物議を醸したドジャースの補強に米野球メディアが持論 サラリーキャップは「公平な競争環境を保証するものではない」

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大谷と山本の補強はドジャースにとって大きな戦力アップにはなるが…(C)Getty Images

 今オフのFA市場において、ドジャースは大谷翔平、山本由伸の両日本人プレーヤーに、史上類をみないほどの契約内容を提示し、獲得に成功した。「二刀流スター」大谷が10年7億ドル、そしてMLBルーキーである山本への12年3億2500万ドルといった金額が報じられると、米球界は騒然となった。

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 日本人大物選手を巡るマネーゲームに“一人勝ち”したドジャースのここまでの動きには、他球団関係者やファンからも賛否の声など、さまざまな反応が今なお伝えられている。

 その中で、米野球専門メディア『Baseball America』が、今オフのドジャースにみられた補強に巨額を投じることについて持論を展開している。

 同メディアはドジャースが大谷、山本と交わした契約に対し、「2人の選手に2週間で10億ドル以上を与えた」と振り返りながら、「当然、このような天文学的な出費は、競争上の公平性を確保するために、MLBにサラリーキャップ(チームの年俸総額、予算の制限)を設けるべきだという声につながっている」と指摘。

 その一方で、「しかし、サラリーキャップが公平な競争環境を保証するものではないことに注意する必要がある」と主張。北米4大プロスポーツリーグのうち、NBA、NFL、NHLがいずれもサラリーキャップを導入していながらも、2000年以降でシーズン王者やプレーオフ出場チーム数がMLBよりも少ないといった例を挙げ、年俸制限による戦力均衡化への影響が必ずしも大きいものではないと論じている。

 また、同メディアは「ワールドシリーズで優勝するチームは、ほとんどの場合、野球界で最も出費の多いチームである」として、戦力強化ではある程度の支出が必要であると強調した。

 その上で、「ワールドシリーズ制覇に必要なスター選手と、選手層の厚さを兼ね備えるには、巨額の資金が必要であることは30年前から何度も明らかになっている。ドジャースはこのことを知り、認識し、チャベス・ラビーン(ドジャースタジアム所在地名)に優勝をもたらすため、可能な限り最も強力なポジションに再び身を置いている」と見解を綴っている。

 今回のトピックでは、「もちろん、莫大な資金を費やしたが、横ばいに終わったチームもたくさんある。昨年は、メッツ、ヤンキース、パドレスの3球団がプレーオフ進出を逃した」とも記されているものの、ドジャースの補強には肯定的な言葉が並んだ。

 潤沢な資金を大谷、山本の獲得に充て人々を仰天させたドジャース。その目論みの先にある、2020年以来の世界一を成し遂げられるのか。来季の戦いはこれまで以上に視線が注がれることになる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]