50代、60代と年齢を重ねるなかで、服装や考え方、生き方も無理なく楽しくアップデートしていきたいもの。

そんな風に考える人に向け、自身も還暦を迎えたファッションのプロ・地曳いく子さんが行き着いた、「がんばらない」おしゃれ論をまとめた『60歳は人生の衣替え』(集英社)が今、話題です。

ここでは、旅上手でもある地曳さんの旅行ファッションの工夫について、抜粋してご紹介します。

旅行ファッションは「普段と同じ」でいい

私は、旅行用に特別な服は用意していません。着なれたそのときのお気に入りの服で、そのままどこにでも行ってしまいます。

若いときは靴を歩きやすいものに替えてみたりもしましたが、東日本大震災をきっかけに、「家まで歩いて帰れるくらい履きやすい靴」を毎日履く習慣がつき、服だけではなく靴もほぼ普段と同じもので旅に出かけるようになりました。

旅先の気候や機内の温度を考え、普段のスタイルに少しだけプラスするものとして、ユニクロのヒートテックインナーやトレーナー代わりのカシミアのセーター(オーバーサイズ、メンズなどを選んでいます)、大判薄手カシミアストールを愛用。それにレギンスなどがあればほとんど対応できます。ほかにフードつきのポケッタブルコートや、寒い土地に行くときにはポケッタブルのダウンがあればなんとか乗りきれます。

●冬は、重ねて着られるウルトラライトダウンのベストが便利

ユニクロのウルトラライトのダウンベストは、コートの下に重ねて着られるので旅行に便利ですね。寒いとき、ボディが暖かいとずいぶん違います。ベストなので重ねても袖がもたつきませんし、ライダースの下にだって着込めます。丸首の襟の部分をスナップで内側に留めればVネックのジャケットやコートに合わせてもすっきり着こなせます。

寒波の厳しかった昨年の冬、私は普段の生活でもダウンコートの下にさらにダウンベストを重ねて乗りきりました。

重ね着に使えて、寝巻きにもなるTシャツとボクサー型の緩いショーツはセット持っていきます。Tシャツはお気に入りのデヴィッド・ボウイやニルヴァーナのバンドTシャツで気分を上げます。

●下着は、旅先で洗濯できるものを

下着はレースやメッシュのものを選べば、洗濯してもほぼ一晩で乾きます。シャワーを浴びるとき、ついでに下着も洗濯(下着もホテル備えつけのボディウオッシュで洗っちゃいます)。体をふいたあとのバスタオルで絞った下着をクルクル巻いて、手で押すとかなり脱水できて、早く乾きます。

それでも翌日生乾きの場合は、バスタオルの上に広げてヘアドライヤーで乾かすようにしています。

●スーツケースや大げさなハードケースはもうやめた

 

バッグも基本、普段と同じものを持っていきます。軽い革のトートやアニヤ・ハインドマーチのクロスボディのスマホ用ポシェットなどです。

海外旅行用に持っていたスーツケースも、大げさなハードケースはやめました。コロナ前、海外撮影が頻繁にあったときにはかなり活躍したハードスーツケースですが、もう使うことはないと処分。

今はパタゴニアのナイロン製のキャリースーツケースと大きめのバックパックがあれば十分です。「時代は変わる」を、こんなところにも感じています。

地曳いく子さんの『60歳は人生の衣替え』(集英社)は、こちらの記事で紹介した以外にも、年齢を重ね、おしゃれも生き方も“衣替え”するためのアイデアが満載の一冊です。