アンブライドルドを受け継ぎ米最強馬となったフライトライン(c)netkeiba.com

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【アンブライドルド】

 強力な差し脚を武器とした大型馬で、1990年にケンタッキーダービーとBCクラシックを勝ったにもかかわらず、米年度代表馬には選出されませんでした。アメリカの二大レースを同一年に両方勝ちながら年度代表馬になれなかったのは、アメリカ競馬史上アンブライドルドだけです。

 父ファピアノはマイラー型の種牡馬でしたが、アンブライドルドは母の父がフランスのスタミナ血統ルファビュルーなので、距離は10ハロンをこなし、大レース向きの底力にも恵まれていました。フロリダの名門タータンファームズが誇る名血ドクターフェイガー≒シャレディ3×2という鮮やかな配合構成で、これが非凡な能力の源泉となっています。インリアリティとニックスの関係にあり、基本的にはダートの中距離タイプ。ヨーロッパの活躍馬は出ませんでしたが、日本ではレッドチリペッパーが富士Sと中山牝馬Sを勝ちました。

 エンパイアメーカーとアンブライドルズソングを通じて父系が発展し、前者の直系子孫に米三冠馬アメリカンファラオ、後者の息子にアロゲート(BCクラシック、ドバイワールドC)がいます。また、3年連続米チャンピオンサイアーとなったタピットの母の父でもあり、同馬は近年のアメリカ最強馬フライトラインの父となりました。現代アメリカの最重要血脈のひとつといっていいでしょう。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「色んな種牡馬で名馬を生み出す牝馬に共通項ってある?」

 ロベルトを抱えた牝馬は、母となって大成する傾向が見られます。ハシリ(Hasilli)、スライトリーデンジャラズ(Slightly Dangerous)、ユアソースリリング(You'resothrilling)、マグニフィセントスタイル(Magnificient Style)、キャバレー(Cabaret)などなど。父を問わず優秀な仔を出しています。

 わが国はモーリス、エピファネイア、ナダルなど、ロベルト系種牡馬が存在感を示しています。これらの血を受け継ぐ繁殖牝馬は注目です。先日引退を発表した牝馬三冠馬デアリングタクト(父エピファネイア)は期待大でしょう。