SNSで日々のおしゃれを公開している女優・柏木由紀子さん。5月に、はじめてのファッションブック『柏木由紀子ファッションクローゼット』(扶桑社刊)が発売され、発売前重版がかかるほど好評。そんな柏木さんのおしゃれのこだわりの一つであるメガネのお話と、そして6月に公表した目の病気について伺いました。

柏木由紀子さんがメガネをかける理由

――柏木さんというと、今やメガネの印象が強いですね。なにかこだわりはありますか?

柏木:最近はメディアに出るときもずっとメガネをかけています。私らしいおしゃれの決め手となっているかな? と思いますね。

若い頃は視力がよかったのでメガネに憧れていて、伊達メガネをかけていました。でも年齢とともに手元が見えなくなってきて、いつの間にかメガネは必需品に。視力がよかった分、老眼になるのも早く、度が変わるたびに新しいメガネをつくっていたら、どんどん増えていって。今では30個ほどもっています。

といっても、数年前に白内障の手術をしてからは老眼も治ったので、じつは今も度の入っていない伊達メガネをかけているんです。私がメガネをかけているいちばんの理由は、「目元のシワを隠したいから」。コンプレックスをおしゃれで隠せるので、もはや私の相棒! メガネをしていないと、無防備な感じがして、恥ずかしくて人に会えないくらい(笑)。

もっているものは、どんな服装にも合わせやすいブラウン系のものがほとんどです。最近はフレームの形や素材のバリエーションも豊富ですが、自分に似合うメガネを見つけるのは意外と難しいもの。私はいつもお店の方と相談しつつ、顔とのバランスや、かけ心地を大切にして選んでいます。

●目に違和感を覚え、病院へ。診断されたのは…

――メガネといえば、目のご病気も発表されましたね。

柏木:じつは本の制作中の4月上旬、突然目の見え方がおかしくなってしまったんです。目に映る世界が二重になってしまい、前がはっきり見えない、という症状です。片目ずつあければ見えるのに、両目をあけるとよく見えない。度数の合っていないメガネをつけてるような感覚というところでしょうか。手で手元のものを取ったつもりなのに取れていない。カップにお湯を注ごうとしても、こぼしてしまう。そんな状況に陥っていました。

「目の見え方がおかしいということは脳になにかある?」と怖くなって、脳のMRIを撮りに行くも異常はなし。眼科に行っても異常が見つからず…。大学病院の神経眼科に行ってやっと診断がつきました。お医者さまがおっしゃるには、目を下に動かす「上斜筋」を動かす「滑車神経」が麻痺しているとのことでした。

滑車神経が麻痺すると、左右の眼球を同じように動かすことができなくなり、眼球が異なる方向に動いてしまうため、対象物にピントを合わせることが難しくなるのだとか。幸い、滑車神経は末梢神経なので2、3か月で自然治癒するそう。

滑車神経麻痺は交通事故などの衝撃が原因になることが多いようですが、とくに原因は見当たらず。お医者さまによると、事故などの衝撃がなくてもなることはあるのだそうです。

私の場合は6月半ばにはお医者様に「もう大丈夫」とおっしゃっていただけたのですが、症状のある間はとにかく日常生活すべてが不便。二重に見えているので頭までくらくらとしてしまい、外出もままなりません。「明日は見えるようになっているかな?」と期待しながら眠りにつくも、朝起きても治っていない。「ああ、今日も見えない…」とがっかりし、次第に「このまま治らなかったらどうしよう」という不安に襲われていました。

大好きな車の運転もできないので、思うように身動きがとれないのもストレスでした。また、この病気については情報が少なく、「治った」という体験談が見つからなかったこともますます私を不安にさせました。

病気についてSNSなどで発表するのはなんだかはばかられるなと思っていたのですが、この年代になると、みなさん口にはしなくても、それぞれに不調や病を抱えていることも多いですよね。情報を探していらっしゃる方にとって、少しでも励みになればと思っています。

一度不便を味わうと、ありがたみに気づくチャンスをもらいますよね。朝起きて、鏡の前でメイクをし、お気に入りのメガネをかける瞬間に、目がしっかりと見えるありがたみをかみしめています。

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