日本時間8月24日、故障が見つかる直前の大谷翔平。いつもの速球が見られず、不安な表情 写真/共同通信社

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《恐れていたことが……》

【写真】痛々しい…18年に手術を受けた大谷翔平の右肘の手術痕、割れやすい右指の爪にはマニキュアのような光沢感が

《悔しくてやりきれない》

《野球の神様残酷すぎる》

 日本時間8月24日、エンゼルス大谷翔平がダブルヘッダーの1試合目に、投手として先発出場。1回表を難なく抑え、打者としても第44号ホームランを放ったが、その直後に異変は起きた。

6月以降は軽微な負傷を重ね

「2回表のマウンドに上がった大谷選手ですが、26球目を投じた直後にタイムを取り、監督やトレーナー陣がマウンドに集結。しばらく話し込んだ後、大谷選手はマウンドを降りました。当初は“腕の疲労を訴えたため”と説明されていましたが、その後の精密検査の結果、右肘の内側側副靭帯を損傷していることが判明。今シーズンは投手として出場することはないと発表されました」(スポーツ紙記者、以下同)

 突然の悲報にファンは困惑。投打で歴史的な成績を残し、'21年以来の2度目となるMVP受賞が確実視されていただけに、SNSには悲しみの声が相次いだ。

「右肘の靭帯を損傷したのは今回で2度目。1回目は、メジャーに渡ってすぐの'18年6月に損傷が見つかり、10月に手術を受けています。損傷の程度によって異なりますが、手術を受けると最長で1年半はリハビリに時間を要し、その間は投手としてマウンドに立つことはできません。ですが、'18年は打者として出場を継続したように、今回もシーズン終了まで打者に専念する可能性はあります」

 今季残りの投手としての登板は絶望。振り返れば今年の大谷の身体には随所に異変が現れており、投手としては負傷に悩まされ続けていた。

「3月のWBCで日本代表を優勝に導き、その後に開幕したメジャーでも投手として圧倒的な成績を残していました。ところが、6月以降は手指にマメができ、身体の各部位にけいれんが起きるなど、軽微な負傷を繰り返していたんです。それでも大谷選手は、ほとんど休むことなく試合に出続けていました」

大谷の爪は「割れやすい」

 負傷で途中交代しても、翌日の試合には出場していた大谷だったが、健康状態を心配するファンは少なくなかった。今回の故障前、最後の登板となった試合には“健康第一”と書かれた横断幕を掲げた観客もいたほど。

 今シーズン最初に大谷が負傷したのは、日本時間5月10日。投手として出場し、右手中指の爪が割れるというケガを負ったが、この影響が長引いた可能性はあるのか。アスリートネイルの専門家である辛川知美さんに話を聞いた。

「投手にとって、指先に力を加えるうえで爪が重要な役割を果たします。指先には骨がなく、指の腹から加わった力が爪に届き、爪がその力を受けてはね返すという仕組みになっています。爪に加わる力を爪圧といい、指先にかかる爪圧が強いほど、速いボールが投げられるのです」

 大谷は6月の試合でも爪が割れた影響で降板するシーンがあった。爪が割れてしまうのは、どうしてか。

「爪の水分含量が不足し乾燥すると、爪圧がかかったときに割れやすくなってしまいます。投手は指先に強い力を加えることで、より力強い球を投げようとするので、野手よりも割れやすいんですよね。ピッチャーが使う、滑り止め剤の粉末を布袋に詰めたロジンバッグも爪を乾燥させる原因であると考えています」(辛川さん、以下同)

 日本ハム時代から悩まされていたように、大谷の爪はもともと割れやすいとか。

「大谷選手の爪は、根本から先端に向かって広がる扇のような形をしていますよね。この形状は、爪先に負荷がかかってしまうので非常に割れやすいのです。爪が割れると指先に力を加えられなくなり、その結果マメができたり投球フォームが崩れたりと悪循環に陥って、肘の故障につながるケースもあります」

球団の責任を問う声も

 爪のケアに対する意識が高まったせいか、最近の試合中継に映った大谷の爪は、まるでネイルをしているかのようにツヤツヤになっていた。

「爪が割れた際はアクリルやジェルを使って補強するなど、さまざまな対処方法が考えられますが、基本的には日々の必要な栄養素の摂取や爪用のオイル、ネイルエッセンスなどでの手入れが重要になってきます。大谷選手は日本ハム時代とは異なり、最近の様子を見るとジェルやネイルテープなども使ってケアされているのかなと」

 身体のケアを第一に考える大谷らしさが垣間見えるが、体調管理のストイックさが悪影響を及ぼした可能性も否定できないという。

エンゼルスのネビン監督は常々“大谷は自分の身体のことを理解している”と話し、体調管理については本人に一任してきました。試合を休む判断や登板間隔の調整は大谷選手に委ねられていましたし、そのおかげで二刀流を続けられてきた側面はあります。しかし、負傷が続くなかで“本人が休むと言っていないから大丈夫”という姿勢で大谷選手を扱った球団の管理責任を、追及する声も多く見受けられます」(現地で取材するスポーツライター、以下同)

 今季のエンゼルスは21年ぶりのポストシーズン進出を見据え、大谷自身も例年以上に気迫がこもっているように見えた。8月の試合後のインタビューでは、

「みんないっぱいいっぱいの状態でプレーしてますし。休むような試合はもうないと思うので。できるなら1試合1試合、全部出たいと思います」

 と語っていた。

「いまや大谷選手は誰も口出しできないアンタッチャブルな存在なのでしょう。ただ、勝利への願望が人一倍強い大谷選手は、無理をしてでも試合に出る選択をしてしまう可能性が高い。彼に休む選択を与えられる、もしくは休もうと思わせられるような“伴侶”の存在が必要なのかもしれませんね……」

 スーパースターのピンチを救えるのは誰なのか。