近年は増税や相場の変動、製造コストの上昇といった要因でさまざまな企業が商品の値上げに踏み切っていますが、一部の企業は値上げの代わりに商品の内容量を減らす「シュリンクフレーション」という手法で経済危機を乗り切っています。一方でシュリンクフレーションは消費者からの不信につながることが指摘されており、フランスのスーパーマーケットチェーン「カルフール」は、シュリンクフレーションが行われた商品にその旨を消費者に伝えるラベルを掲示しています。

Carrefour sticks price warnings on food to shame suppliers | Reuters

https://www.reuters.com/business/retail-consumer/carrefour-sticks-price-warnings-food-shame-suppliers-2023-09-14/



Carrefour puts ‘shrinkflation’ price warnings on food to shame brands | Supermarkets | The Guardian

https://www.theguardian.com/business/2023/sep/14/carrefour-puts-shrinkflation-price-warnings-on-food-to-shame-brands

2023年9月11日からカルフールが掲示している、シュリンクフレーションを伝えるラベルが以下。このラベルには「この製品は、体積または重量が以前よりも減少しており、実質的に値上げされています」と記されています。カルフールによると、以前のこの商品は内容量が1.5リットルでしたが、シュリンクフレーションによって販売価格はそのまま、内容量が1.25リットルに減少しました。そのため、結果的に1リットル当たりの価格は約40%上昇しているとのこと。



そのほかにもカルフールは、スイスの食品会社「ネスレ」が製造した乳児用調製粉乳の内容量が900gから830gに減少したことや、イギリスの一般消費財メーカー「ユニリーバ」が販売するアイスクリームケーキが、以前の350gから320gに減少したことなどに対して消費者に警告しています。



カルフールのクライアントコミュニケーションディレクターを務めるステフェン・ボンペイ氏は「このようなラベルを付ける目的は、食品メーカーに価格設定に関するポリシーを考え直すように伝えるためです」と報告。また、カルフールのアレクサンドル・ボンパールCEOは「一時期よりも原材料のコストは下がったにもかかわらず、さまざまな食品メーカーが商品の価格を下げる取り組みに協力していません」と批判しています。

一方でカルフールによって商品に対してラベルを付けられたスイスのチョコレートブランド「リンツ」の担当者は「我が社は販売を行う現地のコスト構造に合わせて、グループ全体で平均9.3%の値上げを行いました。値上げに際しては可能な限り生産効率を上げることで、できる限りコスト増を補いましたが、それでも対応しきれなかったコストに関しては値上げという形でお客様に負担をかけています」と述べ、値下げが困難であることを示唆しています。



また、フランスの消費者団体は「カルフールのようなスーパーマーケットも自社ブランド製品でシュリンクフレーションを行っています」と批判。

ボンペイ氏は「今回のシュリンクフレーションに関するラベルは、フランス国内のカルフール全店舗で掲示されており、対象となるメーカーやサプライヤーが値下げに合意するまでこの取り組みを続けます」と述べています。