ドラマ『いちばんすきな花』ポスタービジュアル(公式Xより)

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フジテレビの木曜劇場『いちばんすきな花』は最終回へ向け、第2章へと入ったと言えるかもしれない。

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『いちばんすきな花』といえば、ここまで掲げてきたテーマで我々視聴者をひきつけてきた。男女の友情であったり、母親との関係性であったり、決して世の中の少なくない人々に刺さるテーマを持ち出し、放送後は決まってSNSが感想合戦として盛り上がった。

ただ、一貫して言えることはクアトロ主演の4人個人にフォーカスしているということ。1〜6話まで潮ゆくえ(多部未華子)、春木椿(松下洸平)、深雪夜々(今田美桜)、佐藤紅葉(神尾楓珠)に一度はスポットライトが当たり、4人のこれまでの生きづらさなどが描かれてきた。

その点で、23日に放送された第7話は根本的に一線を画していた。

第7話で“主役”に躍り出たのが志木美鳥という存在。ドラマの序盤から「みどりちゃん」としてゆくえの口から語られていたが、彼女は他の3人とも強い関係性を持っていることも明らかになった。

春木にとっては中学の同級生で「よく誰かを殴っていた」ヤンキーのような存在。夜々にとっては将棋を教えてくれた優しいいとこのお姉ちゃんだが、紅葉にとっては「いつもイライラしている」塾の先生だという。

これまで主演4人のキャラクターをそれぞれ丁寧に描いてきた同作品だが、美鳥に関しては4人がそれぞれの時代で出会った伝聞により形作っている。もしかすると、美鳥のこれまでについても作品内で触れるかもしれないが、現時点でその可能性は低いだろう。

そうすることができた理由が田中麗奈だ。第7話の最後に登場し、他でもない美鳥が彼女であることがはっきりとした。感覚的な話にはなるが、田中麗奈であればヤンキーっぽさもありながら、優しいお姉ちゃんとして将棋を教える姿も想像できる。この配役だからこそ、回りくどい回を挟むことなく、4人がそれぞれ発した言葉を回収するような美鳥の登場を描くことができるのだ。

実際、SNSを見渡しても田中麗奈の登場に驚く人は多かったが、それは近年あまり地上波のドラマに姿を見せなかったからだろう。「みどりちゃんのイメージに合わない」というわけではなく、むしろ類まれな多面性を持つ志木美鳥は彼女しか演じられないのではとさえ思わされる。

これまで4人の過去や関係性をコメディ要素も含めて見せてきた同作品だが、志木美鳥の登場によってある種、人間ドラマ・ミステリのようなジャンルも加わった。すでに多くの人々が予想していた方向とは違う向きへと進んでおり、最終回へ向けての第2章はもう誰にも想像することはできない。

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