しっかり「ゴール」まで到達するには、漫然と夢を見るだけではダメなようです(写真:チキタカ “tiquitaca”/PIXTA)

新年の始まりにあたり、今年の抱負や夢を考える方も多いことでしょう。今年は、ただ「なんとなく」ではなく、せっかくならしっかり達成できる方法で「目標」を設定してみませんか?

目標達成の「技術」を伝える原田隆史氏著『はじめての目標達成ノート』から、前々回の記事「大谷翔平も使った目標達成ツール、そのノウハウ」などでも具体策をご紹介してきましたが、今回は改めて目標の立て方について同書から一部を抜粋・再編集してお届けします。

がむしゃらに頑張るだけでは成果は出ない

夢や目標を掲げるときには、それを「いつ」達成するのかを、クリアにすること。それは夢や目標を実現させるための大事なセオリーです。

「夢」と「目標」は実は同じではありません。その違いはどこにあるかわかりますか? それは達成の「期限」が明確かどうかです。言い換えるなら、「いつかこうなりたい」「いつかこれをやりたい」という夢は、期限を決めた時点で、夢ではなく目標になるのです。

例えば「オリンピックで金メダルを取る」というのは、「いつ」が定められていないので、この時点ではただの夢です。期限を決めず、たとえば「次がダメなら、その次のオリンピックでもいいか」と考えてしまうかもしれません。「いつ」と決めないうちは、夢はぼんやりしたままなのです。

夢を確実に実現させる一流のアスリートなら「2024年のパリオリンピックで金メダルを取る」というところまでクリアにして、目指すべき目標として設定します。そして、それに向けての計画や戦略を決め、着々と実行していくのです。

2024年ではなく、2028年のロサンゼルスをターゲットにする人もいるでしょう。その場合は、計画や戦略もまったく違ったものになるはずです。

年中「5キロくらい痩せたいなあ」と思っていてもなかなか痩せられないのは、期限を決めないからです。期限を決めないうちは「5キロ痩せる」ことはいつか叶えたい夢にすぎません。だから結果も出ないのです。

期限が決まらなければ戦略も決められないので、「とにかく痩せたい」と闇雲に頑張るしかなく、それだと無駄な努力に終わってしまいかねません。

「31カ月後までに5キロ痩せる」というふうに期限を決めれば、それは目標になります。当然戦略も決まり、やるべきことも決まります。だから結果にもつながりやすくなるのです。

目標設定をクリアにし成果につなげる

真面目な人ほど、とにかくがむしゃらに頑張ります。頑張ることは確かに素晴らしいのですが、頑張ることそれ自体が目標になってしまいがちです。残念ながらそれでは成果は出せないのです。

成果を出せる人というのは、ただ漫然と頑張ったりはしません。努力する前に達成すべきゴールを明確に決めてから、その実現のための戦略を考えます。ターゲットがはっきりしていれば、戦略の精度も上がります。だから、成果が出るのです。

「いつ」「何を」達成するかをクリアにする目標設定は、あなたの努力や頑張りを成果につなげる大きなカギです。これこそまさに、目標設定・目標達成の「技術」の第一歩なのです。

【Step 1】

下図の記入例を参考に、あなたの夢を思いつく限り書き出してください。

【Step 2】

それぞれの夢に、いつまでに実現したいかの「期日」(期限となる日付)を入れましょう。


期日を決めた目標の例(出所:『はじめての目標達成ノート』)

目標設定の技術として大事なことは、一度決めた目標は簡単に下方修正しない、という覚悟を持つことです。

とりあえず「来年の●●大会で日本一になる」を目指してみて、途中で無理そうと思ったら3番くらいに変えればいいや、などと考えるようでは、目標設定する意味がありません。

「適切なレベル」を把握する

だからこそ、目標を設定する時点で、その目標が自分にとってどれくらい難しいものであるかを理解する必要があります。

難しいとわかっていれば、気を引き締めたり、よりハードな戦略を検討することもできるし、もちろん、自分にとって妥当だと思われるレベルにあらかじめ引き下げることもできます。

いずれにしても、あとからむやみに下方修正するような事態は避けられます。

1. まずは過去のデータや実績にはとらわれず、「こうなったらいいなあ」という自分にとって「最高の目標」を書き出す

2. 次に、これまでの経験からすると、「これは確実に達成できる」という「最低限の目標」を書き出す

3. 難易度としての「中間の目標」を書き出す(これは「感覚としての難易度の中間」であり、最高の目標と最低限の目標の数字的な「中間」というものではない点に注意)

4. 達成までの期限も考慮しながら、1、2、3の目標を比較して、今回の目標はどのあたりが適切なレベルかを考える

ここで大事なのは、客観的で測定可能な目標を立てることと、比較ができるように目標の単位を揃えることです。「一生懸命やる」といった情緒面の目標や、最高の目標が「売上」で、最低限の目標が「顧客数」というのはダメです。

また、気をつけていただきたいのは、「中間の目標」はあくまでも「中間の目標」であって、それが「適切なレベルの目標」だとは限らないということです。

期限や目標の種類にもよりますが、例えば11カ月後までの営業成績の目標なら、おおむね現状の2割増しくらいが妥当な線だと考えられます。

「目標は高いほどいい」という人もいます。私は「最高の目標」に関して言えば、それでいいと考えています。

しかし今回実際に目指す「11カ月目標」については、必ずしもそうとは思いません。先に書いたように、11カ月先に達成できるのは、現状の2割増しぐらいが妥当だからです。今回は練習と考えて、今の2割増しぐらいを狙ってみてください。

心の幅の上限を伸ばすため高い目標のイメージを

「最高の目標」から「最低限の目標」までの幅は、あなたの「心の幅」でもあります。人間は自分の心の幅を超えることはできないので、心に描いた「最高の目標」以上の結果は得られません。

自分自身の可能性に蓋をしないためにも、常に高い目標を思い描いてイメージを広げ、心の幅の上限を伸ばしておきましょう。

適切なレベルの目標を考えるワーク

数字で結果が示せる目標を1つ選び、11カ月後に実現するプランを立ててみましょう。

【Step 1:数字抜きの目標】

選んだ目標をまずは数値抜きで書き出してください。

●例 営業成績を上げたい

【Step 2:最高の目標(夢のような目標)】 

この目標を、どのくらいのレベルで達成できたら「夢のようで大満足」だと思いますか? 数値を入れて書き出しましょう。

●例 月間売り上げ1000万円

【Step 3:最低限の目標(確実に達成できる目標)】 

この目標について、どれくらいのレベルならば「今の自分でも確実に達成できる」と思いますか? 数値を入れて書き出しましょう。

●例 月間売り上げ300万円

【Step 4:中間の目標】

Step2とStep3の(難易度として)中間の目標を書き出しましょう。

●例 月間売り上げ 800万円

【Step 5:11カ月後( 年 月 日)までの目標】

Step2〜4の数値を参考に、11カ月後の目標を設定してください。目標達成のプロセスを実感できるよう、自分にとって適切なレベルの目標をよく考えて決めてください。目標のレベルはあまり上げすぎないこと。最初は比較的やさしい目標から始めましょう。

●例 2023年11月30日までに月間売り上げ720万円を達成する


(原田 隆史 : 原田教育研究所代表取締役社長)