるようになる。オーディエンスの観点からすれば、人々は賢く、インフルエンサーを見抜くことができる。オーディエンスは何度もその製品について語ってきた人を信頼するので、それがパートナーシップであれば意味があるし、より信頼されるようになる。単発的なパートナーシップではなく、長期的なパートナーシップがさらに増えていくと思う」。
ーーコンテンツクリエイター、バイアヴァ(ByAva)創業者、アヴァ・リー氏
「TikTokやYouTubeのようなプラットフォームでは、コンテンツがより長いVlogスタイルのフォーマットにシフトしているようだ。オーディエンスはクリエイターの日々の冒険を追うことに熱心で、興味を持っているように思える。短いGRWM動画やCovidの頃を彷彿とさせるコンテンツは、もはやそれほど魅力的ではない。また、YouTubeでのコラボレーションや統合も増えている。そうした傾向にもかかわらず、60秒未満の超短いコンテンツに対する需要もいまだに健在だ。インフルエンサーは今、これまで以上にニッチを取り入れ、独特の個性をアピールしながらも「親近感」を感じさせる必要がある。それぞれのブランドにはそれぞれの目的があるため、一般論を述べるのは難しい。大きな予算のある大手ブランドは、信頼性を高めて認知度を上げるために人気の波に乗ってインフルエンサーの起用に固執するだろう。だが大半のブランドはマーケティング予算が厳しくなり、エンゲージメントや広告費回収率などのデータにますます依存するようになると思う。ブランドはインフルエンサーが実際の売上に貢献しない限り、クリエイターとさらに低い料金を交渉する可能性が高い。また、ブランドがこれまで以上にクリエイティブな方法でインフルエンサーと提携し、より多くの利益を得るとともに、提携するクリエイターとの関係を強化していることにも気づいた。ブランドがどのようなものを考え出すのか興味深いが、キュレーションされたブランドディナー、懇親会、旅行、イベント、インフルエンサーとの共催イベントなどにも期待すべきだろう」。
ーーネクスト・コレクティブ・エージェンシー(Next Collective Agency)共同創業者、リーガン・ロウ氏
「2024年には、美容の分野でスポンサードコンテンツに重層的なアプローチを用いるブランドが増加し、既存のオーガニックな会話のなかでのエンゲージメントにインフルエンサーを活用するようになると思う。たとえば、物語に新たな要素を追加するために、トレンドになっているGRWMコンテンツにコメントしたり、スティッチしたりするクリエイターに対して報酬を支払うようになるだろう」。
ーーデジタルブランドアーキテクツ(Digital Brand Architects)CEO、レイナ・ペンチャンスキー氏
[原文:How influencer marketing will evolve in 2024, according to executives and creators]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)