銚子電鉄が譲り受けたのは南海2200 系だった(譲受した車両と同形式の異なる車両。写真は南海のプレスリリースから)

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千葉県銚子市を走る銚子電鉄は2023年8月17日、関西の大手私鉄、南海電鉄から「2200系」車両(2両編成)を8月15日に譲り受けたと発表した。

銚子電鉄の車両は老朽化が進んでおり、23年7月に他社から中古車両を導入することを発表。竹本勝紀社長は交渉相手の鉄道会社や車両の長さについて、いくつかの「ヒント」を出していた。ファンの間では、どんな車両がお目見えするか予想が活発化していたが、南海車両のお目見えは多くの人にとって予想外だったようだ。

「中古車の導入(中古の中古でない車両)は、約 30年ぶり」

銚子電鉄で現役の電車は3編成(6両)。3編成とも元々は京王電鉄で活躍した車両で、伊予鉄道(愛媛県)を経て銚子電鉄に移籍した。いずれも製造から60年程度が経過している。

竹本氏は新車両の導入を発表した7月9日の「銚電まつり」のあいさつで、どんな車両を導入するかは「まだここで明かすことはできない」が、北の方を指差して「多分、あっちの方です」などと話していた。さらに、車両の長さについては

「(今では主流の)20メートル車を入れると、ホームにぶつかっちゃうんですよ」

としていた。

こういった条件に合う車両として、ファンの間では北陸鉄道(石川県)の8000系(元京王3000系)やアルピコ交通(長野県)上高地線の3000形(元京王3000系)などが取り沙汰されていた。

もっとも竹本氏は、交渉相手について7月17日の動画配信で

「ここでお詫びして訂正いたします。北の方ではございません」

と軌道修正。今回の発表で、正解は「西の方」だったことが明らかになった。

銚子電鉄が譲り受けた南海2200系は、1969年に22000系として製造。カメラのズームレンズのように、急勾配と平野の両方に対応できる「ズームカー」のひとつとして知られる。高野線で運用された後、ワンマン化改造工事を経て多奈川線などの支線で運用されてきた。比較的小柄な17メートル車で、竹本氏が言及していた条件にも合う。両社の発表によると、銚子電鉄にとって「約8年ぶりの新車両(中古車)の導入で、中古車の導入(中古の中古でない車両)は、約 30年ぶり」だ。

「フラッグシップトレイン」として位置づける

発表では、銚子電鉄で走れる車両の選定は「困難を極めておりました」と説明。そんな中でも南海2200系であれば「改造することにより運行可能」と判断した。運行開始時期は未定だが、「フラッグシップトレイン」として位置づけたい考えだ。

両社はX(旧ツイッター)でも車両の譲渡を報告。銚子電鉄が「『なんかいい』ちょうしに!」というダジャレとともに

「困難を極めていた新車両導入に、お力添え頂いた南海電気鉄道様に改めて御礼申し上げます」

と書き込むと、南海は銚子電鉄のポスト(書き込み)を引用して

「今回譲渡させていただく2200系車両(2両)は、山岳区間から支線まで長年当社で運用されてきた車両です 新天地である銚子電鉄さまで元気に走ってくれることを願っています」

と応じた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)