大谷翔平らの離脱で、ついに医療改革を宣言…それでも「諸悪の根源」エ軍オーナーの“倹約主義”に消えぬ不安

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球団のMVPを受賞した大谷。しかし、彼もレギュラーシーズンの後半は欠場を余儀なくされた。(C)Getty Images

 去る10月1日、メジャーリーグのレギュラーシーズンは終了した。大谷翔平(エンゼルス)が所属して注目を集めたエンゼルスは、8月初旬までポストシーズン進出争いを展開したものの、結局は低迷。またしても“檜舞台”には立てなかった。

 不振の原因は様々だ。しかし、今季のエンゼルスで何よりも痛恨だったのは、夏場以降に故障者が相次いだハプニングだ。

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 主軸が揃って離脱した。主砲のマイク・トラウトは7月に右手の有鉤(ゆうこう)骨骨折。翌月に1度は戦線に復帰するもわずか1試合で故障者リスト(IL)に戻った。今季のチームで最高年俸(3857万ドル=約55億9000万円)を手にしているアンソニー・レンドーンに至っては、自打球が影響した左足骨折によって7月からIL入り。ほとんど戦力になり切れなかった。

 開幕から投打で異彩を放った大谷の離脱も痛恨だった。8月23日のレッズ戦で右肘側副靭帯の損傷が判明。投手としてのシーズン絶望を余儀なくされると、翌月4日には打撃練習中に右脇腹を痛め、打者としても欠場をせざるを得ない事態となった。

 今季のエンゼルスがどれだけ怪我人に泣かされたかを物語るデータもある。それは選手がILに登録された日数(2346日)と登録回数(42回)なのだが、いずれもメジャー30球団中ワースト2位。さらに2年連続で球団最多となる66人の選手を起用していた。

 無論、苦しい問題点を首脳陣も理解はしている。現地10月3日には、ペリー・ミナシアンGMが地元紙『Orange County』などの取材に応じ、「我々は医療面に深く掘り下げてみて、『なぜなのか』を自問自答する」と回答。今オフにメディカル部門を見つめなおす意向を明らかにした。

「我々は健康な時は競争力のある球団だった。ここに秘密なんかない。マイク・トラウトが必要だし、アンソニー・レンドーンも必要だ。彼らにもっとプレーしてもらう必要がある。彼らもそれはわかっている。それはずっと話し合ってきたことだからね。オフシーズンに入り、来年に向けて全力を尽くすつもりだ」

 もっとも、ミナシアンGMが言うように“医療改革”がスムーズに行われるかは不透明だ。なにせ、最終的な判断を下すのは、「倹約主義」とも揶揄されるアート・モレノオーナーだからである。

 オーナーの手腕を問題視する声は尽きない。米メディア『The Athletic』のエンゼルス番を務めるサム・ブラム記者が元球団関係者ら17人に取材したレポートによれば、モレノオーナーが「マイナーリーグからチームを再び構築するために、資金を無制限に投入する」としたあらゆる環境整備は大幅に遅延。元選手の証言によれば、「彼(モレノオーナー)が、環境を変えるために何かをした証拠はない」という。

 さらに元従業員は、モレノオーナーを次のように皮肉っている。

「あのオーナーの目標は勝利ではなく、前年より1円でも多く稼ぐことだ」

 8年もポストシーズンから遠のくエンゼルス。今のチームに求められるのは、間違いなく抜本的な見直しだろう。はたして、番記者(ブラム記者)に「諸悪の根源だ」とも断じられた運営を続けるモレノオーナーをはじめとする首脳陣は、どう動くのか。彼らの動向は今オフに注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]