離れて暮らす高齢の両親が住む実家を、暮らしやすく改善した事例です。整理収納アドバイザーでインテリアコーディネーターの資格を持つ木村充子さんが、実践したことを紹介。押し入れのふすまを撤去して、布団の差し入れを容易に。重くて古かったカーテンを軽いものに変えたり、IKEAやニトリの家具に入れ替えたり。見違えるほど快適で、すっきりとした住まいになりました。

老朽化の進んだ家で、リフォームせずに快適に暮らしたい

筆者の実家は静岡県内の、最寄り駅が無人駅という不便な場所にあります。

築70年の母屋と築40年の離れがあり、筆者の両親は10年前から離れで暮らしています。老朽化が進んだ母家は、近く取り壊しを検討しています。

 

10年前に住み始める際に、母家から必要なものだけを移したため、今もそこそこ片づいた状態を維持しています。しかし、離れは2DKと狭く、ものがあふれています。

キッチンとバスルームは離れに移ったタイミングでリフォームをしたため、水回りの設備は問題ありません。しかし、リフォームした部分以外は老朽化が進み、快適とはいえない状況にありました。

そのため、筆者は両親に再度リフォームすることを勧めましたが、これからの生活を考えると住み替えの可能性もあるため、今はリフォームをせずにそのまま暮らすことに。

そこで、リフォームをしなくても、両親が快適に暮らせるように、家の中を見直すことにしました。

 

使いにくい押し入れはロールスクリーンで解決

両親が困っていたことの1つ目は、母の部屋の押し入れの襖(ふすま)がボロボロなこと。そして敷布団がしまいにくいことでした。

母の部屋は茶の間としても使っているため、日中は布団を押し入れにしまっています。高齢者にはつらい布団の上げ下ろし。敷布団がしまいにくいため、さらに重労働に感じていました。押し入れに敷布団がしまいにくい原因は、押し入れの間口が半間(約90cm)に対して、敷布団の幅が100cmあるためでした。

 

そこで、ボロボロの襖を撤去。ロールスクリーンを設置して、押し入れの間口を広げました。

 

ボロボロの見た目が大きく改善されただけでなく、格段に布団がしまいやすくなり、母も喜んでいます。

古くて重いカーテンをかけ替え。動きやすさもチェック!

困っていたことの2つ目は、古く趣味に合わないカーテン。

もともと離れに住んでいた祖父母が購入したもので、何年前から使っているのかもわからないそう。そのうえ一度も洗濯をしていませんでした。

 

母の要望はシンプル。軽くて、洗えることでした。

そこで、非遮光ウォッシャブルで、ロールスクリーンに似た生地のカーテンにかけ替えました。1.5倍ヒダにしてボリュームを抑えています。

 

カーテンは面積が大きいので、無地にすると、見た目がすっきりして効果が絶大です。

 

カーテンの動きがスムーズでないと、日々ストレスがたまるもの。カーテンレールのランナーもチェックして、破損しているランナーは交換しました。

 

収納は2方向から使えるように。玄関もすっきり

困っていたことの3つ目は、収納スペースの使い勝手の悪さ。

この離れは収納スペースが少ないため、母のアイデアで玄関の正面のスペースに日用品を収納し、パントリー風に使っていました。押し入れの隣の扉をふさいで玄関側につっぱり棒を使ってカーテンをかけ、目隠しをしていました。

 

デットスペースを収納に使うアイデアはよかったのですが、奥のものを取り出す際に手前の引き出し収納を動かす必要があり、使い勝手はイマイチでした。

 

そこで、ふさいでいた扉をはずし、押し入れと同じロールスクリーンを取りつけました。2方向からものが取り出せるようになり、使い勝手がよくなりました。

 

玄関側はつっぱり棒を使ってかけていたカーテンを外し、天井にカーテンレールを取りつけて、母の部屋の掃き出し窓と同じカーテンをかけました。つっぱり棒よりもカーテンの動きがスムーズになり、玄関の正面がすっきりした印象になりました。

間に合わせ家具の寄せ集めだった家具を買い替え

困っていたことの4つ目は、バラバラの家具。母家で使っていた大きく重厚な家具は、狭い離れには入りません。

 

以前から両親は、シンプルでコンパクトな家具を求めていました、しかし近くにインテリアショップがなく、ネットショッピングも不得手。こうした家具を購入することが難しく、間に合わせのものを使っていました。

 

サイズと機能がちょうどいい家具が見つからず、古い家具をガムテープで補修しながら使っているありさまでした。

 

そこでまず、テレビ回りの家具を見直しました。

テレビボードと仏壇の台にした収納家具は、IKEAで購入しました。手持ちの家具と前面をそろえたので、すっきりした印象になりました。布のカバーは母のお手製です。

テレビの右側の飾り棚は、母が季節ごとのディスプレイを楽しんでいるスペースです。テレビ回りがすっきりしたことで、よりディスプレイを楽しめるようになりました。

 

ガムテープで補修していた家具調コタツは、新たにニトリで購入しました。

 

冬はコタツにしてここで食事をするので、コタツ布団は食べこぼしても汚れが目立たず、落ち着いた色味のダークブラウンに。

家の中を見直してから半年以上が経過しましたが、両親はとても快適に暮らしている様子です。

筆者の親世代は、多少不便に感じてもガマンをしがち。今回見直した箇所以外にも不便に感じているところがないかをじっくり聞き出し、見直していきたいと思っています。