暑いこの時季、ただでさえやる気が起きないのに、自分が決めたことも守れず自己嫌悪に陥ってしまうことも…。そんな状況から打破するためにやる気は持続したいもの。コーチングのプロである、公認心理師の川本義巳さんに「やる気」の出し方について教えてもらいました。

「どうしてもやる気が出ない」ときに覚えておきたいこと

「やらなきゃいけないことがあるんだけれど、なかなかその気が起こらない」ということはないでしょうか? とくにこの時季のように猛暑が続くと、その傾向は強くなる気がします。このやる気というのは、コーチングにおいてもよく出てくる課題です。
たとえばダイエット。「半年後に5kgやせます!」という明確なゴールがあったとしましょう。それに対して「食事の量を少し減らします」「1日30分運動をします」という計画を立てます。

あとはこれを実行するだけなのですが、いざやろうとすると「やる気」が起きない。もちろん、このままではいけないので、私たちコーチはいろいろな工夫をしながら、クライアントのやる気をあげて、それを維持してもらうようにしていきます。

では実際にコーチングで、どのようなことをして「やる気」を引き出しているのか。いくつか紹介していきましょう。

●ゴールは適切かどうかをチェックする

最初に立てたゴールは、本当に達成したいことなのか、また達成可能なことなのかを再チェックしていきます。本当に達成したいゴールでないと当然やる気も高くはなりません。

また「半年で30kgやせる」といった実現不可能なゴールを決めても、途中で挫折してしまいやる気が失われてしまうものです。

●やることは本当にできることかどうかをチェックする

ゴールが決まればそれに向けて行動をしていくわけですが、コーチングではこのことを「アクション・プラン」といいます。このアクション・プランのつくり方を間違えると「やる気」は落ちていきます。正しいアクション・プランの決め方はこうなります。

・必ずできることにする

・できなかったときの対処法をつくる

・実践してきたことを必ずチェックする

最初から負荷をかけて行動すると、やがて「できない」ということが起こります。そうなるとやる気が当然下がります。行動することはなるべくハードルを下げて必ずクリアできることにしておいて、行動が習慣化するようにしていきます。習慣化はやる気をきらさない秘訣です。

また「体調を崩した」「急用が入った」などできない状況になる日もあります。そのとき「できないからやらない」ではなくて、代替案をつくるようにします。たとえば「1分だけやる」とか「明日まとめてやるのもOK」とか。順調に来ていても途中で途ぎれるとやはりやる気は下がります。

そしてやってきたことはチェックするようにします。なにか記録に残すのがよいでしょう。自分がやってきたことを「見える化」することで、やる気を持続することができます。

●どうしてもやる気が出ないときに問いかける魔法の言葉

基本的にはこれらのことをチェックしていくわけですが、私がよく使っている荒業もここで紹介しておきましょう。やることは2つあります。

まず最初に「このままやらない状態を続けたらどうなりますか?」と質問をします。先ほどのダイエットの例だと「今のままの体重か、もしかするとさらに太っているか」という答えが出てくると思います。
次に「ゴールを達成したその先の未来を想像してみてください」と質問をします。そうすると「体がすっきりして、着たい服を着ることができて自信に満ちあふれている」というようなポジティブな答えが返ってきます。この2つの質問の答えを出してもらって「どっちがいいですか?」と質問をします。もちろん答えは「行動する方がいいです!」となりますよね。

やる気はちょっとしたことで上がったり、下がったりします。日々細かな点をチェックして調整することでやる気の減少は防げます。そして最後に紹介したように両極を想像してもらうことでやる気を促すこともできます。